899f9582.jpg　教育と学問はまったく別の代物である。ここのところ、わが日本には教育を論じた本は山のようにあっても、学問について書いた良書が見当たらない。仕方がないから岩波文庫にある百年昔の名著を紐（ひも）解いてみる。世界的な古典としての福沢諭吉の『学問のすすめ』を読むと人生が楽しくなる。もし、この１年間にたった一冊しか本を読まないのなら、その本として『学問のすすめ』を忘れないでいただきたい。明治の日本人国民の5%以上が読んだという大した本である。初編は1872年（明治五年）に出版され、1880年（明治十三年）に福沢諭吉が書いた序文には、全編合計で70万冊、初編は20万冊をくだらない、とある。その後も読み継がれ、合計400万部売れたとの説もある。初編には次のようにある。

『この、実社会に役立つ学問が身について、初めて一人ひとりが自分の役割を果たせるようになる。自分の仕事もできるようになるのだ。こうして個人が独立でき、家も独立でき、ひいては国家が独立できるのである』

『今の世に生まれ、国のために役立ちたいとの心を持っている者は、日本の国についてわが身を苦しめ、思いを焦がすほどに心配しなくていいだろう。大切なことは、この立派な心がけを持ったうえでまず自分の行いを正しくして、しっかりと学問を志し、広く物事を知り、自分にふさわしい智慧と徳を見につけることである。そして、政府はその施策を行なう時、わかりやすく国民に知らせ、国民が苦しむことがないようにしなければならない。こうして、国民と政府はお互いに国の平和を守ること一つに目標を置かなくてはならない。私がすすめる学問も、この一点を目指しているものである』

　このように『学問のすすめ』では人として世の中を生きていくための心得となるべきものを取り上げて、学問の本当の趣旨・目的というものを示している。国家の評価も国家の力も、その国の制度で見てしまいがちだが、その国の国民のレベルで決まってしまうものである。
　今月、ハイブロー武蔵さんの現代語訳と解説のある『学問のすすめ』が総合法令・通勤大学文庫より出版された。お手ごろな850円の値がついている。名訳・名解説が楽しめる☆

　感謝

※貯金箱といえば普通は小銭をせっせと貯めるもの。写真の貯金箱はなんと一万円札専用「福沢諭吉さんが喜ぶ貯金箱」。100枚入るようになっていて、最終的には100万円貯まる。この貯金箱は創業50年のジグソーパズルを日本に初めて輸入した株式会社やのまん(http://www.yanoman.com)のオリジナル商品だ。50万円貯まる五千円札専用は「樋口一葉さんが喜ぶ貯金箱」、10万円貯まる千円札専用は「野口英世さんが喜ぶ貯金箱」。値段は本体価格で750円。さあ、みなさんはどなたに喜んでいただきますか♪やっぱり、福沢諭吉さんですね☆　では、今日から『学問のすすめ』を紐解いてみましょう。