今の政治に違和感や絶望感を持っていても、現状を結果が出たとばかりに見限ってはいけない。それは今ある問題を解消・改善すべく進化する政治のプロセスなのかもしれない。絶望する人や生き急ぐ人々の多くは、結果に重きを置きたがる。だから、この政治に意味はない、などと早合点してしまう。独立した日本の政治を手にしようと一所懸命生に努力している政治家たちがいることを知って、日本の新しい展開を暢氣(のんき)に楽しみ味わいたい。
赤間二郎総務副大臣が訪台、公務では断交後初
(産経 2017.3.25 19:05)【台北=田中靖人】
 赤間二郎総務副大臣は25日、台北市内で日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会が主催する食品・観光イベントの開幕式に出席した。1972年の日台断交以来、副大臣級が公務で台湾を訪問するのは初めて。
 赤間氏は24日深夜に台湾に到着。蔡英文政権の高官との会談予定はなく、25日夕に帰国。式典には、台湾の対日窓口機関、亜東関係協会の邱義仁会長も参加した。赤間氏は記者団に「日本にとり日中関係が最も重要な関係の一つであると同時に、日本と台湾が実務関係を維持していくことも変わらない」と述べた。
 2006年には宮腰光寛農林水産副大臣(当時)が私的に訪台し、陳水扁総統(同)と会談するなどしている。ただ、日本政府は中国への配慮から訪台する職員の階級を自主規制しており、台湾メディアは赤間氏の訪台を「台日関係の温度上昇」(自由時報)などと報じている。

台湾に接近し日豪亜同盟を指向する日本
2017年3月29日   田中 宇
 3月25日、日本政府の赤間二郎・総務副大臣が、公務で台湾を訪問した(日本側が開く食品・観光イベントの開幕式に出席)。副大臣級の日本政府要人が台湾を公務で訪問したのは、対米従属の日本が、米中関係好転(ニクソン訪中、上海コミュニケ)を受け、1972年に中国(中華人民共和国)と国交を締結するため台湾(中華民国)と国交断絶して以来、初めてだった。 (日本總務副大臣赤間二郎訪台  台日斷交後位階最高) (Japan to send highest leel official to Taiwan in 45 years)
 今年の元旦には、国交のない台湾との関係における、日本側の、台湾との関係の公的な窓口(大使館に準じるもの)である公益財団法人の「交流協会」が、「日本台湾交流協会」に名称変更している。台湾側も、対日関係の代表部だった「亜東関係協会」を、早ければ4月までに「台湾日本交流協会」に名称変更することを、台湾の外相が議会(立法院)で明らかにしている。 (亞東關係協會更名 台灣日本關係協會)
(中略)
▼日本が台湾の隠然とした後ろ盾になる
 中国は、台湾独立を決して容認しない。中国はくり返しそう言っている。しかも、豪州や東南アジア諸国など、日豪亜の他の国々は、中国の台頭に脅威を感じつつも、中国と衝突したくないと考えている。日本が台湾を国家承認しても、日豪亜の他の国々は、多分どこもついてこない。日本は台湾と一緒に孤立するだけだ。米国が台湾の国家承認に踏み切るならまだしも、対米従属していた日本が突然に対米自立して台湾に接近しているのだから、なおさらだ。
 日本は、馬鹿なことをしているのか。そうでもない。日本はおそらく今後も台湾を国家承認しない。だが、日本が台湾の防衛力を強化したり、民進党が希求する台湾独立をそっと認めるような交流協会の名称変更をしたり、日豪亜の経済関係強化の中に台湾を入れることによって、台湾が中国に併合されていく傾向を弱められる。香港の先例を見れば、台湾が政治的に中国の一部になることが、台湾の人々にとって幸福につながらないことがわかる。日本が、台湾にとっての隠然とした後ろ盾になることによって、中国が今後さらに国際台頭しても、台湾が中国からかなり自立している現状が維持できる。
 中国は、台湾を完全に国内に取り込むのでなく、台湾周辺のASEAN+日韓の諸国から、準国家として認められることを、容認しうる。少なくとも、中国は以前、長期的にそれを認めていってもいいという姿勢を示唆していた。長期的に、日本が台湾の隠然とした後ろ盾になることで、台中関係が微妙に変わっていく。台湾の内政にも影響してくる。民進党が今より有利になる。
 実のところ、日本が台湾に接近することによる喫緊の問題は、中国との関係でない。日本が、米国(軍産)から自立した外交政策をとることを最も嫌う、日本外務省など日本の軍産系の勢力が、安倍政権のスキャンダルを扇動し、安倍を辞めさせて、もっと軍産の言うことを聞く指導者とすり替え、日豪亜的なことや、安倍がメルケルなどと組んで米国の保護主義を批判しつつ自由貿易の重要性を提唱するような勝手な真似をさせないようにしたがっている動きの方が、緊急の問題だ。 (Abe eager to reaffirm Japan’s global position)
 日本のリベラル派のほとんどは、安倍憎しの観点から、ことの本質に気づかないまま、対米自立し始めた安倍を辞めさせようとする軍産系のスキャンダル扇動の動きに乗ってしまっている。トランプを嫌うあまり、トランプ敵視の軍産の傀儡になってしまった米国のリベラル派と同じだ。日本(や米国やイスラエルや西欧)は、左からだと転換できない。右からしか転換できない(極右になった挙句に米国覇権を崩し、多極化する)。それは以前から感じられていた。 (Germany, Japan Push Trade Pact in Merkel Bid to Stymie Trump)

参考:流れのままに 「日台関係について考える」(2016年12月04日)
高雄市・佛光山の修道院本殿
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