流れのままに

流れのままに おのが道をゆけ ひたすらに ひたむきに

二〇一九年睦月

K10011792281_1901261422_1901261425_01_02[1]
テニス全豪オープン 車いす女子決勝 上地は2年ぶり優勝ならず
(NHK 2019年1月26日 14時25分)
テニスの四大大会、全豪オープン車いすの部は、女子シングルスの決勝が行われ、上地結衣選手はオランダの選手に敗れ、2年ぶりの優勝はなりませんでした。
K10011792281_1901261422_1901261425_01_03[1]
車いすテニスの女子シングルスで、世界ランキング2位の上地選手は、全豪オープンの決勝に3年連続で進み、世界ランキング1位のオランダのディーデ・デフロート選手と対戦しました。

上地選手はパワーを持ち味とするデフロート選手を崩すことができず、第1セットを0ー6、第2セットを2−6で失い、セットカウント0対2のストレートで敗れ、2年ぶりの優勝はなりませんでした。

上地選手は去年、四大大会のうち、3つの大会で決勝に進み、すべてデフロート選手と対戦し、全仏オープンでは優勝したものの、全豪オープンと全米オープンは敗れました。

上地選手にとって、デフロート選手の攻略が、来年に控える東京パラリンピックの金メダル獲得に向け、大きなカギとなりそうです。

一方、男子シングルス、世界ランキング1位の国枝慎吾選手は、24日の準決勝で敗れ2連覇を逃しました。


閑話休題(ソレハサテオキ)

K10011793621_1901280120_1901280122_01_02[1]
テニス 大坂なおみ 粘りと勝負強さ光る
(NHK 2019年1月28日 1時22分)
テニスの四大大会、全豪オープンで大坂なおみ選手は初めての優勝を果たし、大会後の世界ランキングで、男女を通じてアジアで初めてシングルスで1位となることが確定しました。高速サーブや力強いストロークが印象的な21歳を全豪オープン優勝に導いたものは、貪欲に進化を求め、手に入れた粘りと勝負強さでした。

大坂選手のテニスは、昨シーズン、それまでと大きく変わりました。

力強いサーブやショットに頼ったパワーテニスから、ラリーを続けて攻撃のチャンスを待つ「我慢のテニス」を身につけて、全米オープンで日本テニス界初めてとなる四大大会のシングルス優勝という快挙を成し遂げました。

その後、シーズンオフに入った大坂選手はさらに粘り強いプレーを求め、ラケットを握る時間を減らしてジムで過ごす時間を増やすなど、下半身の強化に多くの時間を割きました。

午前6時すぎから3キロから5キロの早朝ランニングに取り組んだほか、下半身の筋力アップに力を入れ、「レッグプレス」と呼ばれる特殊な器具を使ったトレーニングでは、300キロを超えるおもりを両足の力で押し上げられるようになりました。

そして、臨んだ今シーズン最初の四大大会、全豪オープン。ともに強打が持ち味の準決勝で対戦したカロリーナ・プリシュコバ選手、決勝の相手、ペトラ・クビトバ選手の力強いストロークで大きく左右に振られた場面でも、鍛えた下半身がぶれることはなく、大坂選手は粘り強く食い下がってポイントを重ねました。

今大会、大坂選手のラリーでの勝率は去年と比べて大幅に上がり、5本以上のラリーでの勝率は、1試合平均で去年の32%から54%へと大きく向上しました。

そして、ラリーで相手を上回ったことは、大坂選手の精神面にもプラスの影響を及ぼしました。

大坂選手は優勝の要因の1つとしてストローク戦で相手を上回れたことを挙げ、それがプレーの自信につながり、これまでは精神的に崩れてしまうような局面でも踏みとどまれるメンタルの安定にもつながったと振り返っています。

さらに、進化を見せたのは得意のサーブです。サーブは、オフの期間に技術面でただ1つ変化を加えたもので、トスを上げる際に左手を下から弧を描くように上げるフォームから、安定性を高めるためまっすぐ上げるフォームに変えたほか、コースや球種のバリエーションを増やす練習に取り組みました。

