夢違観音法隆寺の夢違観音像。

この像に祈るなら、悪い夢がよい夢に変わると信仰された。

「夢違(ゆめちがい)」の名の由来である。

江戸時代には法隆寺東院の絵殿の本尊として祀(まつ)られていた。

思いだしたくないことを良い夢に変えてくださる夢違観音は、7世紀末〜8世紀初め頃に制作された白鳳彫刻の名品でもある。

閑話休題(ソレハサテオキ)。

法隆寺は、奈良県にある聖徳宗の総本山で、斑鳩寺(いかるがでら)とも呼ばれている世界最古の木造建築物群。

この法隆寺の宮大工・西岡常一氏(1908〜1995)は、「最後の宮大工」と呼ばれ、法隆寺金堂の解体修理や法輪寺三重塔、薬師寺金堂、同西塔などの再建を行った方である。興味深いことを語っている。

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木にはそれぞれクセがあり、一本一本違います。
産地によって、また同じ山でも斜面によって変わります。
真っすぐ伸びる木もあれば、ねじれる木もある。
材質も、堅い、粘りがあると様々です。

木も人間と同じ生き物です。
いまの時代、何でも規格を決めて、それに合わせようとする。
合わないものは切り捨ててしまう。
人間の扱いも同じだと思います。
法隆寺が千年の歴史を保っているのも、
みなクセ木を使って建築しているからです。
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今も宮大工の世界では『木は生育に使え』と言われている。
南側の木は建物の南に使うということ。

西岡氏はこうも語った。

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建物は良い木ばかりでは建たない。
北側で育った「アテ」というどうしようもない木がある。
しかし、日当たりの悪い場所に使うと、
何百年も我慢する良い木になる。
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適材適所が良い木を育てる。

感謝