流れのままに

おのが道をゆく ひたすらにひたむきに @ 斉藤雅紀

老子は、「功なり名を遂げて身退くは天の道なり」と言った。

大自然にはハーモニー(法則)があり、春は春のなすべきことを終えれば、その地位を夏に譲り、夏はその役割を果たすと秋に譲る。

同じように人間にも道あり、功なり名を遂げたら、いつまでもその地位にしがみつくことなく、次の者に譲るのが、大自然の法則に叶ったあり方だと覚える。

明治37(1904)年7月、伊庭貞剛氏(いば・ていごう:1847年2月〜1926年10月)は、「もう俺の仕事は終わった」と、58歳の働き盛りに、住友総理事の椅子を鈴木馬左也氏(1861年4月〜1922年12月)に譲り、郷里の琵琶湖湖畔に隠棲した。

「せめて60歳までは」と当主に懇願されたが、彼の心は不動であった。

なぜ勇退を急いだか。

彼は、生涯に一度だけ「少壯と老成」と題するエッセイを経済雑誌『實業之日本』(明治37年2月15日付所収)に寄稿している。そのなかに理由らしきものが見出せる。

 白髪は敬へといふことは、和漢洋共に昔から同じ樣にいひ傳へてある所をみると、これは動すべからざる定則であらう。さて、何が故に白髪は敬はねばならむのであるか。いふまでもなく、白髪には年の功、即ち壯者に求めて得べからざる經驗といふものがあつて、老人獨特の珍寶となつてゐるからであらうと思はれる。

 實に經驗といふやつは、如何なる高貴の書物からでも學ぶことの出來ず、如何なる莫大なる金力にても買ふことの出來ぬ貴重の寶には相違ないので、經驗と學問といづれを必要だといふ質問は、もとより問題にならぬのである。老人の價値は唯、この一點に在るので、老成者が常に經驗の必要を唱へて、少壯者を誡しめるのは、洵に尤もな次第であるが、之に就いて是非一ついつて置きたいと思ふことは、經驗に重きを置き過ぎないよう、よく注意せぬと、とんでもない過失に陥ることがあるかも知れぬ。兎角老人の癖として、何事につけても經驗といふ刄物を振廻はして、少壯者を威しつけ、なにがな經驗者の意見に服從せしめようとする傾きがあり、又少壯者は平生から此刄物の恐るべく貴ぶべきを知つて居るから、大抵は經驗者の命令に盲從するのが多いやうに思はれる。然し自分の信ずる所では、是は大變なまちがひである。如何となれば、經驗にもいろいろあるある。例へば同じく商業上の經驗でも、戰亂時代の經驗と平和時代の經驗とは、全く別種類のものである。戰時の經驗は、平時になると餘り役に立たないもので、強いて之を應用しようとすると、それこそ大變なまちがひが出來るのである。しかのみならず、時勢は日日に進歩してゆく。萬事新陳代謝の世の中であるから、十年も二十年も前に獲た經驗を何等の判斷なしにそのまま押しつけようとするのは、だいたいまちがつた話である。

 且經驗といふことは、自分で實驗して始めてわかつたのが經驗で、他人から海悗蕕譴唇未任覆なか眞實にわかるものでない。然るに老成者はややもすると、少壯者の過失を以て、經驗者の言ふことを聽かなかつたといつて、其の過失を嚴言するが、これは無理な話で、少壯者は之から種種なる實驗に遭遇して漸次經驗を積んで行かうといふのだから、少少の過失はもとよりまぬがれないと思はなければならぬ。少壯者に貴ぶ所は敢爲の氣力である。老人は經驗がある代りに、萬事が保守で兎角大事を取り過ぎる。啻に自分ばかり大事を取るのみならず少壯者を誡めるのにも保守的である。然るに少壯者はこれから經驗して行かうといふのであるから、何事にでも自から進んでぶちあたつて實驗して見なければならないから、敢爲の氣力といふものがどうしても必要である。即ち少少危險だと思うても自からやつて見る。むつかしいと思うても進んでぶちあたつて見る。そうでなくてこれも危險、あれもむつかしいといふ風に、萬事老人の保守談に盲從してゐるやうでは、到底事業も出來ず、また眞實の經驗も得られるものではない。その中には幾多の過失もあらう。しかしこの過失は敢爲の少壯者にはまぬかるべからざるもので、いづれは貴重なる經驗となるべきものであるから、大抵の場合ならば少壯者の過失は成るべく寛假して之を助け導いてやるだけの雅量がなくてはならぬ。少壯者にしてもまた白髪を敬ひ、經驗を貴ぶ念はあくまでも失うてはならぬが、さりとて經驗に盲從して、爺じみた因循姑息の若爺となつて了つては最早發達するものではない。