そして、今大会は勝負どころで、そのサーブの強さが光りました。

大坂選手が自身のサービスゲームで相手にブレークポイントを握られた場面でのファーストサーブの成功率は、去年の大会の平均46%から57%へと向上しています。決勝でも、ブレークポイントまであと1ポイントとなった場面で、自身大会最速の時速192キロのサーブでサービスエースを奪う勝負どころでの強さを見せて試合の流れを引き寄せました。

さらに、ファーストサーブが入らなかった場合でも、練習してきたセカンドサーブのコースや球種の工夫が効果を発揮しました。大坂選手がセカンドサーブを軸にポイントを奪った割合は、平均で去年の42%から今大会は49%に上昇。決勝でもブレークポイントを握られた場面で、縦回転をかけた高く跳ねるセカンドサーブでピンチをしのぎました。

サーシャ・バジンコーチが「成功をつかんでも満足しない貪欲さが強み」と評価する大坂選手。全豪オープン優勝後に新たな目標として掲げたのは、四大大会第2戦、赤土のクレーコートで行われる「全仏オープンの優勝」です。

シーズン最初の四大大会でこれまでのトレーニングに確かな手応えをつかんだ大坂選手が、全仏オープンでどのような戦いを見せてくれるのか期待が高まります。


大きな笑顔の佳き一週間を。


(追記)
パイオニア上場廃止へ 臨時総会、ファンド傘下で再建目指す
(日本経済新聞 夕刊2019/1/25付)
 パイオニアは25日午前、アジア企業に出資するファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアの出資受け入れを問う臨時株主総会を開いた。総会で出資受け入れが決まれば、パイオニアはベアリングの完全子会社となり上場廃止となる見通し。パイオニアはカーエレクトロニクス事業で開発費の増加などから経営危機に陥り、出資先を募っていた。(関連記事総合面に)
 総会ではベアリングによる520億円の第三者割当増資による出資のほか、すでにベアリングが融資している250億円の債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)などを諮る。
 パイオニアはカーナビゲーションシステムなどのカーエレクトロニクス事業に特化してきた。しかし、自動車メーカー向けの製品での開発費増加を受け、事業の採算が悪化。単独での経営再建が困難となり、スポンサーを探していた。
 ベアリングによる完全子会社化にあたっては、既存株主に対し1株あたり66.1円を支払うとしている。

パイオニアが経営悪化した理由は? 香港ファンドが500〜600億円を出資して筆頭株主に
カーナビ専業で生き残りをかけるも裏目に

(安藤健二 Huffington Post 2018年09月12日 13時43分 JST | 更新 2018年09月12日 13時43分 JST )
(前略)
■カーナビ専業にシフトするも裏目に
 1980年代にはオーディオ部門が低迷したため、国内では「カロッツェリア」のブランド名を使ってカーナビ事業に参入。高品質の映像と音を記録できるレーザーディスクや、大型のプラズマテレビに注力した。
 しかし、レーザーディスクは通信式カラオケの台頭で減速。プラズマテレビも大型液晶の普及で売上げが伸び悩んだ。家庭用オーディオも携帯型の音楽プレーヤー登場で存在感が低下した。
 こうした中で、パイオニアは2010年にテレビ事業から撤退した。世界シェア1位だったDJ機器事業も、2014年にアメリカのファンドに売却。創業から手がけるオーディオ事業も売却して、2015年に音響機器メーカーのオンキヨーと経営統合された。
 これらは、全て経営資源をカーナビ事業に集中させる戦略だったが裏目に出ることになった。
 ニュースイッチによると、GPSを搭載したスマートフォンの普及で、車に後付けする市販向けのカーナビ需要が減少傾向になった。
 その上、自動車メーカー各社もスマートフォンとカーナビの連携機能といったコネクテッド機能の採用で車の付加価値を高める戦略にかじを切った。パイオニアは度重なる仕様変更への対応に追われることになり、小谷進会長によると「莫大な開発費を費やさざるを得なくなった」という。(後略)

