最近は選挙が近いからであろう、安心して暮らせる日本にと笑顔で主張する政治家たちをテレビで目にする。そして、福島第一原発からは未だ放射性物質が毎日放出され続けている。にもかかわらず、放射線放出を「収束」させることを急務の課題として最優先に主張する政治家は見当たらない。福島第一原発がもたらした課題が「終息」したかのように演出している現代日本ではあるが、海外の目は誤魔化せない。私たち民衆が住む日本は、危機の真っ只中にあるという自覚を持ちたい。
ロシア 日本産海産物の輸入禁止措置解除を急がない
(VOR 24.11.2012, 08:00)
 ロシアは、昨年3月の福島第一原発事故の直後に導入された日本からの魚介類の輸入禁止措置解除を急ぐつもりはない。ロシア農業監督局が伝えたところでは、日本側は、日本企業242社の製品に対する制限措置解除の可能性を検討するよう、ロシア側に求めた。
輸入禁止措置
 金曜日、ロシア農業監督局のエフゲニイ・ネポクロノフ副局長と日本の水産庁漁政部の森下丈二(ジョウジ)参事官が会談し、現在形成された状況について意見を交換した。
 ロシア側の発言では、福島第一原発付近の自然堆積物における放射線量が減っていないというものなど、この件に関し日本から届く情報が矛盾しているため、最終的な決定は下されなかった。なおEUも、日本からの魚介類の輸入を今も許可していない。http://japanese.ruvr.ru/2012_11_24/95718110/より転載

福島原発事故の脅威は日本から去らず
(リュドミラ サーキャン 22.11.2012, 15:31)
 福島第1原発の水域付近で捕獲されたイワナから通常の値の100倍を超える放射線量が検出された。原発から20キロ離れた地点で獲れたイワナからは1キロあたり1万1400ベクレルの放射線セシウム137が検出されている。
 他の魚からは1キロあたり3000−4000ベクレルの放射線量が検出された。環境省は第1原発の北を流れる仁井田川と飯館村で検査を行なった。この結果、川魚より海で獲れた魚のほうが汚染度が低いことがわかった。一方で「サイエンス」誌は福島県沿いの海底で獲れた魚の組織からは依然として日本政府の定めた基準値を超えるセシウムが蓄積されており、原発近海の水中へは未だに放射性同位体が流れ込んでいる事実が裏付けられる。
 基準値を超える高濃度の放射性セシウムは青森県のいくつかの洲、長野、静岡など原発から数100キロ離れた場所でも観測されている。日本の基準値だとキノコの場合1キロあたり100ベクレルが上限となっているが、第1位原発から350キロも離れた地点でさえ、これだけの量が検出されている。前出の県ではキノコの採集、販売が禁じられた。    
 原発事故後、半年をへた時点でセシウムの放射性同位体が見つかったのは福島県の洲に限定されていたにもかかわらず、なぜ今回事故の後1年半もたって、福島から離れた県の洲でも放射性同位体が検出されたのか、今のところ研究者らはその原因を分かりかねている。
 ベラルーシではチェルノブイリ原発事故後、国土の20%にあたる森林地帯、農地が放射性物質によって汚染されている。
 ベラルーシ科学アカデミー、放射性生物学研究所、放射線環境学実験室に上級研究員として勤務するナタリヤ・シャマリ氏はVORからのインタビューに答え、これはいわゆる放射性物質の地域限定的な飛び火現象だとして、次のように語っている。
 「放射性物質の沈殿はかならずしも事故原発周辺地域で起きるわけではありません。チェルノブイリから600キロ以上離れたブリャンスク州の放射能汚染は何が原因と説明できるでしょうか?それに南極のペンギンからも放射性物質が検出されましたが、これは何と関連づけることができるでしょう? こういった現象は放射性物質が雨風によってコントロールを超えて拡散した例といわれるものです。チェルノブイリ原発事故後の放射能汚染地図を見ると、非汚染地域のなかに汚染地域やより高濃度の放射線物質が蓄積された地点が点々と存在しているのがわかります。
 魚の汚染ですが、放射性物質は水底に蓄積されるのです。ですから水の流入が少ないほど、放射性物質の汚染度は高くなる傾向があります。最も汚染度が高いのは湖、川でそれにつづいて海となっています。というのも海には大量の水が流れ込むため、濃度が極度に薄まるからです。」
 こうした食物が人体に入った場合、どれほどの危険度があるのだろうか?
 「放射線同位体についてはセシウム、ストロンチウムなど、それぞれの国が独自の基準を定めています。これにプルトニウムのような超ウラン元素を加える国もあり、含有量を調べる食物の種類も様々です。
 原則として体内に入った場合のセシウムの半減期は短く、200−300日とされています。これは半減期が18年にも及ぶストロンチウムに比べると短いといえます。これがキノコに蓄積されたとしても、キノコは毎日食べるわけでも生で食べるわけでもありません。加工の段階で洗い、水に漬けたりしますから、出来上がった段階ではセシウムの量は減ります。これに比べ魚は基準量を大幅に上回った場合は絶対に食してはなりません。」
 日本では魚が食卓に欠かせないが、ベラルーシではキノコを出さないことは考えられない。福島第1の解体、撤去作業を完了するには約40年の歳月が必要とされる。このことからベラルーシ、ロシア、ウクライナの研究者らの経験は日本にとってはとても貴重なものとなりうるのではないか。http://japanese.ruvr.ru/2012_11_22/nihon-fukushima-houshasenryou-kyoui/より転載