 老人の保守と少壯の進取とは兎角相容れないもので、此の衝突は何れの社會でも多く見受けることであるが、これが衝突しては如何なる事業も發達するものではない。これが調和を圖るのはまことに大切な事であつて、これはどうしても老成者の責任として自から任ぜねばならぬ事と思ふのである。然らば如何にしてこれが調和をはかるかといふに老人は少壯者の邪魔をしないようにするといふことが、一番必要であらうと自分は信じてゐる。衝突に就いては大抵双方共に責があるのは無論であるが、老成者は少壯者を助け導いて行く位地にあるだけ、それだけ責が重い。故に老人はよほど讓つてやるところがなくてはならないのに、實際はさうでなくて、老人は兎角經驗といふ刄物を振りまはして、少壯者をおどしつける。なんでもかでも經驗に盲從させようとする。そして少壯者の意見を少しも採り上げないで、少し過失があると直ぐこれを押へつけて、老人自分が舞臺に出る。少壯者の敢爲果鋭の氣力がこれがために挫かれるし、又青年の進路はこれがために塞がつてしまう。實業界にてもかういふ例は到るところに見受けるのであるが、これでは老人の方が大層悪い。事業の進歩發達に最も害をするものは、青年の過失ではなくて、老人の跋扈である。老人も、青年も、共に社會勢力には相違ないが、その役割をいふと、老人は注意役、青年は實行役である。進取開拓の事はどうしても青年をして、之に當らしめなければならぬ。老人は唯經驗を時勢に參酌して注意を與へるに止まり、すべて少壯者に讓り、いちいち之を牽制束縛するやうなことはしないで、なるべく其の敢爲果鋭の氣力を充分に發揮せしめるつもりでやるならば、決して老少の衝突を見ることもなく、保守と進取と能く調和して、必ず事業の發達を見るに相違ない。終に臨んで、一言青年に告げて置きたいと思ふ事は、經驗に盲從してはならぬが、經驗はあくまで尊重しなければならぬ。殊に少壯鋭氣に任せて、成功を急いではならぬ。今の時勢では順序を履んで進むものでなければ、決して成功しない。頭ばかり先へ出ようとすると足もとが浮く。急ぐと無理が出る。手ぬかりが出來る。不平が起る、人の惡口をいふ、人の惡口をいふのは天に向つて唾するやうなもので、禍はつまりわが身に來るものである。早く樂をしたいといふやうな考でなく、或一つの目的を確乎と握つて、一代で出來ねば、二代でも、三代でも懸けてやる位の決心で、一生懸命に人事を盡くすなら、成功は天地の理法として自然に來るものである。


閑話休題(ソレハサテオキ)

伊庭貞剛@四国 別子銅山伊庭氏が、住友総理事になった頃の四国・別子銅山では、鉱毒水や鉱煙による公害が問題となり、地域住民との紛争が絶えなかった。明治中期までの鉱山業は精錬の燃料として多くの木を伐採し、山では硫黄を含む鉱石を焼いていた。その結果、別子の山は一面禿げ山となってしまった。(写真は1881年当時@住友史料館)

