日本で発送電分離の形式をとっている場所のひとつに屋久島本島がある。昭和30年代に屋久島電工株式会社(ヤクデン)が製錬所の自家発電のために豊富な流量の安房川を活用して建設した水力発電所で発電している。ヤクデンは経済産業省(旧:通商産業省)から電気事業の許可を得て発電業務を行い、屋久町電気施設協同組合(上屋久町)・安房電気利用組合(安房)・種子屋久農協(その他の地域)の三事業者に受電・配電する電気事業体制をとっている。また、ヤクデンは日本で唯一の炭化ケイ素製造会社である。

炭化ケイ素(Silicon Carbide)は非酸化物セラミックスの一種で、炭素(C)とケイ素(Si)が1対1で結合したもの(SiC)。それは1891年、Edward G.Achesonが合衆国でダイヤモンドを合成しようとした際に偶然発見した。SiC(炭化ケイ素)は有益な特性を数多く持ち、これを活かして耐火材や研磨・研削材として利用されてきた。近年、ファインセラミックス、エンジニアリングセラミックスや半導体の材料として注目されている。

さて、屋久島と言えば、林芙美子原作の映画『浮雲』がある。高校時代に初めて観た。森雅之さんと高峰秀子さんの凛とした入浴シーンが美しかった。

【ストーリー】
幸田ゆき子は昭和十八年農林省のタイピストとして仏印へ渡った。そこで農林省技師の富岡に会い、愛し合ったがやがて終戦となった。妻と別れて君を待っている、と約束した富岡の言葉を頼りに、おくれて引揚げたゆき子は富岡を訪ねたが、彼の態度は煮え切らなかった。途方にくれたゆき子は或る外国人の囲い者になったが、そこへ富岡が訪ねて来ると、ゆき子の心はまた富岡へ戻って行った。終戦後の混乱の中で、富岡の始めた仕事も巧くゆかなかった。外国人とは手を切り、二人は伊香保温泉へ出掛けた。「ボルネオ」という飲み屋の清吉の好意で泊めてもらったが、富岡はそこで清吉の女房おせいの若い野性的な魅力に惹かれた。ゆき子は直感でそれを悟り、帰京後二人の間は気まずいものになった。妊娠したゆき子は引越先を訪ねたが、彼はおせいと同棲していた。失望したゆき子は、以前肉体関係のあった伊庭杉夫に金を借りて入院し、妊娠を中絶した。嫉妬に狂った清吉が、富岡の家を探しあて、おせいを絞殺したのはゆき子の入院中であった。退院後ゆき子はまた伊庭の囲い者となったが、或日落ちぶれた姿で富岡が現れ、妻邦子が病死したと告げるのを聞くとまたこの男から離れられない自分を感じた。数週後、屋久島の新任地へ行く富岡にゆき子はついて行った。孤島の堀立小屋の官舎に着いた時、ゆき子は病気になっていた。沛然と雨の降る日、ゆき子が血を吐いて死んだのは、富岡が山に入っている留守の間であった。ゆき子は最後まで環境の犠牲となった弱い女であった。
http://www.kinejun.jp/cinema/id/24371 より

原作は1951年に六興出版から初版が出ている。


監督:成瀬巳喜男; 脚本:水木洋子; 製作:藤本真澄; 出演者:高峰秀子・森雅之 音楽:斉藤一郎; 撮影:玉井正夫; 編集:大井英史; 配給:東宝; 公開:1955年1月15日; 上映時間:124分


閑話休題(ソレハサテオキ)


日本の電波法施行規則2条1項50号には、「「VOR」とは、108MHzから118MHzまでの周波数の電波を全方向に発射する回転式の無線標識業務を行なう設備をいう」と定義されている。昨日、屋久島のVORが作動しなかった。


屋久島空港で無線トラブル、6便が欠航
(2012年3月23日14時04分 読売新聞)
23日午前6時26分、鹿児島県屋久島町の屋久島空港で、航空機に針路などを伝える無線施設「屋久島VOR」の電波が発射できず、計器飛行による離着陸ができなくなった。
 約6時間後に復旧したが、鹿児島発屋久島空港行きなど日本エアコミューター(JAC)の6便が欠航した。
 国土交通省鹿児島空港事務所が現地に職員2人を派遣し、原因を調べている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120323-OYT1T00490.htm

屋久島空港のVOR復旧、平常運航に
(MBCニュース03/23 14:46)
けさ早く、屋久島空港の無線施設で障害が見つかり、屋久島空港を発着する便が一時、運航を見合わせる事態となりました。午後0時半に復旧し、平常運航に戻っています。障害が見つかったのは、屋久島空港のVORと呼ばれる無線施設です。この施設は、航空機が発着する際に、滑走路の方向や航空機との距離などを知らせるもので、鹿児島空港事務所によりますと、けさ6時半ごろ、このVORに障害が見つかったということで す。空港事務所は、現地に技術者を派遣して修理にあたり、およそ6時間後の午後0時半に無線施設は復旧しましたが、この影響で、午前中の便を中心に屋久島 と鹿児島、大阪を結ぶ合わせて6便が欠航しました。空港事務所で原因を調査しています。
http://www.mbc.co.jp/newsfile/mbc_news_disp.php?ibocd=00216184_20120323

屋久島空港 無線施設のトラブルで混乱
[ 3/23 23:22 KYT鹿児島読売テレビ]
23日朝6時半過ぎ、屋久島空港に隣接する「屋久島VOR」と呼ばれる無線施設で障害が発生し、航空機の離発着時に受信する電波を発信できない状態になった。そのため、屋久島と鹿児島や大阪を結ぶ合計6便が欠航し、乗客136人に影響が出た。鹿児島市の高速船乗り場では、航空機の乗客が高速船で屋久島に渡ろうと詰めかけたため、午前から混雑した。無線施設のトラブルは、高速船で屋久島に渡った空港事務所の職員が、機材の再起動を行ったところ解消された。詳しい原因は分かっていない。屋久島空港の無線施設では、同様のトラブルが6年前にも起こっている。
http://news24.jp/nnn/news8721882.html


国土交通省のVOR/DME等配置図( http://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000400.html)によると、日本全国には118のVOR施設がある。今回の種子島に近い屋久島の件を教訓として、全体制の点検・見直しをしたい。安全運航の確保、それは人命を守るためにある。


大きな笑顔で良き週末を

感謝