Raynor Michael E. The Strategy Paradox. Crown Business, 2007.(『戦略のパラドックス』翔泳社)で言及されていたのは、「選択と集中(Concentration in Core Competence)」よろしく特定分野に特化した企業は収益性が高いと言われるが「生存バイアス(Survivorship Bias:生存者偏向)」によるものだということです。つまり、サヴァイヴァーである成功企業のみがフォーカスされているに過ぎないのです。企業経営の調査研究は、マーケットから退場した企業を対象にしないものです。集中特化によって成功した企業がある一方で、多くの運営が成り立たなくなった企業があるはずです。しかしながら、経営破綻してしまった企業は調査対象から捨象されます。結果、特定分野に特化して生存した企業のデータのみが収集されるのです。パイオニアは目先の利益(今売れているもの)に魔釣られて調和を失い、カーナビ事業に特化したことで、Core Competence(競合他社に真似できない核となる能力)があった既存のResearch & Development (研究開発)を捨象(リストラ)してしまったのでした。研究開発部門の人財に対するLove & Harmonyを企業価値として認めることができなくなってしまった日本メーカー崩壊・消滅の縮図です。本当に、もったいない。(以上)

神隠しにあったケイシーちゃんは、ツタに絡まって身動きが取れなくなっているところを発見されたそうです。捜査した方々の尽力のお蔭で、小さな命が救われた。めでたし、めでたし。
行方不明の3歳男児、丸2日後に無事発見 ノースカロライナ
(CNN 2019.01.25 Fri posted at 17:50 JST)
missing-boy-casey-lynn-hathaway-super-169
 米ノースカロライナ州で民家の庭から行方不明になっていた3歳の男児が、捜索開始から丸2日が過ぎた24日夜、無事に発見された。米連邦捜査局(FBI)の報道官が発表した。
 ケイシー・リン・ハサウェイちゃん(3)は22日、曾祖母宅の裏庭で親戚の2人と遊んでいたが1人だけ家に戻らず、家族が緊急通報していた。
 FBIによると、ケイシーちゃんの健康状態は良好。家族と再会し、病院で手当てを受けているという。それ以外の詳細は今のところ発表されていない。
 捜査当局やボランティアなど100人以上のチームが厳しい寒さの中、48時間にわたって周囲の林を捜索していた。ヘリコプターやドローン、捜索犬も送り込まれ、ダイバーが近くの池を捜した。海兵隊のチームも出動したという。

参照: 「8月15日の出来事」(2018年08月16日)

氣を引き締めて参りましょう。


閑話休題(ソレハサテオキ)


1月11日の「講書始の儀におけるご進講」の中に、本庶佑博士(1942年1月生・日本学士院会員)の『免疫の力でがんを治せる時代 』と題されたものがありました。PD-1抗体によるがん治療が分かり易く解かれています。耳を傾けましょう。
免疫の力でがんを治せる時代
近年の医学の進歩によってヒトの平均寿命は著しく伸び,日本人女性は87歳,男性は81歳と報告されています。このような長寿社会を迎え,従来からの課題である「どのように幸福に生きるか」だけではなく,今や「どのようにして幸福な死を迎えるか」ということが重要な課題となっております。私も含めて大多数の人が病にかからず自然死を迎えたいと願っていると思いますが,残念ながら,大部分の人が病で亡くなります。我が国では病死の中でもがんは30%を占め,毎年100万人が新たにがんと診断され,40万人が亡くなっています。また,人口の高齢化と共にがんの発症者数と死亡者数は年々増加しております。

がんの治療法も徐々に進歩を遂げており,乳がん患者では5年以上生存する率は91%で10年以上生存する人も珍しくありません。しかし,中には膵臓がんや肺がんのように5年生存率が10%未満から40%程度と治療成績の低いがんもあります。これまでのがん治療法は,外科的手術,放射線照射及び抗がん剤投与が主流です。これら三つの治療法を,がんの種類や進行度によって組み合わせて治療します。不幸にして治療が成功せず,末期がんとなった患者の苦しみを見聞きすることによって,がんは最も恐ろしい病だと多くの人が考えています。