彼は新居浜に着任するや、「この山をこのまま荒れ果てた状態を放置するには天地の大道に背くこと」であると見極め、「国土に報いる」事を目的として本格的な植林を開始。別子の開発がもたらした禿げ山であれば、それをもとの豊かな自然に戻すのが責任だと考えたのであった。

植林事業にあたる技師に対しては、「祖先以来別子で乱伐した山をもとのように戻して返さなければならない、いや、もと以上にして返さなければならないから頼む」とその事業の意味を説いた。

人を本当に動かすもの、それは金・力・地位ではなく、
事にあたる人間の品性・人格である、と伊庭氏の生き方は教えてくれる。

伊庭貞剛@四国 別子緑地 明治32(1899)年には植林面積は208町歩(62万4千坪)に及び、その成果によって今日の別子は本来の緑を取り戻している。昭和42(1967)年までに6,422万8千本が植えられた。(写真は現在@住友史料館)

ここから生まれてくる膨大な木材は鉱山会社では処理しきれなくなってしまった。この管理会社として住友林業が設立され、この山林は住友の山として受け継がれている。


   緑をお返しする。
   自然は、それ以上のお返しをしてくれる。



すべての事業が、春風の如き温もりを感じられるようになることを祈願して止みません。


大きな笑顔の佳き週末を。


参考:住友人物列伝:総理事と呼ばれた人たち「伊庭貞剛 その1」

朝陽_20180923_062436
朝陽@旭ケ丘 20180923_062436

先日お会いしたご夫人から黒点ゼロの日が続いていますというお話しをいただいた。宇宙情報センター(SWC)の太陽黒点(Sunspot)情報を見ると、確かに9月13日以降黒点ゼロの日が続いている(http://swc-legacy.nict.go.jp/sunspot/)。2009年には黒点数(Sunspot Number)ゼロの日が260日あったのだから驚くこともなさそうだが、今後はゼロの日が続くと予測されている。

現在は、12年間ほど続いた「サイクル 24(Cycle 24)」という太陽活動周期にあり、1749年に太陽黒点観測が始まって以来3番目に弱いもの。下記の表は観測が始まった太陽黒点数の各太陽活動周期ごとの差を表現している。プラス(上向き)は通常より高い太陽活動を示し、マイナス(下向き)は通常より弱い太陽活動を示している。
太陽黒点サイクル
出典:KALTE SONNE@Die Sonne im Juli 2018 und ein heiser Sommer(27. August 2018 | 07:30)

サイクル 24は、ダルトン極小期(1790〜1830)以来、180年ぶりの低い太陽活動を示している。このように黒点の少ない時代は、経験則では、寒冷化の傾向が強い。現在は太陽磁場の南北の差が非常に大きいらしく、今後も太陽黒点は減り続ける状態が長く続くようだ。SWCの今後12ヶ月の黒点数の予測値にも2018年10月〜2019年7月の黒点数はゼロとなっていて、太陽活動が弱い状態が続くであろうことを知らせている。

太陽国点数に言及するリポートに「小氷河期に突入」という表現を散見するが、私たちには寒冷を乗り越える技術や文明があるのだから、それらの英知を上手く起動させることができるなら問題または危機を最小限にすることができそうだ。先般の北海道地震で被害を受けた苫東厚真火力発電所や伝送システムを始めとするインフラのあり方を顧みて、上手に技術を活用できる体制へと日本社会を再構築することが必要条件となる。

※太陽黒点(Sunspot)と「サイクル 24」と「サイクル25」についてはこちらをご覧ください。
→ https://www.swpc.noaa.gov/sites/default/files/images/u33/What%20Happened%20to%20Those%20Sunspots.pdf


閑話休題(ソレハサテオキ)


ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner:1861年2月〜1925年3月)は1906年9月4日の講演で、「地震が頻繁に起こる時期における出生を調査してみたところ、地震の起こった地域に限らず周辺部でも、その時間に相前後して生まれた人々は非常に物質主義的性向を持つということがわかった。地震はその原因ではなく、実はこれらのこれから生まれでようとしている物質主義的魂が火地球層の力を解き放ち、それによってこれらの魂の誕生時に地球を揺さぶるのである」と火(地球層と呼ばれる層)と人間の魂と地震の関係について言及している。

「物欲の時代は終わり、心魂浄化の時代が始まっている。迷走する世界へ、シュタイナーからの提言」という言葉が記された『シュタイナー天地の未来─地震・火山・戦争』(風濤社・新装版 2015/9/24)では、翻訳者の西川隆範氏が訳者序文で興味深い見識を開陳なさっている。
 中世ドイツの神秘哲学者アグリッパ・フォン・ネッテスハイムが作成した「大天使カレンダー」によると、1879年にミカエルの時代が始まる。
 人智学の創始者ルドルフ・シュタイナーは、「天で戦いが起こった。ミカエルとその使いたちが、竜に戦いを挑んだのである。竜とその使いたちも応戦したが、勝てなかった。」「そして、もはや天には彼らの居場所がなくなった。この巨大な竜、年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わす者は、地上に投げ落とされたのである。その使いたちも、もろともに投げ落とされた」(『ヨハネ黙示録十二章』)という事件が起こったのはこの年だ、と述べている。
 人間の一生は月のリズム(約18年半)に従って変化を遂げていき、社会は太陽のリズム(33年)に従って展開していく。
 1879年から33年が二度めぐったとき、広島、長崎に原爆が落とされ、それからまた33年が二度めぐったとき、福島の原発事故(東日本大震災)が発生した。
・・・・・
 1998年(666×3)に悪魔的存在が地上に誕生し、21世紀前半中にも活動を開始する、とシュタイナー学派は見ている。他方、本書でシュタイナーも語っているが、紀元前3101年に始まった暗黒時代(カリユガ)の第一期が1899年に終了し、精神世界への見通しが明るくなってきている。幾多の困難が今後もやってくるだろうが、全体的には世界は精神化へ向かっている。物欲の時代は終わり、心魂浄化の時代が始まっている。時代の流れを促進するか、物質に固執して混迷を深めるか、個人個人の生活が岐路に立っている。

以下の文章を合わせ読むと面白いものが見えてきます。
The mysticism and curse of 33rd parallel
(pravda 27 Aug 2012 at 21:12)
 It is difficult to know for sure, but the 33rd parallel plays a huge role when it comes to disasters in the modern world. Dallas with its car accidents, Tripoli with the "Arab Spring," Baghdad, Damascus, Kashmir, Tibet, Nagasaki - they all are located on the 33rd parallel. Is it a coincidence that occult sciences attach special importance to number 33?
 All you need to do is to have a look at the map of the world. Look at the significance of the parallel in the Masonic country of General Pike and green bank notes. Take a look at the location of the unfortunate city of Dallas known for its car accidents (this is the official point of view) and its president, who was murdered by some ... Wizard of Oz 22/11. Look further and find the city of Tripoli in Africa. The city became widely known for its "Arab Spring." In Asia, there is also Baghdad, famous for its tales of Scheherazade with the use of weapons of mass destruction.
 You can also find the poor city of Damascus, which, as Prophet Isaiah predicted (chapter 17), would be destroyed. Look again at the map to find out that Iran and its good city of Isfahan are located on the parallel too. If you continue the Masonic journey around the world, you will cross the "peaceful" Afghanistan and Kashmir, known for its local wars. And of course, there is Tibet.
 An American commentator - a friend of mine - also insists on the significance of the city of Phoenix, Arizona, that sits on the 33rd parallel. He connects Phoenix with Lebanon, Tyre, good old Phoenicians and Hiram, who built the famous temple.
 The thirty-third degree is the highest degree in Freemasonry; the addition of number 11 and 22 (look in the "Dictionary of Numbers"); the number of Dante songs; the king of the universe and the spiritual fulfillment. All this is about the key number in the history of the new world order. The sum of these numbers - 22 and 11 in the Tarot is the blade of force and mate.
 After the venerable George H. Bush announced his intention to cooperate with the British, oil monarchies and European socialist parties (including the one that belongs to the pyramidal and very well dedicated Mitterrand), the Western powers started moving from war to war, from one occasion to another.
 Someone talks about oil - the old "hellish water" - to explain the execution of Gaddafi, the destruction of Syria, the capture of Baghdad, the future destruction of Iran and the rest of the world in the name of democracy, human rights and the enormous debt. Why not talking about Illuminati and mentioning a few examples in history? Take a look at the French Revolution - it is also associated with very specific political and financial intentions.
 Just listen to what French national genius Alexander Dumas says. Dumas understands the causes of the French Revolution better than other history teachers. In "Joseph Balsamo," he wrote the following lines, which could be attributed to some grand Count Cagliostro:
 "I need 20 years to destroy the old world and create a new one - 20 years - that is 20 seconds in eternity, and you say it's too long!"
 Dumas perfectly described the desire to liquidate or dissolve humanity, and it was described 200 years before Bush Sr.:

