珍しく昨夜は某氏と夜遅くまで対話した。自然、参議院の委員会で採決が強行され、本会議で可決、成立した安全保障関連法(安保法)の話題となった。話しきれなかったことをここにメモしておきたい。安保法反対デモは社会的影響力を持ったかに見えたが、安保法反対の民意(世論)形成には至らなかった。デモは民主主義の必要条件ではあっても、十分条件ではないということ。

8月・9月の各新聞社の世論調査では、安倍晋三内閣の支持率は30%台をキープ。永田町では『30%台で黄信号、20%台は危険水域、20%割れで退陣』と言われている。官邸は支持率が20%台になることはなかったので、予定通り、何の躊躇もなく、強行採決。内閣支持率が20%台になっていたら、自民党総裁選(野田聖子氏の出馬)を可能にしていたことだろう。

世論形成ということで、忘れてならないのは6月4日開催の憲法審査会で、「安保関連法案は違憲」と指摘した3人の憲法学者たちの存在だ。慶応大学名誉教授で弁護士の小林節氏、早稲田大学法学学術院教授の長谷部恭男氏そして早稲田大学政治経済学術院教授の笹田栄司氏らを中心とした立憲主義(権力保持者の恣意に依らずに、法に従って権力が行使される政治原則)のレクチャー(勉強会etc.)を全国各地で開催してロジカル(論理的)な民意形成を目指しても良かった。SEALDs(シールズ:Students Emergency Action for Liberal Democracy - s)によるデモ(学生による緊急アクション)は、担い手が10代から20代前半の若い世代であったためか、反対イメージばかりが先行した。立憲主義保持の民意形成を促すような言葉(セオリー;理論)による「教育」をアクションプログラムに入れることはなかった。内閣支持率を20%台に持っていけなかった理由は、学生による緊急アクションが保守の論客をその運動に組み込む素養(戦略)を持たなかったことにもあるだろう。知識階級(intellectual class)の彼らに、保守派の3人の憲法学者たちを活用し、私たち民衆を知識階層(intellectual stratification)に育てる発想を持って欲しいと思うのは私だけであろうか。
内閣支持率2015
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron/political/より転載

例えば、 「外国軍隊への後方支援というのは、日本独自のコンセプトで、戦場に前から参戦せずに後ろから参戦するということに過ぎません。仲間の国を助けるため海外に戦争に行くのは、明らかに憲法9条に違反しています」や「従来の政府見解の基本的な論理の枠内では集団的自衛権の行使が許されることは説明がつきなせんから、法的な安定性は担保されず憲法違反です。自衛隊の海外での活動は、外国軍隊の武力行使と一体化する可能性が極めて高いです」というロジックカル(論理的)な民意形成を促すには、立憲主義のセオリー(理論)をマスターし、それをベースにロジックカル(論理的)に自分の頭で考え言葉にして参加する姿勢が要請されている。教育の基本は自己教育なのだから、読書通じて、民主的な日本社会の構成員として自分の頭で考え行動できるライフスタイルを身に着けたい。今後は3人の憲法学者たちの著作がベストセラーとなり、日本に知識階層(intellectual stratification)が芽生えるに違いない。

階層は階級よりも上位の構造で、日本には知識階級はあっても、イギリスやフランスにある知識階層が誕生していない。
安保法案book1
安保法案book2
安保法案book3