移民・難民問題で苦しんでいるイギリスが、EUを離脱するらしい。これはイギリス国民の選択の問題ではあるが、無関心ではいられない。すでに、円高、ポンド安、ユーロ安が始まっている。EU諸国への輸出に対する関税が復活するのだから、イギリス輸出産業は新たな関税障壁を持つことになる。日本企業931社がイギリスに進出しているが、当然影響を受ける。

EUは元来、ヨーロッパ内の紛争が発端となって起こされた世界大戦を再現させないための政治的なフレームワーク。ヨーロッパが統一するなら戦争の火種が無くなるだろうと考えた結果の産物で、危険勢力であったドイツをEUのなかに取り組み、抑えこもうとする政策でもあった。しかしながら、このドイツを縛るための足枷・EUをドイツ人が気に入ってしまった。ユーロはドイツマルクよりも安くなりドイツの輸出業を支え、統一ヨーロッパのリーダーとしての立場はドイツ人のプライドを満たした。これはイギリスにとっては想定外の出来事であった。

移民・難民受け入れを拒否できないEU加盟国のひとつであるイギリスはEUを離脱すると、移民・難民の受け入れを拒否又は制限することができるようになる。これによって税金で賄われていた難民の衣食住の費用負担が軽減され、本来使われるべきところに税金が行き届くとイギリス人は考えたようだ。財政が健全であればこうは考えないのだが、仕方のないことかもしれない(※注)。加えて、‘駝院Π槎韻砲茲辰特イ錣譴晋柩僂鮗茲衞瓩修Α、多用な文化ではなくイギリス古来の文化だ!、治安が悪化したのは移民・難民の受け入れによるものだ!という思いがEU離脱推進のエンジンとなった。EU離脱という選択は、EU法制に対する拒否権の加盟国議会への付与が認められなかった結果でもあった。

現在、合衆国・ニューヨーク、中国・上海、そしてイギリス・ロンドンの3都市を中心にして世界のマーケットは回っていて、24時間の取引が可能となっている。ロンドンに各国金融機関は拠点を置いているのは、EUに加盟しているイギリスのロンドンに拠点があると、EUのその他27か国の許認可を得ることなく自由にビジネスができるから。しかしながら、離脱した場合、ロンドンに拠点を置いていたのではヨーロッパ(大陸)でのビジネスで不利益を被る。多分、多くの金融機関はドイツかフランスに拠点を移すことになるだろう。その結果、残留派によれば、人口6,500万人のイギリスで95万人の失業者が出るという。

イギリスのEU離脱はイギリスだけの問題に留まらない。スコットランドのニコラ・スタージョン自治政府首相が「スコットランドの未来はEUの一部となることだ」と発言し、独立を目指す可能性を示唆した。デンマーク、オランダではEU離脱の国民投票を求める世論の高まりがある。長期的には世界に影響する大きな問題となるだろう。イギリスがEUから離脱する手続き及び交渉には約2年を要する。この期間に諸問題をクリアにし、再び国民投票してEUに残留することを選択して、EU分裂を回避してもらいたい。そして、私たち世界の民衆が地球のフレームワークを立替え立直す契機としたい。


大きな笑顔の佳き週末を

(※注)
ローアー又はローアーミドル・クラスの労働者たちにとっては、EUの恩恵の一つである移動の自由よりも、その自由によって流入して自分たちの労働マーケットに低賃金で参入してくる移民たちへの脅威が一番の難題であろう。だから、それは人種差別ではなく、生活防衛の意識によるものである。経済評論家の内橋克人氏(1932年生)が言うように、「『改革』が剥き出しの市場原理主義に則っていて社会的費用を弱者に転嫁しかねない」合衆国流の聖域なき構造改革と同位の構造がEUにも芽生えていることが分かる。知識層にはこの労働者が持つ危機感が希薄かもしれない。
(追記)
英EU離脱「年金運用で数倍の損出る恐れ」民進・岡田氏
(朝日2016年6月25日15時01分)
■岡田克也・民進党代表
 株が上がっている局面で、GPIF(公的年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」)が株の(運用)割合を倍にすると、当面の利益は上がりますよね。ただリスクは非常に大きい。やはり年金基金のような、安定的に長期的に利益を上げていく必要があるものにはなじまないんじゃないかと申し上げてきた。それを、振り切って、国会で反対の議論というのにもまともに答えることもせず、GPIFの株式の比率を倍にした。そのデメリットが明らかになった。すでに年度で見て、5兆円程度の赤字があるのではないかと言われている。本来であれば、7月の初めにその結果を出さなきゃいけないのを、わざわざ参院選の後に送ってごまかしているわけですが、5兆円ではとても足らないっていうか、(英国のEU離脱に伴う株価の急落で)その数倍の損が出る可能性が高まっているということだと思う(大分県杵築市で記者団に)
http://www.asahi.com/articles/ASJ6T4QMTJ6TUTFK003.html

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