"The nations make one huge army. Born at different times and in different circumstances, they took their places in the ranks and should arrive, each in turn, to the purpose for which they were created. They constantly march, even if it seems that some of them rest. They retreat for incidental reasons, not because they go back; they gather strength before overcoming an obstacle or crushing the difficulties faced."

 Who is this Illuminati? This is a dreamer who plants his policy of destruction depending on the parallel or the number, which he considers important. Nagasaki is on the same latitude with Los Alamos nuclear desert! Truman was the 33rd President of the US!

Dumas:

"When I woke up, - the Illuminati continued, - I realized that I was more than a human being. I realized that I was nearly God.

Nicolas Bonnal Pravda.Ru
Read the original in Russian


大きな笑顔の佳き秋分の日を。

プーチン大統領、年内に日ロ平和条約を=「前提条件なしで」−領土問題棚上げ狙う
(時事2018/09/12-21:19)
【ウラジオストク時事】ロシアのプーチン大統領は12日、日本とロシアの平和条約について「年末までにいかなる前提条件もなしで締結しよう」と提案した。北方領土問題を事実上棚上げし、平和条約締結を先行させようとの提案で、安倍晋三首相も参加してウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」全体会合で司会者の質問に応じる形で発言した。
北方四島の帰属問題を解決して平和条約を締結するというのが日本政府の立場。プーチン氏が平和条約締結の期限を提案したのは初めてで、大きな波紋が広がりそうだ。
 プーチン氏は、北方領土問題を念頭に「平和条約に基づき、友人としてすべての係争中の問題に関する議論を続ける。このことが70年間乗り越えることができなかったすべての問題の解決を容易にするように思える」と訴えた。
北方領土@時事20180912記事 プーチン氏は平和条約締結後に北方領土の色丹島と歯舞群島の引き渡しをうたった1956年の日ソ共同宣言に言及した上で、「日本が履行を拒否した」と述べ、その結果、戦後70年にわたって交渉が続いていると主張。その上で「(安倍)晋三(首相)はアプローチを変えようと言った」と語り、「今、思い付いた考え」として、年内の平和条約締結を提案した。提案は「冗談で言ったのではない」とも語った。

日ロ経済交渉は、国後・択捉・歯舞・色丹の4島とその水域を含む領土問題を論じないことを条件として話が進んでいる。これは安倍晋三首相(1954年9月生)と外務省によって了承されていたもので、ウラジーミル・プーチン大統領(1952年10月生)が「年末までにいかなる前提条件もなしで日露平和条約を締結しよう」との発言は事前調整はなかったが、流れに即したものであった。安倍氏は、「新しい未来のパイオニアとして私たちは日露の歴史にお互いの名を刻むことになります。素晴らしいことですが、ウラジーミルよ、あなたは本気ですか?」と切り返しても良かったと思うのだが、苦笑するのみであった。国家安全保障局長の谷内正太郎氏(1944年1月生)は先月、辞表を提出するも受理されなかったようだ。領土の返還交渉をすることなく、日本の国土の一部を放棄する戦略を鼓舞しているかの印象を受ける人物の退場は許されないということであろう。国後・択捉・歯舞・色丹を含む根室海峡からカムチャツカ半島の南、千島海峡までの間に連なる千島列島は日本の領土であることを忘れてはいけません。

