今日は勤労感謝の日。

国民の祝日に関する法律(祝日法、昭和23年7月20日法律第178号)第2条によれば、「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」ことを趣旨としている。(参照:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO178.html

豊葦原瑞穂(とよあしはらみずほのくに)である日本は、古来神々に五穀豊穣を祝う慣習があった。飛鳥時代の皇極天皇の時代(642〜645)には、収穫物に感謝する大事な行事として新嘗祭(にいなめのまつり;にいなめさい;しんじょうさい)が始まった。その年の収穫物は国家として、それからの一年を養う蓄えとなるのだから天皇行事・国事行為として感謝した。「新嘗」とはその年収穫された新しい穀物のこと。

律令制度のもとでは、季秋(9月)11日に神嘗祭(かんなめのまつり)、仲冬(11月)の最初の卯の日に相嘗祭(あいなめのまつり)、2番目の卯の日に新嘗祭(にいなめのまつり)を行うことにした。この新嘗祭のうち、天皇が即位してから最初に行うものを大嘗祭(おおなめのまつり)と言い、実質的にはその天皇の即位を天下に知らしめる大祭典となっていた。

しかし、大東亜戦争に敗戦した後の合衆国占領軍(GHQ)による統治下では、日本の伝統的・宗教的な祝祭日は廃止され、占領政策としてこの日は「勤労感謝の日」と改められた。残念なことだが、民意を問うという手続き(※注)は導入されなかった。

地域によっては、今も、新嘗祭まで新米を口にしない慣習がある。

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(※注)
GHQによる靖国神社焼き払い計画(ドックレース場建設計画)の中止は、日本国民の民意を反映した結果であるという逸話がある。実は、一神父の進言内容がGHQを動かしたのであった。GHQは靖国神社を焼き払い、ドッグレース場を建設する計画であったが官民に賛否両論が巻き起こり収拾が付かなくなっていた。そこでGHQは、ローマ教皇庁代表であり上智大学学長でもあったブルーノ・ビッター神父に意見を求めた。彼は「いかなる国家も、その国家のために死んだ戦士に対して、敬意を払う権利と義務があると言える。それは、戦勝国か、敗戦国かを問わず、平等の真理でなければならない」とし、「靖国神社を焼却する事は、連合国軍の占領政策と相容れない犯罪行為である」と断言した。そして、「靖国神社が国家神道の中枢で、誤った国家主義の根源であるというなら、排すべきは国家神道という制度であり、靖国神社ではない。我々は、信仰の自由が完全に認められ、神道・仏教・キリスト教・ユダヤ教など、いかなる宗教を信仰するものであろうと、国家のために死んだものは、すべて靖国神社にその霊をまつられるようにすることを、進言するものである」と主張した。これにより、靖国神社は焼き払いを免れたという。
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閑話休題(ソレハサテオキ)。


平成二十三年八月三十日法律第百十号は、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」という全63条で構成された法律だが、関係者の責任の重さの付け方は興味深い。


関係原子力事業者地方公共団体国民関係原子力事業者以外の原子力事業者


となっている。なぜ、「関係原子力事業者以外の原子力事業者」はわたしたち国民と同じ立場なのだろうか。考える必要がありそうだ。この法律の「目的」は、

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第一条  この法律は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故(以下本則において単に「事故」という。)により当該原子 力発電所から放出された放射性物質(以下「事故由来放射性物質」という。)による環境の汚染が生じていることに鑑み、事故由来放射性物質による環境の汚染 への対処に関し、国、地方公共団体、原子力事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、国、地方公共団体、関係原子力事業者等が講ずべき措置について定めること等により、事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することを目的とする。
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となっている。そして、第3条〜第6条に関係者の責任の重さを記している。

法律は文末の表現から、その責務の重さがわかる。
大きく 崚慘狼遡概定」と◆峙遡概定」のふた通りある。

 〜するものとする」:努力義務の典型的な表現で、努力さえしてくれれば、やってもやらなくても良いことを意味する。
〜しなければならない」:強く義務づける時の典型的な表現で、私たちの意思を加味せずに、やらなけくてはいけないことを意味する。

篤(とく)と、ご覧頂きたい。

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第三条  国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、必要な措置を講ずるものとする。

第四条  地方公共団体は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、国の施策への協力を通じて、当該地域の自然的社会的条件に応じ、適切な役割を果たすものとする。

第五条  関係原子力事業者は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、誠意をもって必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に協力しなければならない。

2  関係原子力事業者以外の原子力事業者は、国又は地方公共団体が実施する事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に協力するよう努めなければならない。

第六条  国民は、国又は地方公共団体が実施する事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関する施策に協力するよう努めなければならない。
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参照:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H23/H23HO110.html


国民と関係原子力事業者以外の原子力事業者の二者を恣意的に全く同じ扱いにしている。


立法府である国会で作られたすべての法律が民意を問い、世論を交えて十二分に討議された成果物であるとは限らない。また、国民に周知されることなく成立してしまうものもある。そこが議会制民主主義の恐いところで、私たち国民が常に議会に対して目を見開いていなければ、権力の暴走を認めたことになってしまう。


笑顔の良き祝日を。

感謝
富士山 御来光