若手の国会議員が育児休暇を取ることが話題となっている。もちろん、彼ら国会議員は労働基準法の適用外だが、労働基準法で規定されている産前6週・産後8週の産休は認められるべきだと思う。参議院は2000年に橋本聖子議員の出産をきっかけに規則を改め、欠席を認める理由に「出産」を加えた。衆議院も2001年に導入。

議員は選挙によって民意を託された方々である。その彼らの欠席によって私たちの民意が歪(ゆが)られはしないのか。ここがイッシュ(争点)となって始めて、民主的な議論ができる。それは決められた手続きに従って議会が運営されているかどうか、という本質的な問題。例えば、産休・育休規定を設けずとも、議員代行・代理投票(表決権の委任)・ペアリングなどの制度を導入することで本質的な問題の解決が可能となる。ペアリングはイギリスとスウェーデンの議会にあるが、審議を公平に行うために議員が病欠で採決に参加できないときは、与野党間で話し合い同じ数だけ採決に参加しない制度。各議員が、反対の意見を持つ議員とあらかじめペアを組んで、片方が欠席する時には、他方も欠席するなどのルールを敷き、欠席による投票結果の誤差を修正することで民意を大切にする知恵といえる。

「国会議員の育児休暇」は民主的な議会運営をいかに補完するかということが本質的問題であり、権利の問題のみに矮小しない方が良いだろう。「男性の育児参加が進んでいない現状を変えたい」気持ちは理解できるが、選挙によって選ばれた自分は、育児休暇を取りながら、いかに託された民意を議会に反映させることができるのかを考えてもらいたいと思った。そう願っている。

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自民党若手議員が育児休暇の取得を検討
(NHK 12月22日 4時25分)
国会議員 育児休暇 自民党の若手議員が妻とともに子育てに取り組みたいとして、来年、子どもが生まれたあと、1か月から2か月程度、育児のための休暇を取ることを検討していることが分かりました。衆議院事務局は「男性議員が育児のため、一定期間続けて、国会を欠席した例は聞いたことがない」と話しています。
 この若手議員は、衆議院京都3区選出の自民党の宮崎謙介衆議院議員で、ことし2月、同じ自民党の金子恵美衆議院議員と結婚し、来年2月中旬に初めての子どもが生まれる予定です。
 宮崎議員は妻とともに子育てに取り組みたいとして、子どもが生まれたあと、1か月から2か月程度、育児のための休暇を取ることを検討しています。
 衆議院の規則では、出産の場合には自分で期間を決めて欠席できることになっていますが、育児休暇の定めはなく、宮崎議員は当面、本会議が開かれる日ごとに、議長に欠席届を提出して休暇を取りたいとしています。  衆議院事務局は、「男性議員が育児のために一定期間続けて、国会を欠席した例は聞いたことがない」と話しています。
 宮崎議員は子育て中のほかの自民党議員とともに、来月、勉強会を発足させ、育児のため一定の期間、国会を欠席できるよう、衆議院規則の改正を求めていく方針です
 宮崎議員は、「地元の有権者に怒られるのではないかとか、育児休暇の取得がマイナスに働くのではないかといった不安もあるが、国会議員が率先して取得することで、男性の育児参加が進んでいない現状を変えていきたい」と話しています。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151222/k10010348961000.html
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閑話休題(ソレハサテオキ)。


以前、国会内には託児所がなく、乳児を連れて国会を傍聴しようとしたが、傍聴を諦めたという話を聞いたことがあった。合衆国の上院と下院には、それぞれオンサイトの託児所があり議員・職員が有料で利用している。必要とあらば、議員会館などの部屋が授乳室として割り当てられる。アメリカンスタイルを追慕してきた成果の一つでしょうか。傍聴者、国会議員とその秘書、職員、報道関係者などが利用可能なオンサイトの託児所が2010年9月に設置されます。

(引用開始)・・・・・・
"国会保育園"オープンへ 橋本聖子さんら「利用したい」
(日経 2010/8/4付)
 新築の衆院第2議員会館の地下に国会で初めて保育所が設けられ、9月にオープンする。国会議員や秘書、中央省庁職員のほか近隣住民も利用できる。国会の見学や陳情に来た人たちの子どもの一時預かりも可能だ。国会議員からも「使ってみたい」と歓迎の声が上がるが、定員に限りがあり、議員でもあぶれる可能性があるという。
 自民党の橋本聖子参院議員(45)が2000年、女児を出産したことをきっかけに超党派の議員連盟が発足、保育施設の確保を主張してきた。今年1月、衆院議院運営委員会の理事会で保育所設置が認められた。
 開設されるのは東京都の認証保育所となる「キッズスクウェア永田町」。地下3階にあり、室内が270平方メートル、天然芝の園庭が180平方メートルある。0歳児から未就学児までが対象で、保育時間は月曜から土曜の午前8時から午後9時。定員は約30人で、一時預かりは約20人の予定だ。
 女児出産後、2人の男児に恵まれた橋本さん。週末は全国を飛び回り、日帰り出張も多い。「事務所の職員に子どもを任せていたが、土曜保育や一時預かりを利用してみたい」。今後も国会で保育所の問題を取り上げたいと意気込む。
 女性秘書らへの説明会では、保育料に関心が集中。都の認証保育所の場合、都民の利用料金は月額8万円が上限で、現在、施設の運営会社が料金の最終調整中だが、秘書からは「8万円はとても出せない」との声が相次いでいるという。
 0歳児の母親で漫画家の倉田真由美さんは「霞が関に縁のない一般庶民には不便で、事実上、国会議員や周辺で働く人専用の施設になるのではないか」と話す。
 詳しい募集内容は5日発行の「広報千代田」に掲載。区のホームページからも閲覧できる。〔共同〕
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