極東ロシア地域は、617万平方キロメートルの広さがあり、ロシア全土の36パーセントを占める。この極東連邦管区はアムール州、チュクチ自治管区、ユダヤ自治州、カムチャツカ州、コリャーク管区、ハバロフスク地方、マガダン州、プリモルスキー(沿海)地方、サハ共和国(ヤクーチア)、サハリン州の10連邦構成主体(全体では85連邦構成主体)からから成り立っている。南の国境を中国・北朝鮮と、南東を日本と、そしてベーリング海峡を挟んで、極北東を合衆国と接している。極東ロシアの人口は約625万人で、全人口の4.0パーセント強に過ぎない。ロシア国民なら誰でも、北方領土を含む極東の遊休地を5年間開拓すれば、1ヘクタールの土地が無償で与えられるという報奨にもかかわらず、この地域の人口は減少傾向にある。中国東北3省(黒竜江・吉林・遼寧)の人口は1億人を超えているのだから、ロシアは地政学的脅威を感じているに違いない。北方領土へのロシアの実効支配が強まる所以。

北海道の漁業関係者は、北方領土水域の海産物をお金を払ってロシアから買っている。この地域は日本の主張する排他的経済水域ではあっても事実上はロシアの管理下。日本の漁船は協定によって、北方領土水域やロシア水域に入っている。北方領土水域では、私たちの日本は自国の海だと主張しながらも、結局はロシア側に許可する立場を与えてしまい、加えて有償枠や漁獲量の決定権まで与えてしまった。日本の漁業者は、1隻当たりの漁獲量が漁業種ごとに決められ、それに合わせて協力金とか入漁料という形でロシア側に支払っている(http://hamada.u-shimane.ac.jp/research/organization/near/41kenkyu/kenkyu28.data/hokutou28_8_2_hamada.pdf 146〜147頁)。領土問題の解決なしに、平和条約を締結することで、支配国としてのロシアが編み出した不条理なルールを雲散霧消したい。日本の漁船が拿捕されて港に係留されようことがあってはならない。色丹と歯舞だけでも返還されるなら、この水域での自由な操業が可能と期待する漁業者は少なくない。

ウラジーミル・プーチン大統領が率いる与党「統一ロシア」は今年6月14日、年金制度の抜本的な改革案を発表。現在のロシアの年金受給開始年齢は男性60歳、女性55歳と、スターリン時代の1930年代に設定された後一度も引き上げられていない。北極圏とシベリアでの受給年齢はさらに低く、ムルマンスク、アルハンゲリスクなどでは女性50歳、男性55歳。受給年齢を低く設定した目的は、生活環境が厳しいこれらの地域への移住を促進することであった。ロシアでは年金受給額に地域差があるが、全国平均では7,476ルーブル(1万3642円・https://jp.rbth.com/society/2015/10/14/482667)。

改革案ではそれぞれ65歳と63歳に段階的に引き上げることになっていた。兵士や警察官など一部の職業は現状のままとしたのだが、ロシア各地で抗議デモが相次いだ。オンライン署名サイト「Change.org(チェンジドットオルグ)」では、100万人以上の署名が集まった。(https://jp.sputniknews.com/russia/201806185004467/)プーチン氏は先月8月29日、女性の年金支給開始年齢を55歳から60歳に、男性の年金支給開始年齢は当初案のまま60歳から65歳へ引き上げる改革案を発表。ロシア男性の平均寿命は66.5歳なのだから、5分の2のロシア男性が一度も年金をもらうことなく亡くなることになる。ちなみに女性の平均寿命は77.0歳。
年金支給開始年齢は引き上げないと公約していたプーチン大統領は、支持率低下という形で人間の扱い方を間違えた(公約違反)のツケを払わされた。国営世論調査会社VTsIOMによると、5月に80%だった彼の支持率は7月には64%に落とされてしまったのであった。