ところが,2011年から2014年にかけて自分が持つ免疫力を高めることによる新しいがん治療法が実用化されました。新しいがん免疫療法は従来のがん治療法が成し得なかった,次の三つの大きな福音をもたらしました。第一に従来の方法では全く望みがなかった末期がん患者のうち20から30%が救われたこと,第二はその効果は一旦効き始めると薬の投与を止めたあとも数年以上持続すること,第三に副作用が他の治療法に比べてはるかに軽く,十分な注意をすれば重い副作用で苦しむことが稀になったということです。

この革新的がん治療を可能にした免疫の力とは侵入して来る外敵,すなわち細菌やウイルスのような病原体を見つけて攻撃し,排除する力です。このために免疫細胞すなわちリンパ球は自分の体の細胞成分と外敵とのわずかの違いも区別し,監視し排除できる異物センサーを備えています。また,免疫は一度出会った病原体を記憶しており,次に出会った時には短時間で強力な攻撃力を持つ異物センサー,すなわち抗体を作ります。天然痘の予防などにワクチンが効果があるのはこのような抗原記憶を誘導することができるからです。ヒトやマウスなどの動物が持つ異物センサーの種類は非常に多く,まるで無限のようです。例えば,人工的に作った化学物質をタンパク質と結合させて抗原としてマウスに注入すると,これまで動物が進化の過程でも一度も出会ったことがないと思われる化学物質に結合する抗体を作り,また,記憶できます。限られた遺伝子を持つマウスなどの動物がまるで無限の異物センサーを作る能力を持つかのような現象は,20世紀後半の生物学における大きな謎でした。

1970年代以降の分子生物学の発展により,この謎がほぼ解明されました。まず,骨髄細胞からリンパ球が生まれる時に遺伝子の編集が起こり,リンパ球ごとに異なった異物センサーを持つようになります。この結果,一人一人の体内で多種多様な異物センサーのレパートリーを作る原理が利根川博士により発見されました。後に米国のグループがこれを司る酵素としてRAG-1とRAG-2を発見しました。一方,先程述べたように天然痘ワクチンなどの投与によって抗原記憶を生む仕組みは全く別です。私たちは2000年に抗原刺激によってAIDという酵素が発現し,異物センサーすなわち抗体の遺伝子に新たな変化を刻み込み異物センサーの機能を高めることを発見しました。これほど精緻で無限とも思える遺伝子を変化させて作る異物センサーの仕組みは,約5億年前に誕生した原始脊椎動物が,進化の過程で獲得したものです。脊椎動物の原始型として現存しているヤツメウナギはAIDの祖先型の酵素の働きでリンパ球でのレパートリー形成にも関わります。RAG-1とRAG-2は硬骨魚類へ進化の段階で獲得された酵素です。ヒトや動物の免疫系はRAG-1,RAG-2とAIDの二群の酵素の働きで異物センサー遺伝子のレパートリーを作りさらに変化させ,膨大なアンテナを張り巡らせて侵入する外敵を監視し排除することができます。

しかし,このしくみは両刃の剣です。もし,このようなセンサーが自分の細胞を間違って敵と認識したり過剰な反応をした場合には重大な病気を引き起こし,死に至ることがあります。したがって,免疫系が正しく働くためには,自動車のように,アクセルとブレーキが必要です。アクセル役をする分子はセンサーが異物を捕まえた時に同調して働き,免疫細胞は活性化されます。一方,過剰な免疫反応を抑えるために,二種類のブレーキ役の分子が存在します。これは自動車に例えるならば,駐車場におけるパーキングブレーキに相当するCTLA4と道路走行中に使うペダルブレーキに相当するPD-1と呼ばれる分子です。PD-1は私たちが1992年に発見し,6年かけてこれが免疫反応のブレーキであることを明らかにしました。

