世界の国々は、自国内で処理しきれない廃プラスチックを海外に輸出して処理している。世界で、年間に約1,500万トンの廃プラスチックが輸出されているが、その6割近くを中国(香港経由含む)が輸入してきた。日本の1年間に排出されている廃プラスチックは約900万トンで、うち140万トン程が輸出をされ、昨年はその72%が中国(香港含む)に輸出をされている。

中国は、廃プラスチックの輸入をして、額縁やおもちゃ等のいろんな製品に作り替えている。石油からプラスチックをつくって製品化するよりも、廃プラスチックをリサイクルして製品を作った方が安上がりだという事情もあって、輸入を進めてきた。また輸出国側は、国内で製品化するよりも、中国に輸出をしてリサイクルする方が安上がりなので、この流れが定着することになった。中国では、リサイクル工場からさまざまな残渣(ざんさ)が出て、河川と大気が汚染されるとかいう問題が起きているので、資源ごみの輸入禁止を実現したのであった。

中国の製造業は、不足している原料の資源を補うために他国から資源ごみを買い取り、リサイクルして使い、経済成長の糧(かて)としてきた。しかしながら、今後の最優先事項は、経済的な要請ではなく、綺麗な中国という社会的・政治的な要請ということのようだ。

日本も中国も互いに頼ってきた部分があり、両国には困っている業者も出てきているようだ。日本は品質の高い廃プラスチックを『資源プラ』と呼んで、ブランド化(差別化)していこうというような取り組みをしていたのだが・・・。今度はタイです。
タイ 資源ごみの輸入禁止へ 日本への影響避けられず
(NHK 2018年6月21日 18時54分)
 タイ政府は、電子機器やプラスチックなどの資源ごみの不法処理が相次ぎ、環境が汚染されているとして、資源ごみの輸入を禁止すると発表しました。日本は、大量の資源ごみをタイに輸出していて、影響は避けられない状況です。
 タイでは先月、首都バンコク近郊にあるごみ処理工場の周辺住民から「においがひどい」などの苦情が相次いだことから、警察が捜査したところ、海外から輸入された資源ごみが不法に処理されていたことがわかりました。
 こうした事態を受けて、タイ政府は、資源ごみの不法処理によって環境が汚染されているとして、今後すべての資源ごみの輸入を禁止すると発表し、関連する法案の改正手続きを進めていることを明らかにしました。
 タイの警察は21日も、携帯電話のバッテリーなどの電子機器を不法に処理していたとして、バンコク近郊の工場を捜索するなど、これまでに9つの工場を摘発したということです。
 資源ごみをめぐっては、去年、中国が輸入を禁止したことから、タイが新たな受け皿となっていて、ことしは、去年の倍のペースで資源ごみが輸入されています。
 タイ政府によりますと、先月までに受け入れた資源ごみの大半は、日本から輸出されたものだということで、今回の措置で、日本への影響は避けられない状況です。

中国が廃プラスチック等の資源(ごみ)の輸入を止めたということもあり、EUは今年の1月に「プラスチック戦略」を発表し、使い捨てのプラスチックの使用を2030年までになくしていく方針を打ち出している。今後、リサイクルの取り組みが強化されることになる。しかし、日本はこの問題を解決しようという見識を持ち合わせているのだろうか。良く分からない。知識はあっても、見識が見当たらない。
EU、プラスチック包装「使い捨てゼロ」 30年めど
全量を再利用で海洋汚染防ぐ
(日経 2018/1/17 11:30)
 【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)は2030年までに、使い捨てのプラスチック包装を域内で無くし、すべてを再利用または素材としてリサイクルすることを目指す。EUの執行機関である欧州委員会が16日公表した「プラスチック戦略」で、新目標を打ち出した。深刻さを増すプラスチックごみによる海洋汚染への対応を急ぐ。
 欧州委によると、欧州では毎年、約2600万トンのプラスチックごみが排出されるが、リサイクルされるのは30%未満。商品の包装などに使われるプラスチックの多くは使い捨てで、埋め立てや焼却に回される。海を漂うごみの主な発生源でもあり、生態系の破壊やプラスチックを食べた魚介類を通じた人の健康への悪影響も懸念されている。
 「プラスチックなしで生きていくことはできない。再利用やリサイクルがより利益を生み出す仕組みに変えていく必要がある」。欧州委のティメルマンス第1副委員長は16日の記者会見で、使い捨てを無くすため、プラスチック包装のリサイクルを促す新ルール導入などの検討を表明した。
 EUでは、19年3月に英国がEUから離脱した後のEU共通予算の財源の穴を埋めるため、プラスチック包装などに課税する案も浮上している。予算を担うエッティンガー欧州委員は10日、「年120億ユーロ(約1兆6300億円)」規模で導入する個人案を披露していた。
 ただプラスチック戦略では新税についての具体的な記述は避け、「EUレベルでの財政的手段の実現可能性を探る」と、あいまいな記述にとどめた。欧州委のカタイネン副委員長は16日の記者会見で「EUレベルでうまく機能するのか、個人的には疑問だ」と慎重な見方を示した。
 欧州委は、生態系への悪影響が心配される微細なプラスチック粒子「マイクロビーズ」を人工的に加えた製品の製造も禁じる方針。マイクロビーズは汚れを落としやすくするため、洗顔料や歯磨き粉などの一部に添加されるケースがあるが、環境保護を目的に禁止する動きが欧州で広がり始めている。