ソビエト連邦崩壊直前の1980年台後半まで出生率は2.0を上回っていたが、後継国家・ロシアの出生率は現在1.0に落ち込んでいるようだ。別の表現では、1970年台に1人の年金生活者を3.7人の労働者が支えていた人口比率が、現在は約2.0人となり、今後の減少が予想されている。
ロシア政府は、2000年代以降の資源価格高騰を背景とする石油や天然ガスなどの資源輸出増大による歳入増加によって蓄えられた準備基金で財政赤字を補填(ほてん)していたが、このところの歳入の減少を受け準備基金は枯渇している。資源分野の開発に特徴的に見られる連邦予算から大規模な財政支出に頼ったインフラ整備中心開発計画を改め、外資を含た民間投資を誘致するための環境整備がロシアの政治・経済・社会構造を改革する必要条件だと考える。
実業家のアレクサンドル・ガルシカ氏(1975年12月生)は2013年9月11日から2018年5月7日まで第1次ドミートリー・メドヴェージェフ内閣で第2代極東開発大臣(極東発展大臣)を務めた。彼は「先行社会経済発展区(TORTOR )」 や「ウラジオストク自由港」といった新型経済特区を極東地域内に設 や「ウラジオストク自由港」といった新型経済特区を極東地域内に設置し投資環境を整え、国内外から輸出志向型企業を誘致すると同時に、新型経済特区同士のネットワークを発展させることで地域全体の活性化をめざした。今年の5月18日からは3代目極東開発大臣として政治家のアレクサンドル・コズロフ氏(1949年5月生)が就任している。

ロシア連邦極東開発省は、プーチン氏が2012年5月21日にロシア連邦大統領令(ウカース)第612号によりドミートリー・メドヴェージェフ内閣に新たに設置した連邦省庁。極東開発大臣は極東連邦管区大統領全権代表の兼任となる。本庁舎をハバロフスクに設置したが、これはモスクワ以外に連邦省庁を設置した初のケースである。

来年(2019年)、日本で開催されるB20ビジネスサミット(注※)の会合は「全体会合」のみ開き、グローバル・コンサルティング・ファームを一切招致しないという。形だけ「国際会議」を開き、その実、“議論”は行わず、ニッポン独自の政策提言を書き記すイヴェントに仕上げようとしている(参考:2018年9月15日の原田武夫氏のブログ https://haradatakeo.com/?p=73719)。このフォーマットには経団連も政府(経済産業省)も同意賛成しているというのだから、現代版の鎖国政策を導入して、世界勢力から日本を守ろうとしているようにも見える。もしかするとプーチン大統領による年内の平和条約締結の提案は、日本の人知が創り出した新しい結界を日ロ経済交渉を以って破ろうとするものかもしれない。今日が誕生日の安倍首相は、昨日の自民党総裁選挙で三選をシナリオ通りに手にした。彼は唯一の具体的な公約である憲法改正を進める。しかし、それは現代日本の最優先課題ではない。国防問題は安全保障のサブシステムであり、外交・経済・金融・教育・環境・情報・防災などと共に現代に相応しい結界を張り巡らすことが国防と並んで国家の安全にとって重要であることは覚えておきたい。


大きな笑顔の佳き週末を。

参考:
注※http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/humanai/1kai/siryo2.pdf

流れのままに 「二人のMr.Abe 及び「北方領土の日」+α」(2018年02月08日)

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朝陽@旭ケ丘 20180921_060945

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