久々に、本の紹介を。


『なぜ「いい人」は心を病むのか』(町沢静夫著・PHP研究所・500円税込)

本書のテーマは、他人との関係において傷つくことを恐れ、傷つけることを恐れて、「いい人」になってしまう結果、自分を見失い、自分の本音すらわからなくなるような状況を変革したいところにある。

真面目で純粋な、やさしい人が傷ついていく
・「やさしさ」と「弱さ」の精神分析
・心の病にかかりやすい性格
・傷つきたくない「いい子」の危機
・「いい人」よりも「必要な人」となるために


「おわりに」に作者は以下のように記している。

 私は勉強を一つの遊びとして包み込むことが必要と考えます。
 かくて「いい子」は本当に社会の役に立ってくれるでしょうか。答えは当然「ノー」です。私たちは母親から愛情の真綿でくるまれるのではなく、母親から自立を勝ち取り、自己主張をし、自分の行動に責任を持って生きることができる人間を期待するものです。そういう人間こそまさに「いい人」なのです。そしてそのような「いい人」というのは心の柔軟性があり、遊び心があり、ユーモアがあるものです。
 遊び心というのは、いわばユング的な「トリックスター」というわれるものであろうと私は思っています。トリックスターというのは、自己と他者および周囲を攪乱(かくらん)する形で新しい生き方を創造しようとする人のことです。彼らは常識的なるものと異端、高級なるものと下品なもの、本音と建前といったことを一つの鍋に入れ、溶かし、新しい考え、新しい創造的なものを生み出すものだと考えられます。
 トリックスター的な行動こそ、このような混乱した社会、あるいは膠着(こうちゃく)した社会に要求されるものです。したがって、私たちが目指す「いい人」像とは、このような遊び心を持ちつつ、自分にふりかかるさまざまな人生の問題に積極果敢に立ち向かい、力強く創造的に乗り越えてゆく人だと、私は考えるものです。
 これからの社会に必要とされる「いい人」と考えているのは、ある意味で荒々しくも自分の信念に従って世の中を航海し、旅を続け、その旅の途上でさまざまな好奇心から栄養分を取り込んでいく人のことです。そして、自分の根源的なアイデンティティを見つけ、さらに奥にある人間であることの本質に達することができるなら、その人こそ本来の「いい人」であると考えています。
 このように表現すると、「いい人」であることはいかにも難しいと思われますが、私は「いい人」ということで病的な形に陥っていく人たちに対する警告として、あえて強くそのことを主張したいのです。



自分の子を褒(ほ)め続けて育て、「いい子」にさせてしまったから、登校を拒否するようになったということもありえるのです。自分と子らとの関係を見直す必要に迫られている人にも本書はオススメです。


大きな笑顔の良き週末を

感謝
なぜ「いい人」は心を病むのか