閑話休題(それはさておき)


廃プラスチックを輸出せずに、日本国内でリサイクルして製品を作った方が安上がりだという環境を手にすべく、官民挙げて知恵を出すという流れをつくりたい。そのために、乗り越える必要がある課題がある。
科学技術予算の使い道 3割が研究外用途に
(日経 2018/5/28付朝刊)
 政府の科学技術関係予算のうち大学や公的研究機関の研究活動に渡らない部分が3割近いことが、日本経済新聞の調べでわかった。経済協力開発機構(OECD)の統計データを分析した。偵察衛星の開発などを組み入れたほか、高等教育予算から算入する比率が高まったことも大きい。結果的に研究現場が弱くなり、科学技術力低下を招いた可能性がある。
日本の科学技術水準 OECDは加盟国の研究開発投資について、政府が公表する名目の予算額と、物価や賃金などの変動分を除いた実質的な研究費の両方を集めている。このデータを使い、予算に占める実質研究費を求めると、日本は2016年で73%だった。
 00年の時点は92%で、04年以降に急激に低下した。
科学技術政策に詳しい成城大学の伊地知寛博教授は「研究開発とは関係が薄い費目も多く入っている」と分析する。研究施設を新設した場合、接続する道路の建設などのインフラ整備の費用も科学技術予算に含まれている。「日本版GPS(全地球測位システム)」の準天頂衛星や情報収集衛星などは宇宙開発予算を圧迫している。
 大学の運営費交付金は04年の国立大学法人化以降、交付金は減っているが、その中から科学技術予算に組み入れる比率は高まった。05年ころは8割ほどだったが、14年には約9割になった。科学技術とは直接関係ない費目も入っているという。
 購買力平価なども加味した2015年のOECDデータを使って主な先進国と比較した。日本は78%と16年よりも多かったが、ドイツの93%や米国の92%、英国の85%を下回った。伊地知教授は「米国などは予算と研究開発費の関係を厳格運用している」と指摘する。
 こうした日本の状況は18年度以降さらに悪化する懸念がある。補正予算を除いた名目の科学技術予算は18年度に約3兆8400億円となり、17年度より2500億円あまり増えた。運営費交付金の比率を減らす一方で、公共事業や人材育成を関連予算として組み込むようになったためだ。多くは既存の農業や公共事業などに新技術を採り入れた分を付け替えたにすぎず、低迷する科学技術力の強化には役立たないおそれがある。

梶田先生のお話しにも耳を傾けてみましょう。昨年の記事です。
ノーベル物理学賞受賞の梶田氏「日本、少なくとも科学技術立国には向かっていない」
どうなる?日本の科学(1)東大宇宙線研究所所長・梶田隆章氏

(日刊工業新聞 2017年10月2日/ newswitch 11月18日)
梶田隆章
―物理学賞が決まったその日から、基礎研究や若手支援の重要性を説いてきました。

 「この2年間、機会を頂くたびに日本の科学技術が危機的な状況にあることを説明してきた。特に若手研究者の待遇は厳しい。ただメッセージがどれだけ伝わっているのかはわからない。これまでの政策や大学改革は本質的に正しかったのだろうか。少なくとも科学技術立国には向かっていない。日本はどんな国を目指すのか。もし科学技術でないなら、何かを示してほしい」

―すぐには役に立たないとされる「学術研究」をどう支えるべきですか。

 「貧弱になった大学の運営費交付金を立て直し、日本学術振興会の『科研費』を拡充すべきだ。もともと運営費交付金の削減分を競争的資金として分配するはずだった。だが科研費は伸びず、交付金の削減分を補えていない。科研費の採択率は3割に届かない。採択されても提供される資金は申請額の7割程度に過ぎない」
 「また研究者が研究に使える時間が短くなっていることも深刻だ。研究者に対する支援スタッフの数が少ない課題もある。日本は経済協力開発機構(OECD)諸国の中でも異質ではないか。他国が科学技術予算を増やす中、日本だけが大学や研究機関の体力をそぎ落とし続けている。社会として問題の深刻さを共有できていない。このままでは科学技術を立て直す時期を完全に逸する」

―文科省も看板を掛け替えながら支援策を続けているのでは。

 「政策が短命では長期育成が難しい。大学が6年間の教育プロジェクトに採択されても、多くの大学院生にとっては2年か3年間プロジェクトに参加するだけだ。これが大学院教育としてあるべき姿だろうか」

