プーチン大統領、年内に日ロ平和条約を=「前提条件なしで」−領土問題棚上げ狙う
(時事2018/09/12-21:19)
北方領土@時事20180912記事【ウラジオストク時事】ロシアのプーチン大統領は12日、日本とロシアの平和条約について「年末までにいかなる前提条件もなしで締結しよう」と提案した。北方領土問題を事実上棚上げし、平和条約締結を先行させようとの提案で、安倍晋三首相も参加してウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」全体会合で司会者の質問に応じる形で発言した。
 北方四島の帰属問題を解決して平和条約を締結するというのが日本政府の立場。プーチン氏が平和条約締結の期限を提案したのは初めてで、大きな波紋が広がりそうだ。
 プーチン氏は、北方領土問題を念頭に「平和条約に基づき、友人としてすべての係争中の問題に関する議論を続ける。このことが70年間乗り越えることができなかったすべての問題の解決を容易にするように思える」と訴えた。
 プーチン氏は平和条約締結後に北方領土の色丹島と歯舞群島の引き渡しをうたった1956年の日ソ共同宣言に言及した上で、「日本が履行を拒否した」と述べ、その結果、戦後70年にわたって交渉が続いていると主張。その上で「(安倍)晋三(首相)はアプローチを変えようと言った」と語り、「今、思い付いた考え」として、年内の平和条約締結を提案した。提案は「冗談で言ったのではない」とも語った。
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【図解】日本の北方における領土の変遷

閑話休題(ソレハサテオキ)


日ロ経済交渉は、国後・択捉・歯舞・色丹の4島とその水域を含む領土問題を論じないことを条件として話が進んでいる。これは安倍晋三首相(1954年9月生)と外務省によって了承されていたもので、ウラジーミル・プーチン大統領(1952年10月生)が「年末までにいかなる前提条件もなしで日露平和条約を締結しよう」との発言は事前調整はなかったが、流れに即したものであった。安倍氏は、「新しい未来のパイオニアとして私たちは日露の歴史にお互いの名を刻むことになります。素晴らしいことですが、ウラジーミルよ、あなたは本気ですか?」と切り返しても良かったと思うのだが、苦笑するのみであった。国家安全保障局長の谷内正太郎氏(1944年1月生)は先月、辞表を提出するも受理されなかったようだ。領土の返還交渉をすることなく、日本の国土の一部を放棄する戦略を鼓舞しているかの印象を受ける人物の退場は許されないということであろう。国後・択捉・歯舞・色丹を含む根室海峡からカムチャツカ半島の南、千島海峡までの間に連なる千島列島は日本の領土であることを忘れてはいけません。

極東ロシア地域は、617万平方キロメートルの広さがあり、ロシア全土の36パーセントを占める。この極東連邦管区はアムール州、チュクチ自治管区、ユダヤ自治州、カムチャツカ州、コリャーク管区、ハバロフスク地方、マガダン州、プリモルスキー(沿海)地方、サハ共和国(ヤクーチア)、サハリン州の10連邦構成主体(全体では85連邦構成主体)からから成り立っている。南の国境を中国・北朝鮮と、南東を日本と、そしてベーリング海峡を挟んで、極北東を合衆国と接している。極東ロシアの人口は約625万人で、全人口の4.0パーセント強に過ぎない。ロシア国民なら誰でも、北方領土を含む極東の遊休地を5年間開拓すれば、1ヘクタールの土地が無償で与えられるという報奨にもかかわらず、この地域の人口は減少傾向にある。中国東北3省(黒竜江・吉林・遼寧)の人口は1億人を超えているのだから、ロシアは地政学的脅威を感じているに違いない。北方領土へのロシアの実効支配が強まる所以。

北海道の漁業関係者は、北方領土水域の海産物をお金を払ってロシアから買っている。この地域は日本の主張する排他的経済水域ではあっても事実上はロシアの管理下。日本の漁船は協定によって、北方領土水域やロシア水域に入っている。北方領土水域では、私たちの日本は自国の海だと主張しながらも、結局はロシア側に許可する立場を与えてしまい、加えて有償枠や漁獲量の決定権まで与えてしまった。日本の漁業者は、1隻当たりの漁獲量が漁業種ごとに決められ、それに合わせて協力金とか入漁料という形でロシア側に支払っている(http://hamada.u-shimane.ac.jp/research/organization/near/41kenkyu/kenkyu28.data/hokutou28_8_2_hamada.pdf 146〜147頁)。領土問題の解決なしに、平和条約を締結することで、支配国としてのロシアが編み出した不条理なルールを雲散霧消したい。日本の漁船が拿捕されて港に係留されようことがあってはならない。色丹と歯舞だけでも返還されるなら、この水域での自由な操業が可能と期待する漁業者は少なくない。

