小泉政権の末期、平成十八年四月から六月にかけての通常国会のとき、自由民主党(自民党)は強行採決に踏み切れずに、会期時間切れで「共謀罪」法案を廃案にした。時の首相であった小泉純一郎氏が「私は『平成の治安維持法』を作った総理になりたくない」と述べたという逸話もあるが、当時の自民党では今以上に派閥重鎮の力が大きく、権力の分散と均衡がはっきりとしていて、党を無視した首相官邸による政策選好を叶える環境を与えなかったからであった。

11年の歳月は、先週二十三日に、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を衆院本会議で自民党と公明党そして日本維新の会などの賛成多数で可決、衆議院を通過させた。与党の国会議員諸君はこの「共謀罪」法案を今国会で成立させる方針のようだ。宗教政党・与党第2党の公明党は、かつてのように与党内野党として自民党の派閥と繋がって首相官邸を牽制するブレーキ機能を果たそうとはしない。第二次世界大戦中に創価学会の初代会長牧口常三郎ら幹部が逮捕され、牧口が獄死した過去があるので、「共謀罪」法案には消極的と思われたがそうでもなかった。

ところで、最近のテロは組織犯罪ではなく、ローン・ウルフ(一匹狼的)アタッカーによるものがある。今年三月二十二日午後に発生したロンドンのウェストミンスター議事堂(日本の国会議事堂にあたる)付近でのテロ事件は、ローン・ウルフアタッカーによる「国際的なイスラム過激組織にインスパイアされた」(ロンドン警視庁)犯行であった。先日のマンチェスターのテロ事件もローン・ウルフ・アタッカーによるもので、動機は友人殺害の報復と報道された。今般の「テロ等準備罪」は、誰もが単独でテロリストになり得る社会で、どうテロを防ぐのかという課題の解決策とはなっていない恐れがある。  
友人殺害の報復目的か=英自爆テロ
【トリポリAFP=時事】英中部マンチェスターで自爆テロを実行したサルマン・アベディ容疑者の家族に近い筋は25日、同容疑者が事件前、同市内で殺害された友人の敵討ちをしたいと話していたことを明らかにした。
 同筋によると、容疑者と同じリビア系の友人が昨年5月、英国人の若者らに刺されて死亡した。同筋は「怒ったリビア系の若者をなだめたが、容疑者は事件を忘れられなかったようだ」と語った。(2017/05/26-00:08)


閑話休題(それはさておき)


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『次週でおしまいです』の原因は以下のカットでしょうか?
疾風の勇人@原因1
疾風の勇人@原因2
疾風の勇人@原因3
反基地闘争・反原発闘争・反政府運動などを弾圧する「テロ等準備罪」という名の治安立法の有無にかかわらず、すなわち法的事実が無くても、安倍晋三氏に関わる不都合な事実は掲載・出版されるべきでなはないという考えを社会的事実として一般化させてはいけません。


大きな笑顔の佳き月曜日を。