免疫系の監視システムはがん細胞も捕らえ排除できるはずだと予想されていましたが,多くの研究者の永年の努力にもかかわらず,免疫系を使ってがんを治すという試みは成功しませんでした。その理由としては,研究者は免疫のアクセルを踏むことによるがん治療に集中してきたのですが,実はがん細胞は免疫にブレーキを入れてその攻撃を逃れることで大きな腫瘍になっていたのです。逆に考えると,大部分のがん細胞は生まれても大きな腫瘍になる前に免疫の力で殺されていたのです。事実,臓器移植を受け長期に免疫抑制剤を服用した人ではがんの発症率が数倍から10倍以上高くなります。そこで発想を変えてアクセルを踏み込むのではなくブレーキを外してやることによって免疫力を強化し,がんを治療するという試みがAllison博士によって1996年に報告されました。彼は,CTLA4に結合して駐車ブレーキを効かなくする抗体を使ってがん治療が可能なことをマウスで証明しました。しかし,CTLA4という駐車ブレーキを破壊したマウスは免疫力が暴走し,極めて強い全身性の自己免疫症状を起こすので,生後4週間か5週間で死んでしまいます。一方,PD-1ブレーキを破壊したマウスでは道路においてのエンジンブレーキ等の自動制動作用が働くかのように自己免疫症状はゆっくりと,しかも局所に現れます。これらのことからCTLA4を抑えると強い副作用が起こりヒトには使えない可能性があると考えて,私たちは2002年にPD-1ブレーキを効かなくする抗体を使ってがんの治療ができることをマウスで証明しました。

そこで私はPD-1ブレーキを効かなくする抗体を使ってヒトのがん治療に応用することを考え,製薬企業の協力を求めました。しかし,2002年の段階では免疫力でがんを治す試みが永年失敗の連続だったせいで,「ブレーキを外して免疫力を強化してがんを治す」という新しい発想に開発投資をする企業は当初皆無でした。幸い米国のベンチャー企業が私どもの特許に注目し,共同研究を申し出てくれて,2006年からヒトを対象とした臨床試験が始まりました。まもなく,PD-1抗体は,驚異的な効果を示すことが明らかとなりました。2012年には肺がん,メラノーマという皮膚がん,腎がんの末期患者の20%から30%に有効だという報告が発表されました。さらに,多くのがん専門家を驚かせたのは,この治療を行い有効であった患者への薬剤投与を中止しても,再発がなかったということです。副作用は肺線維症,大腸炎などの自己免疫病が見られましたが,抗がん剤などに比べて極めて軽く,また副作用もステロイドによって治療が可能であります。その後,リンパ腫,頭けい部がん,胃がんなどで次々に臨床試験が行われ,いずれも従来の抗がん剤よりも有効であることが示されました。CTLA4抗体はこれより早く2004年からメラノーマに対して臨床試験で有効性が示され,2011年に治療薬として認可が得られました。PD-1抗体は2014年にやはりメラノーマの治療薬として承認を得られ,現在,肺がん,腎がん,大腸がん,リンパ腫,頭けい部がん,胃がんなど12種類以上に使うことが認められています。一方,CTLA4抗体は予想どおり副作用が強く,単独ではメラノーマのみです。PD-1抗体との併用では肺がん,腎がん,大腸がんへの治療の承認が行われました。

なぜがん細胞が免疫細胞によって異物と認識されるのかという理由は,近年のがん細胞の遺伝子解析の結果からその回答が得られました。すなわち,がん細胞は急速に分裂を繰り返すために1細胞あたり1000個から1万個の様々な遺伝子に傷がつき,その結果自分の細胞とは違う実質的に異物と等しい細胞に変わるので免疫系の異物センサーに捕らえられ,排除されるのです。脊椎動物が病原体との戦いの進化の過程で獲得した精緻な異物センサーシステムががん細胞の排除にも役立つということは想定外のボーナスと言っても良いでしょう。現在,PD-1抗体による治療は,ますますその対象を広げ,ごく最近,遺伝子に高頻度の変化があるがんは全て治療対象にして良いと米国FDAが認可し,ほぼすべてのがんに使える状況となりました。

しかし,PD-1ブレーキを外す治療法ですべてのがん患者が救われるということになった訳ではありません。残念ながら,効くヒトと効かないヒトがあります。また,軽いとは言え,人によっては自己免疫病という副作用を引き起こすこともあります。

