合衆国の世論調査には、「あなたは資本主義者ですか、社会主義者ですか」というクエスチョンがあるようだ。私たち日本の民衆にとっては、日本の資本主義が天然所与の如きものであるから、他の経済政策(例えば、社会主義)を作為(選択)する契機を持たない。新しい発想で社会政策・経済政策を提唱する政治家が皆無なので、社会格差と貧困の解消が選挙の争点にならない。他方、合衆国の民衆には、合衆国の経済格差と貧困の原因が資本主義にあるという見識がある。社会主義者を自任し、スーパーPAC(後述)による巨額の政治資金問題を告発するバーモント州選出の上院議員・バーナード・"バーニー"・サンダース(Bernard "Bernie" Sanders:1941年)候補が脚光を浴びる所以。

4年に一度の合衆国の指導者を選ぶ大統領選挙に向けての各党の候補者選びが進んでいる。これは代表的な合衆国イベントで、その選挙資金は7,000億円を超えるという。企業や個人からのお金の力によって、大統領は誕生する。

合衆国では営利団体や労働組合などからの政党または政治家への直接献金は禁じられている。そのために通常は政治活動委員会(PAC:Political Action Committee)なる政治資金団体を設立して、個人(企業の役員や大口個人株主)から資金を集めそれを献金してきた。全米規模の政治団体への個人献金は年間1人5,000ドルに制限されているので献金額の合計も抑えられるはずであった。しかし、2010年1月の市民連合対連邦選挙委員会裁判における最高裁判決やSpeechnow.org対連邦選挙委員会裁判の連邦巡回区控訴裁判所判決で、言論の自由を認める権利章典第一条の観点から、政府が非営利団体による独立した政治的な支出を規制することを禁じるルールを営利団体や労働組合などにも拡大する命令が下された。献金額に限度を設けてはならないというのだ。このような候補者から独立した政治団体は、企業献金や個人献金を大量に集め影響力が大きくなったので、「スーパーPAC」(特別政治活動委員会)と呼ばれている。

つまり、「スーパーPAC」を利用すれば無制限に資金を集め使用できるのだから、自然、富豪や巨大企業にとっては政治家の買収が合法的に可能となった。もしかすると、海外の政府やグループによる政治家の買収もあるかもしれない。

限りなく政治家に寄付できるという判決を批判しているひとりが、ジミー・カーター元合衆国大統領。彼は、2010年の最高裁判決は「政治システムにおいて合衆国を偉大な国にしていた本質を壊した」と言っている。全部または大半の政治権力を、特定の少数の人々が握っている寡頭制(oligarchy)は君主制や独裁制のほか共和制や民主制でも存在する。今、合衆国では大統領候補や大統領に加えて、知事や議員を買収するoligarchyが進行している。資金提供の見返りとして富豪や巨大企業が希望する政策が採用されるなら、それはアンリカン・デモクラシーの死である。社会格差と貧困の解消が選挙の争点になろうとも、oligarchyの親玉である富豪や巨大企業にとって、それは他人事であろう。

民主主義の限界と、お金の力による暴政が席巻する時代を、合衆国は政治思想や政治哲学を以て乗り越えることができるだろうか。社会主義を選択することは、思考停止の産物に過ぎない。私たち日本の民衆は、先の大戦後70年に渡る合衆国の日本支配に関する諸々のことを封印し続けてきた。ワシントン.DCと横田の合衆国軍基地を日本の上位制度として、自主的な自らの役割を果たすことを回避してきた。実質的に日本政府は下位制度(サブインスティテュ−ション)に過ぎなかった。だから、たとえ選挙によって私たち民衆から選ばれた国会議員であろうとも、内閣総理大臣であろうとも、民衆のための政治をすることができないできた。未だ日本が合衆国に隷属する政治選択しかできないでいるように、合衆国も富豪や巨大企業に隷属せざる終えない政治システムが制度化され、「人民の、人民による、人民のための政治」を手にできないでいる。ここに、私たちが氣づくことが、新発想をもたらす必要条件となる。先ず、私たちが日本を変えることで、合衆国も変われるのだという希望を彼らにプレゼントしたい。その時、日本人と日本は世界史の主役に躍り出るに違いない。

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民主党 クリントン氏をサンダース氏が猛追
(毎日新聞2016年1月18日 19時52分(最終更新 1月19日 10時42分))
【ワシントン西田進一郎】11月の米大統領選に向けた民主党の候補者指名争いで、ヒラリー・クリントン前国務長官(68)をバーニー・サンダース上院議員(74)が猛追している。サンダース氏は全米の支持率で差を縮め、2月1日に指名争いの初戦が行われる中西部アイオワ州では、クリントン氏の支持率とほぼ並ぶ勢いだ。
 サンダース氏の支持率は、第2戦が行われる東部ニューハンプシャー州でクリントン氏を上回る。猛追を受ける同氏はこれまで控えていたサンダース氏への攻撃を強めている。
 「サンダース氏は全米ライフル協会や銃擁護団体の意向に沿って何回も投票してきた」。17日に南部サウスカロライナ州で行われたテレビ討論会で、クリントン氏はサンダース氏が銃器製造企業などを守る法案に賛成してきたと攻めた。銃規制を求める世論の高まりに配慮し、同氏の姿勢を批判したものだ。
 「本命候補」のクリントン氏と、「民主社会主義者」を自任するサンダース氏。政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」が集計する支持率調査の全米平均値によると、昨年12月はクリントン氏が20ポイント以上の差をつけてリードしていたが、最近は12.7ポイント差まで追い上げられている。
 要因の一つは、格差是正を前面に掲げ、公立大学の授業料無料化などを唱えるサンダース氏の訴えが、若者に響いていることだ。米ニューヨーク・タイムズ紙などが今月上旬に行った世論調査によると、45歳以下の有権者に限るとサンダース氏の支持率はクリントン氏の約2倍。金融危機に伴う就職難や重い学生ローンに直面し、経済格差を実感している若年層がサンダース氏の支持層の中心とみられる。
 候補者選びに大きな影響を与えるアイオワ州で、クリントン氏のリードはわずか数ポイント。ニューハンプシャー州では、隣接するバーモント州選出のサンダース氏が「地元」の強みでクリントン氏をリードしている。全国の支持率でトップを維持する同氏だが、序盤戦で連敗すれば潮目が変わる可能性もある。
 クリントン氏には、2008年大統領選の民主党候補者選びで本命視されながら、アイオワ州党員集会でまさかの3位に終わり、トップだったオバマ大統領を勢いづけた苦い経験がある。これを教訓に、クリントン氏は今回の立候補表明後、最初の集会をアイオワ州で開くなど、同州での活動に重点を置いてきた。
 だが、クリントン氏を取り巻く状況は今回も厳しい。地元紙デモイン・レジスターの世論調査によると、党員集会の参加予定者の43%が自らを「社会主義者」と答え、38%の「資本主義者」を上回った。クリントン氏は過去の討論会で自身を「資本主義者だ」と語り、サンダース氏との違いを強調してきた。
 クリントン氏は17日の討論会に先立つテレビ番組で、「私は今の状況に非常に気をよくしている、2月1日まで働きかけ続けるつもりだ」と初戦の勝利に決意を語った。 http://mainichi.jp/articles/20160119/k00/00m/030/061000c
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大きな笑顔の佳き週末を  感謝