cd43a5c2.jpg 「戸籍には、犯罪歴や破産歴が記載されているというのは本当ですか?」という質問を何度か受けたことがある。戸籍簿は、国民の出生・死亡・婚姻・離婚などの事実(身分関係)を登録・公証するための公簿であるから、犯罪歴や自己破産した事実が記載されることはない。ただ、罰金以上の刑(道路交通法違反の罰金を除く)を受けた者については、本籍地の市町村役場に保管される犯罪人名簿に一定期間記載される。これは、一定の職につく資格又は選挙権・被選挙権の有無の調査・確認のためのもので、この名簿を見ることができるのはごく限られた機関のみ。本人も見ることができない。

 チト変わった質問があった。「恩赦により刑が減刑された場合、履歴書の賞罰の欄には恩赦前と後のいずれを書くとよいのですか?」というもの。
 刑法第32条(刑の消滅)・恩赦法第3条と第5条を見てみよう。

【刑法第三十四条の二】禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
 刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。

【恩赦法第三条】大赦は、前条の政令に特別の定のある場合を除いては、大赦のあつた罪について、左の効力を有する。
一  有罪の言渡を受けた者については、その言渡は、効力を失う。
二  まだ有罪の言渡を受けない者については、公訴権は、消滅する。

【恩赦法第五条】特赦は、有罪の言渡の効力を失わせる。

 日常よく使われる「前科」という言葉は確定判決で刑の言渡しを受けたことをいうが、法令上の用語ではない。また、恩赦とは内閣が決定し天皇が認証する国事行為(日本国憲法第7条の6及び第73条の7)で内閣が、裁判所から判決が下った刑の全部または一部を消滅させたり、特定の罪について公訴しないことにする行為。別の表現では、行政権又は議会により国家の刑罰権の全部又は一部を消滅もしくは軽減させる制度のこと。大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除、復権の5種類からなる。
 効力及び中央更生保護審査会の申し出などの手続きは、恩赦法(昭和22年法律第20号)に定められ1947年から施行された。恩赦の実施が検討されるのは、天皇家に慶弔事のあった時に多くみられ、13年前、1993年6月に徳仁親王の婚姻が挙行された際、復権を除く恩赦が行なわれた。

 1960年のある日、英国人弁護士ピーター・ベネンソンは新聞を読んでいて、ひとつの記事に目を奪われた。軍政下(当時)ポルトガルで、ふたりの学生がレストランで「自由のために乾杯」と叫んだために逮捕され、7年間の禁固刑を言渡されたという。この報道に衝撃を受けた彼は1961年5月28日、英国『オブザーバー』紙に「忘れられた囚人たち」という記事を寄稿した。8週間後ルクセンブルクのカフェに、ベルギー・フランス・アイルランド・スイス・英国・合衆国から人が集まり、恩赦のための国際組織・アムネスティ・インターナショナルが誕生した。アムネスティは英語で恩赦を意味する。

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