現在,多くの研究者がPD-1抗体と各種の治療法との組合せで治療効果をあげようとしています。例えば,少量の抗がん剤や低線量の放射線照射との組み合わせでPD-1抗体の効果を一層高めようと試みています。また,CTLA-4とPD-1以外の弱いブレーキが発見され,これを外すことも試みられています。また,私達も免疫細胞の代謝を活性化させる薬剤とPD-1抗体を組合せることによって一層の治療効果が得られることをマウスの実験で示しました。PD-1と何らかの薬剤との組み合わせによるがん治療の臨床試験中のものは現在1000種類にも及んでいます。

効くヒトと効かないヒトとの識別についても多く研究が行われております。先に述べましたようにがん細胞の中にたくさんの遺伝子変異が蓄積して異物のようになったがん種には良く効きます。もうひとつ重要なことは患者さん自身の免疫力が強いかどうかですが,ヒトの免疫力は千差万別です。例えば,同じインフルエンザウイルスに感染したとしてもくしゃみや鼻水で済む人と,40度近い高熱で場合によっては死に至る人もいます。免疫力に関わる遺伝子は恐らく何百もあり,ヒトのDNAを調べることによってその人の免疫力が強いかどうかを判定することは容易ではありません。そこで,免疫細胞が持つ様々なタンパク質の発現を指標にして,これを解明しようとする努力が私達も含め多数の研究者によって行われておりますが,いまのところ,明確な指標はまだ確立していません。

2016年に”New Scientist”という英国の科学雑誌は,「我々は今,がんにおけるペニシリンの発見ともいうべき時期にいる」と述べています。この記事では,感染症の治療に劇的なインパクトを与えたのはペニシリンだが,ペニシリンによってすべての感染症治療が完成したわけではなく,その後何十年にも及ぶ多くの人の努力によって次々と新しい抗生物質が発見され,前世紀末には感染症がほぼ克服されたことを例として,PD-1抗体によるがん治療の進歩によりがんが征圧され,誰もが安らかな死を迎える日がくるのではないかと示唆しております。この夢が実現することを切に願っております。

「ガン=死」または「ガン=凄絶な死」と結び付ける時代は過ぎ去りました。
前向きに未来志向の治療ができる時代に私たちは生きています。
今日という掛替えのない一日を素直に受け取り戴きましょう。
朝起きて、天・地・人に「おはようございます」と言いえる幸せがあります。

大きな笑顔の佳き週末を。

特産品は南高梅 和歌山県みなべ町は梅酢うがいで風邪予防
(日刊ゲンダイ 2019/01/18 06:00)
 1月に入り、インフルエンザが全国的に猛威を振るっている。しかし、梅の産地、和歌山県民はインフルエンザや風邪に強いという。ウェザーニューズの「日本の風邪事情」(2011年)調査でも、風邪をひいた回数が全国で最も少なく、全国平均が年2.34回のところ、1.94回だった。
 その理由は、梅干しの消費量にあると考えられている。「梅」に含まれるポリフェノールやビタミンEなどの抗酸化成分に風邪やインフルエンザ予防の効果が認められたからだ。
 和歌山県立医科大学の研究によると、とくに県内のブランド梅「南高梅」に含まれるポリフェノールの一種「エポキシリオニレシノール」に、インフルエンザなどのウイルス増殖を抑制する働きがあることが分かっている。
 総務省の家計調査(15〜17年平均)で、1世帯あたりの梅干しの年間購入量を都道府県庁所在地別にみると、全国平均は1323円(760グラム)だったが、和歌山市は3529円(1775グラム)。金額、数量ともに全国1位である。
 とりわけ南高梅誕生の地、みなべ町(1万2804人)では、町民に向けて梅や梅の加工品を利用した風邪対策を積極的に行ってきた。
 同町は、全体の約7割が林野面積で、「南高梅」の梅林が広がる日本一の梅の産地。もともと、稲作が不振で江戸時代に代替で梅栽培を始めた。約400年前から続けてきた「みなべ・田辺の梅システム」は、15年に世界農業遺産になっている。
d4ba7b7ed09110f05ae64f22a592d40a20190117145933565[1]
■2014年に「梅干しおにぎり条例」を制定
 明治時代に、梅の生産から加工まで一貫した梅干しの商品化に成功。梅の産地として知られるようになり、加えて梅酒、ジュースや梅ジャム、梅シロップなどの加工品も多く梅は生活に欠かせない必需品といっていい。
 14年には「梅干しでおにぎり条例」を制定し、15年には「梅で健康のまち」を宣言。町民に梅干しを食べるよう働き続けてきた。

