死んでからの行き場所があると考えたとき、人は死の恐怖から解放されるのではないでしょうか。 死を怖れる人間は生に執着して、長い人生に想いを寄せるものです。そして、その多くは死の先を考えることが不得手のようです。

現在放映中の連続テレビ小説『わろてんか』では、主人公・てん(葵わかな)の夫・藤吉(松坂桃李)は死後も、時々登場します。てんちゃんが悩んだり、窮地に陥ったときに出てきて、アドバイスをしてくれます。彼女は社長になって、誰かに相談することも、アドバイスをもらうことも少なくなっていますので、ありがたいことに違いありません。この世に生きる妻を支える死後の夫を通して、私たちが目にしているのは妻・てんに継承・発展された夫・藤吉の人生の目的ではないでしょうか。現代はともすれば人生のベクトルが快適な死へと向かいがちですが、死は終わりではなく、人生の目的は死を以て終わらせる必要はないと考えることができます。
魂でもいいから
『呼び覚まされる霊性の震災学―3.11 生と死のはざまで』
魂でもいいから、そばにいて 3・11後の霊体験を聞く
(奥野修司・新曜社・2017/2/28 )
私の夢まで
『私の夢まで、会いに来てくれた ―3.11 亡き人とのそれから』
(金菱清ゼミナール編集・朝日新聞出版・2018/2/20)


今まで死んだら終わりと信じて生きてきた方々は、死んだらどこに行くのだろうかと考えてみることをお勧めします。そんなことは死んでみなければ分かるはずがないでしょうと思う方は、ここで思考を停止することなく、己がたましいのレベルで死の先をイメージなさってください。この世で強欲な人生を送り続けている方、嘘をつくことで何かを手にする仕事をしている方は、己がたましいに「死んだらどこへ行きましょうか」と問いかけてください。死んでしまってからでは手遅れなことがあり、お金で買える楽な人生はなく、生きているこのときがチャンスなのだと知るはずです。その契機は、死にゆく者たちの言葉(たましい)とのコンタクトだと考えています。
死にゆく者からの言葉
『死にゆく者からの言葉』(鈴木秀子・文春文庫・1996/10/1)


大きな笑顔の佳き一週間を