―東大は競争的資金での「間接経費」を使って正規雇用を推進しています。一方で、「地方大学から削った資金が東大の雇用安定化につながる」との皮肉も聞かれます。

 「雇用対策は東大の社会への問題提起と考えていただければ。東大のように大規模大学で外部資金を集められる大学でなければ実現は難しい。私は政策テクニックは分からない。ただ新たに立ち上げるより、運営費交付金や科研費を立て直す方が先だ。大学や学振には研究を評価し進める仕組みがあり、その改善も続けてきた。予算を増やせば受け皿はあるはずだ。若手は本当にやりたいテーマを追究してほしい。どの研究がノーベル賞級の成果が出るかはやってみなければ分からない。一人ひとりの興味や探究心に応じてテーマを選べる環境が重要だ。大学の細かな改善策では状況は覆らない。いま必要なのは根本的な対策だ」

経団連、この恐るべき同質集団  編集委員 西條都夫
(日経 2018/6/21 7:22)
 日本経済新聞の朝刊コラム「経営の視点」で経団連の正副会長について分析したところ、かなりの反響があったので、その続きを書いてみよう。
 経団連といえば経済界の司令塔であり、正副会長は会社でいえば取締役に相当する存在だ。5月末に就任した中西宏明会長(日立製作所会長)と、それを支える18人の副会長の経歴を調べることで、日本経済を引っ張るパワーエリートの横顔を浮き彫りにしたい。
 前回の記事では、正副会長の出身母体の企業は平成元年に比べると、ずいぶん裾野が広がり、30年前の製造業一辺倒から金融や運輸、商社などに多様化した、と評価した。
会長に就任し記者会見する経団連の中西会長(5月31日、東京・大手町)
経団連1 ところがそれとは対照的に、人の属性の多様化は全く進まず、(1)全員男性で女性ゼロ(2)全員日本人で外国人ゼロ(3)一番若い杉森務副会長(JXTGエネルギー社長)でも62歳。30代、40代はおろか50代もいない――という「超同質集団」であると指摘した。
 加えて経営者としてのカテゴリーでも、全員がいわゆるサラリーマン経営者。かつて副会長に名を連ねたソニーの盛田昭夫氏やダイエーの中内功氏のようなアントレプレナー(起業家)が姿を消し、いわゆるプロ経営者もいないのは物足りない、とも書いた。
 その後、いろいろ調べると、さらに同質性を補強するような材料を見つけた。19人の正副会長全員のだれ一人として転職経験がないのだ。別の言い方をすれば、全員が大学を出て今の会社の門をたたき、細かくみれば曲折があったにせよ、ほぼ順調に出世の階段を上ってきた人物であるということだ。
 年功序列や終身雇用、生え抜き主義といった日本の大企業システムの中にどっぷりとつかり、そこで成功してきた人たちが、はたして雇用制度改革や人事制度改革、あるいは「転職が当たり前の社会」の実現といった目標に本気で取り組めるものなのだろうか。
経団連2 19人の出身大学も調べてみたが、やはりというべきか、圧倒的な1位は東大で、中西会長以下12人が東大卒。次いで一橋大が3人、京大、横浜国大、慶応大、早稲田大が各1人だった。
 地方創生が叫ばれるなかで、首都圏以外の大学を出たのは山西健一郎・三菱電機取締役相談役ただ1人(京大工卒)というのも、どうか。
 誤解のないよう急いで付け加えると、「東大卒がダメ」とか「転職経験がないからダメ」と言いたいわけではない。むろん「男性はダメ」「60歳を超えているとダメ」というのでもない。
 問題は正副会長が19人もいて、似たような経歴の人しかおらず、ダイバーシティー(多様性)に欠けることだ。「老壮青」や「老若男女」といった姿からは大きく乖離(かいり)している。
 日本企業がかつて躍進したのは社員の同質性が高く、それがチームワークの良さにつながり、品質の改良などに威力を発揮したからだ。だが、近年は同質性より異質性が重要になった。異なるモノの見方や経験がぶつかり合うことで、そこにイノベーションが生まれる。
 移民や外国人の活躍する米シリコンバレーの繁栄がその証しであり、逆に同質性を色濃く引きずる日本企業は失速した。
 中西会長自身が3年前の筆者とのインタビューで多様性の重要性を強調し、「どれほど優秀な外国人に日立に来てもらえるかが経営の勝負どころ」「女性の起用に数値目標を導入するのは賛成。多少無理をしてでも女性の役職を引き上げることで、組織に新風が吹き込まれ、よりイノベーティブな企業風土に生まれ変わるだろう」と述べている。
 日立の再生で発揮した剛腕を経団連でも振るうことを新会長には期待したい。

日本丸を再び、科学技術立国には向かわせたいものです。

私たち日本の民衆が、
科学技術立国たる日本丸を
悠揚たる物腰で維持・継承・発展できますように。

真の神性を開花して、新しい国づくりをして参りましょう。