梅干しを入れたおにぎりを食べることを推奨し、町内の梅の消費を促しつつ、機能性の高い健康食品なので健康増進も図りたいという思いからです。もちろん、おにぎりに梅干しを入れなくても、罰則はありません」(みなべ町うめ課担当者)

 6月6日の「梅の日」には、スーパーに“梅干しおにぎり”専用の棚を設けたり、町内の小中学校で梅干しのおにぎりを作って食べる企画を実施している。

町内の小中学校では梅干しを常に食べられるように無料提供もしています」(前出の担当者)

 また、冬場には梅干しを漬けた液である梅酢を使ったうがいも行う。梅干しを漬けたときに出る梅酢に含まれるポリフェノールにも、ウイルスを抑制し、感染力を弱める効果が認められているためだ。
 保育所や小中学校でも推奨し、家庭の洗面所にも梅酢を置いている。町民はこれを7、8倍に薄めた液でうがいを続けている。町ぐるみの対策が“風邪に強い町”の原動力だ。
onigiri_chirashi[1]onigirijorei[1]
http://www.town.minabe.lg.jp/docs/2016053100015/files/onigirijorei.pdf

札幌市内の多くの内科の病院・クリニックの院内が混雑していたようです。感染症の流行によるものでしょう。風邪やインフルエンザは何かしらの理由があってかかっているに違いありませんが、かかってしまうと、実につらいですね。
十二分に お気をつください。


閑話休題(ソレハサテオキ)


自衛隊(Self-Defense Forces)は「憲法上の戦力(War potential)」ではない、「国際法上の軍隊(Military)」である”というスッキリしたフレーズは、篠田英朗氏(1968年生)のブログ『「平和構築」を専門にする国際政治学者』の「軍隊としての自衛隊の合憲性」(2018年09月10日)で教えていただきました。さすが、お見事です。→ http://shinodahideaki.blog.jp/archives/28464955.html

4年前の5月3日の憲法記念日に、日英両文で『平和憲法思案』を書いて、私の第9条の理解を開陳しました。
平和憲法を象徴する日本国憲法第9条は現在「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国除紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。2)前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」となっているが、第96条「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。 2)憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する」の改正手続きを以て、日本国憲法を現実に即した姿に改正したい。

第9条は日本国民は自国の主権を維持し、他国と対等に交戦権を有する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持する。しかしながら、他国から私たちへの武力の行使を除き、私たちは国権の発動たる戦争は永久にこれを放棄する』(The Japanese people will be recognized the right of belligerency of the state as our own sovereignty and justify our sovereign relationship with other nations. In order to accomplish the aim of the preceding paragraph, land, sea, and air forces, as well as other war potential, will be maintained. However, except the threat with use of force from other nation(s) to us, we forever renounce war as a sovereign right of the nation.) と明記するなら、平和憲法として世界に誇れるものになるだろう。
(※注)これまで長きに亘って、日本の外交官や自衛隊幹部が海外で、自衛隊が事実上の軍隊でありながら、正式には戦力ではなく、軍隊としての法的認定と運用はできないのだと説明してきた事実がある。現実との矛盾は極めて説明しづらいことであったに違いなく、国是たる日本国憲法第9条と自衛隊の関係の理解を諸外国の当局者に促し続けてきた人々の努力と苦労は忘れてはいけない。日本国憲法前文を咀嚼するなら、自衛隊=Self-Defense Force と名乗るよりはSelf-Defense Organizationとした方が第9条第2項に記された「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」に最適であった。第9条は日本国憲法のカーネル(kernel)であり、オペレーティングシステム (OS) の中核となる部分なのだから、カーネルは取り替えることができません、と言い切るのもスマートだ。このようなストーン・ロジックが日本国憲法第9条第2項の擁護者たちには必要。現状の平和憲法を強烈にサポートするロジックを考えてみたい。
20f52e37[1]
流れのままに 2015年05月03日 http://way6.livedoor.blog/archives/53112048.html