ウラジーミル・プーチン大統領が率いる与党「統一ロシア」は今年6月14日、年金制度の抜本的な改革案を発表。現在のロシアの年金受給開始年齢は男性60歳、女性55歳と、スターリン時代の1930年代に設定された後一度も引き上げられていない。北極圏とシベリアでの受給年齢はさらに低く、ムルマンスク、アルハンゲリスクなどでは女性50歳、男性55歳。受給年齢を低く設定した目的は、生活環境が厳しいこれらの地域への移住を促進することであった。ロシアでは年金受給額に地域差があるが、全国平均では7,476ルーブル(1万3642円・https://jp.rbth.com/society/2015/10/14/482667)。

改革案ではそれぞれ65歳と63歳に段階的に引き上げることになっていた。兵士や警察官など一部の職業は現状のままとしたのだが、ロシア各地で抗議デモが相次いだ。オンライン署名サイト「Change.org(チェンジドットオルグ)」では、100万人以上の署名が集まった。(https://jp.sputniknews.com/russia/201806185004467/)プーチン氏は先月8月29日、女性の年金支給開始年齢を55歳から60歳に、男性の年金支給開始年齢は当初案のまま60歳から65歳へ引き上げる改革案を発表。ロシア男性の平均寿命は66.5歳なのだから、5分の2のロシア男性が一度も年金をもらうことなく亡くなることになる。ちなみに女性の平均寿命は77.0歳。
年金支給開始年齢は引き上げないと公約していたプーチン大統領は、支持率低下という形で人間の扱い方を間違えた(公約違反)のツケを払わされた。国営世論調査会社VTsIOMによると、5月に80%だった彼の支持率は7月には64%に落とされてしまったのであった。

ソビエト連邦崩壊直前の1980年台後半まで出生率は2.0を上回っていたが、後継国家・ロシアの出生率は現在1.0に落ち込んでいるようだ。別の表現では、1970年台に1人の年金生活者を3.7人の労働者が支えていた人口比率が、現在は約2.0人となり、今後の減少が予想されている。
ロシア政府は、2000年代以降の資源価格高騰を背景とする石油や天然ガスなどの資源輸出増大による歳入増加によって蓄えられた準備基金で財政赤字を補填(ほてん)していたが、このところの歳入の減少を受け準備基金は枯渇している。資源分野の開発に特徴的に見られる連邦予算から大規模な財政支出に頼ったインフラ整備中心開発計画を改め、外資を含た民間投資を誘致するための環境整備がロシアの政治・経済・社会構造を改革する必要条件だと考える。
実業家のアレクサンドル・ガルシカ氏(1975年12月生)は2013年9月11日から2018年5月7日まで第1次ドミートリー・メドヴェージェフ内閣で第2代極東開発大臣(極東発展大臣)を務めた。彼は「先行社会経済発展区(TORTOR )」 や「ウラジオストク自由港」といった新型経済特区を極東地域内に設 や「ウラジオストク自由港」といった新型経済特区を極東地域内に設置し投資環境を整え、国内外から輸出志向型企業を誘致すると同時に、新型経済特区同士のネットワークを発展させることで地域全体の活性化をめざした。今年の5月18日からは3代目極東開発大臣として政治家のアレクサンドル・コズロフ氏(1949年5月生)が就任している。

ロシア連邦極東開発省は、プーチン氏が2012年5月21日にロシア連邦大統領令(ウカース)第612号によりドミートリー・メドヴェージェフ内閣に新たに設置した連邦省庁。極東開発大臣は極東連邦管区大統領全権代表の兼任となる。本庁舎をハバロフスクに設置したが、これはモスクワ以外に連邦省庁を設置した初のケースである。

来年(2019年)、日本で開催されるB20ビジネスサミット(注※)の会合は「全体会合」のみ開き、グローバル・コンサルティング・ファームを一切招致しないという。形だけ「国際会議」を開き、その実、“議論”は行わず、ニッポン独自の政策提言を書き記すイヴェントに仕上げようとしている(参考:2018年9月15日の原田武夫氏のブログ https://haradatakeo.com/?p=73719)。このフォーマットには経団連も政府(経済産業省)も同意賛成しているというのだから、現代版の鎖国政策を導入して、世界勢力から日本を守ろうとしているようにも見える。もしかするとプーチン大統領による年内の平和条約締結の提案は、日本の人知が創り出した新しい結界を日ロ経済交渉を以って破ろうとするものかもしれない。今日が誕生日の安倍首相は、昨日の自民党総裁選挙で三選をシナリオ通りに手にした。彼は唯一の具体的な公約である憲法改正を進める。しかし、それは現代日本の最優先課題ではない。国防問題は安全保障のサブシステムであり、外交・経済・金融・教育・環境・情報・防災などと共に現代に相応しい結界を張り巡らすことが国防と並んで国家の安全にとって重要であることは覚えておきたい。


大きな笑顔の佳き週末を。

参考:
注※http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/humanai/1kai/siryo2.pdf

流れのままに 「二人のMr.Abe 及び「北方領土の日」+α」(2018年02月08日)

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朝陽@旭ケ丘 20180921_060945