「終息」していないのはもちろんのこと、「収束」すらしていない。にもかかわらず、セメントの原料として福島県内の3つの火力発電所で出た石炭灰を搬入するという見識は何を根拠にしているのだろうか。「福島第一原発付近の自然堆積物における放射線量が減っていない」とする海外の主張へ対し、科学的に反論できる根拠を何も持ち合わせていない国・日本。
福島の石炭灰 搬入再開へ
(NHK 11月22日 23時49分)
 北斗市の太平洋セメント上磯工場は、原料に使っていた福島県内の火力発電所で出た「石炭灰」の搬入を東日本大震災のあと見合わせていましたが、放射性物質の濃度が検出限界の値を下回る状態が続き安全性に問題がないとして搬入を再開することを決めました。
 北斗市の太平洋セメント上磯工場では平成10年から福島県内の3つの火力発電所で出た石炭灰をセメントの原料に使ってきました。その後、震災で発電所が被災して運転を一時、停止したほか、福島第一原子力発電所の事故を受け、石炭灰の安全性が確認されていないとして搬入を見合わせていました。
 太平洋セメントによりますと、これらの火力発電所から出た石炭灰に含まれる放射性セシウムの濃度がこの半年以上にわたり、検出限界の値を下回り、道も安全性に問題がないことを確認したとして搬入を再開することを決めました。
北斗市の太平洋セメント上磯工場では、火力発電所から石炭灰の受け入れの要請がありしだい、搬入を再開することにしています。http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20121122/3700861_20121122234903_e7a68fe5b3b6e381aee79fb3e782ade781b020e690ace585a5e5868de9968be381b8.htmlより転載)

本件に関して、地元の北海道議会は危機意識を持ち、搬入反対の決議を知事へ提出し、搬入を阻止してもらいたい。太平洋セメントの前身である小野田セメントは、渋沢栄一(1840〜1931)により創設された。彼は著書である『論語と算盤』に以下のように記した。
事柄に対し如何にせば道理にかなうかをまず考え、しかしてその道理にかなったやり方をすれば国家社会の利益となるかを考え、さらにかくすれば自己のためにもなるかと考える。そう考えてみたとき、もしそれが自己のためにはならぬが、道理にもかない、国家社会をも利益するということなら、余は断然自己を捨てて、道理のあるところに従うつもりである。

「道理のあるところに従う」ことをなさっていただきたい。これには見識を超えた「胆識」が必要だ。


閑話休題(それはさておき)


1970年の今日11月25日は、世界的に知られた日本の作家で氣が狂ってしまった三島由紀夫(1925年1月14日〜1970年11月25日)が割腹自殺した日である。彼の死は前年1969年2月11日の建国記念の日午後11時40分、国会議事堂前にある憲政記念館脇の内堀通りの歩道上でガソリンをかぶって焼身自決した江藤小三郎氏の行動に誘発されたと言われる。焼身自殺者は酒や薬を飲むものだが、血液検査の結果、彼からは酒も薬も出てこなかった。彼の自決には、世を警め同胞の覚醒を促す目的があった。明治維新の功臣・江藤新平の曾孫として横浜市金沢区六浦に生まれた彼は、行年23歳で昇天なさった。遺書「覚醒書」を残している。

覚醒書

混沌たる世界、暗雲立籠む皇国。自然科学におかされ地獄道に落ちし民族。
これを救う道、一事に極む。これ大自然に沿いし無私の心なり。無私の心、真我に通ず。真我集へば破るる事なし。国の大事、すべて無私より始まる。
ここに氣付き行えばあとは康し。

一皇万民、天皇の許に真我が集う時、皇国毅然として興る。皇子皇民、一丸となり熱鉄玉を呑む勢いにて行えば世界万民を救う道をなすこと難くなし。我、神命により不生不滅の生を得む。ここに肉体を放棄し永遠の生命を得む。
我「建国の日」に魂魄となりて、民族の危機にあたるものなり

昭和四十四年二月十一日

辞世

あらあらし 空にこみとり大楠の 大御心を誰ぞ知るらん

かくすれば かくなるものと知りつつも やむにやまれぬ 大和魂

今、私たちは変革を担う過程にいることに目覚めたい。現在の軍事力とマネーを背景にした世界支配者たちの権威に隷従する必要のない流れを世界に示したい。江戸幕府に対する倒幕運動に始まり、明治政府による天皇親政体制の転換とそれに伴う一連の改革の最中に、日本人は民を豊かにするためにはたらく神々の子であることを忘却させられてしまった。列強(powers)に乗っ取られた明治維新から日本が復興することは、世界を照らす日が東から改めて昇るということである。日本人のミーム(meme)に氣づき、目覚め、未来を描くことですべてが変わる。

ドーキンス(Clinton Richard Dawkins; 1941年〜)は、「生物は遺伝子によって利用される"乗り物"に過ぎない」という比喩表現で世界を驚かせた『The Selfish Gene(利己的な遺伝子)』の著者として知られる。彼は1982年に書いた『The Extended Phenotype(延長された表現型)』で「ミームとは心の中の情報単位であり、その複製が他の心の中にも作られるようにさまざまなできごとに影響を及ぼしてゆく」と定義した。遺伝子が精子と卵子を通じて人から人へと広まって行くのと同様、ミームは心から心へと移り広がって行く。

強い者に従って生きていれば間違いは起きないと思っていたり、流行に乗り遅れなかったことに自己満足してしまう方は、海外の商売人たちによって利用される"乗り物"に成り下がってしまう前に、日本人のミームである「大和魂」=「大いなる和魂(にぎみたま)」に氣づきたい。

感謝