憲法9条の原文は「Aspiring sincerely to an international peace based on justice and order, the Japanese people forever renounce war as a sovereign right of the nation and the threat or use of force as means of settling international disputes. In order to accomplish the aim of the preceding paragraph, land, sea, and air forces, as well as other war potential, will never be maintained. The right of belligerency of the state will not be recognized.」です。日本国憲法が保持を禁止しているのは「land, sea, and air forces, as well as other war potential(陸海空軍その他の戦力)」であり、「軍隊(Military)」ではありません。自衛隊(Self-Defense Forces)は軍としてのForce ですが、憲法上の「the threat or use of force as means of settling international disputes(国除紛争を解決する手段としての武力による威嚇又は武力の行使)」のための戦力としてのForceではないのです。ですから、英文名を Self-Defense Force と名乗るよりは Self-Defense Organizationとした方がよいと考えています。

先の大戦の敗戦後に何故、昭和天皇は「非武装中立の日本(Unarmed neutral Japan)」ではなく、「日本と合衆国との安全保障(Security Between Japan and the United States)」を選択なさったのかを考察中です。日本の共産主義勢力と復活の可能性を秘めた軍国主義勢力への二重の封じ込めを求めた結果には違いありませんが・・・。考えがまとまり次第、アップさせていただきます。お楽しみに🎶


大きな笑顔の佳き土曜日を。
SunSunの朝陽を浴びながら。

(追記)
Les Miserables:悲惨なグローバリストたち
ダボス会議、先行き懸念中心に討議へ 主要国首脳は相次ぎ不参加
(ロイター 2019年1月18日 / 10:09 / 11日前)
[ミラノ 17日 ロイター] - 来週22─25日にスイスのダボスで開催される世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)は、一部主要国の首脳が国内情勢を理由に参加を見送る中、貿易摩擦などの通商問題、英国の欧州連合(EU)離脱、世界経済の減速を背景とする経済・政治の先行き懸念が議論の中心となる見通し。
 世界経済フォーラム(WEF)が今週発表したグローバルリスク報告書は、経済大国の間で生じている地政学的緊張などを理由に、世界経済が今後、逆風に直面する可能性を警告。ダボス会議が重苦しい雰囲気となる前兆を示した。
 会議では世界中の企業や政府の首脳、市民団体の指導者など3000人程度が一堂に集まることになる。ただ、主要7カ国(G7)の首脳で参加するのは安倍晋三首相とメルケル独首相、コンテ伊首相の3人のみとなる。
 トランプ米大統領は米政府機関の一部閉鎖が続く中、参加を見送った。また、ホワイトハウスのサンダース報道官は17日、大統領が政府代表団の派遣を中止したことを明らかにした。
 仏政権に抗議する「黄色いベスト」運動への対応に奔走するマクロン大統領と、ブレグジット(英EU離脱)協定を巡り国内の合意形成を目指すメイ英首相も欠席となる。
 G7以外でも、ロシアとインドの首脳は欠席する見通しで、中国は習近平国家主席の代わりに王岐山国家副主席が参加する。
 調査会社IHSマークイットのチーフエコノミスト、ナリマン・ベーラベシュ氏は「ダボスでは株式市場や景気減速、国際政治に関する強い不安感が議論の中心となる見通し」だと指摘。
 参加する各国の首脳や政府幹部は「信頼感を醸成し、企業や投資家を安心させることを狙うだろう」と述べた。(後略)

「現代の理論」の『「特集」歴史の転換点に立つ・2016夏号(2016.8.1発行)』に合衆国のグローバリズムの破綻と実相を知らしめる白眉な小論があります。
『米大統領選―グローバリズム落日の影「政治権力」は再編成へ 共和党は自己崩壊』国際問題ジャーナリスト 金子 敦郎
(以上)

このページのトップヘ