朝陽_20181013_055732
朝陽@旭ケ丘 20181013_055732 

 昨日、近くの書店で『評伝 小室直樹(上):学問と酒と猫を愛した過激な天才』と『評伝 小室直樹(下):現実はやがて私に追いつくであろう』を購入し、先程から読み始めた。愛のある名著である。作者の村上篤直氏に心からの感謝と敬意を表します。
 研究者としての小室博士を知ったのは、戦前から戦後の日本社会は連続的なものだと指摘した名著『危機の構造 − 日本社会崩壊のモデル』(ダイヤモンド現代選書・1976年)が出版された年であった。この二冊により、博士が多くの方々から愛された、愛に満ちた方であったことを知った。
小室直樹(下)小室直樹(上)

参考: 流れのままに 「Excellent!」(2018年02月18日)


閑話休題(ソレハサテオキ)。


今日、私たちは国家間の障壁を取り除き、自由化を推し進めた資本主義(グローバル経済)の仕組みの下で生きている。地球上のあらゆるところで作られたモノと情報との往来が一般的なことになり、欲望が叶えられやすい便利な時代にはなった。しかしながら、グローバル経済は飢餓と貧困を放置する人類史を転換するエンジンとはなってはいない。地球上71 億人の人類のうち9億人が未だ飢えている。根本原因は、多国籍企業中心のグローバル経済システムの暴走であり、世界各国政府はそれを止めることができず、人々はそんな政府を動かせないままでいるからだ。

最近話題の4社・GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)も多国籍企業であるが、9億人の飢えた人々の解消を使命(ミッション)にして、このグローバル経済システムを更新するつもりはなさそうだ。GAFAの所有者たちは普遍的な人類愛よりもマネーに価値を置いている。かれらは飢餓と貧困を放置し続けている人類史を全人生をかけて書きかえようとは思わない人々だ。

科学が発展して、すべての人類に貢献し、すべての人々の人間性が大切にされる社会が到来すると思ってきた。日本がリードしてきた人工知能開発は、人間の知能そのものをもつ機械を作ろうとする立場であった。しかしながら最近の開発は、人間が知能を使ってすることを機械にさせようとする立場へとシフトしている。世の中を良くしようとか、社会から貧困をなくそうという意識を人工知能が持つ必要条件は、人工知能のロジカルシンキングの土台となる知識(コンテンツ)に豊かな教養を持たせることだ。豊かな教養が豊かな言葉を生み出し、人間的な意識を醸し出す。次世代の人工知能の分野で日本は今一度世界の表舞台に姿を現して、世界征服を正当化する傾向に陥りがちなアングロ・サクソンのロジカルシンキングを乗り越える人工知能を構築して、グローバル経済システムの暴走を阻止したい。この目的を達成する手段は法秩序である。
日本人は「GAFAの恐ろしさ」を知らなすぎる
「四強企業の真実」は現代人の必須科目だ

(塩野誠 : 経営共創基盤取締役マネージングディレクター@東洋経済 2018/07/27)
Google、Apple、Facebook、Amazon――GAFA。
 現在の世界で最も影響力があるのが、これらの4社だ。これら4社は私たちの生活とビジネスのルールを根本から変えつつあり、これからも変え続けるという。
 そんなGAFAの強さの秘密を明らかにし、その影響力に警鐘を鳴らす書籍『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』がいま、世界22カ国で続々と刊行され、話題を集めている。
 いち早く本書を読み、「本書に日本の大手インターネット企業が一度も登場しないことが気がかりだ」と指摘する経営共創基盤の塩野誠氏に、本書の読みどころを解説してもらった。

スコット・ギャロウェイって誰?
 あなたの生活は「地上の人間を殺す権威」を与えられた「四騎士」にコントロールされている。ヨハネの黙示録になぞらえて現代の「四騎士」とされる巨大企業を、人々はGAFA(ガーファ)と呼ぶ。そう、あなたもよく知っている、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンである。
GAFA 本書の著者スコット・ギャロウェイ氏は、多様な背景を持つ大学教授だ。オンライン通販会社の株式上場を経験した起業家、そして投資家であり、懐かしい方もいるであろうゲートウェイ・コンピュータの役員を務めた経験もある。
 さらに、ファッションブランドのエディー・バウアーでも役員を務め、ニューヨーク大学経営大学院(MBA)ではマーケティング論、ブランド戦略を教えている。
 著者のつくったオンライン通販会社はアマゾンによって息の根を止められたという。著者が投資を行い、経営改革に乗り出したニューヨークタイムズ社のコンテンツはグーグルによって一瞬にして検索結果の奥底(下位)へと飛ばされた。四騎士たちGAFAを語るには、ギャロウェイ氏ほどうってつけの人間もなかなかいないだろう。
 本書は、神にも擬せられるほどの力を持つようになったGAFAについての力作だ。その歴史とビジネスモデルを詳細に分析し、GAFAが支配する世界で企業はどうすべきか、個人はどう学び、どういうキャリアを目指すべきかを語っている。GAFA以後の世界について学ぶことは、現代人の必修科目だと著者は言う。
 著者はMBAの2年生になった学生たちに、そんな講義を行っているようだ。既存のMBA2年目の授業は、教授陣に支払われる「年金」収入を支えるためのプログラムに過ぎないと主張し、生きた知識を教えるべきだと指摘している。
 評者が人生で最初に触ったコンピュータは、1984年に誕生したApple IIcだった。グーグルの知名度がまだ低く、インターネット界隈で働く人間しか同社を知らなかった2000年ころには、同社をグルグルと誤って呼ぶ人間も多かった。
 そんな経験を持つので、その後のGAFAの爆発的な成長、そして人々の生活スタイルを変えるまでに至った影響力について、常日頃から考えさせられている。
 なぜ彼らはここまで成長できたのか? 彼らの影響力の源はどこにあるのか? 彼らは世界をどう変えたのか? 彼らが存在するこれからの世界はどうなっていくのか? 彼らに続く第五の騎士は、この後現れるのか?

GAFAにはセクシーさとかわいげがある
 評者を含む多くの人たちが抱くであろうそんな疑問に、真正面から答えてくれるのが本書だ。といっても、本書の分析は学者による堅苦しいものではない。GAFAについて、その「セクシーさ」や「かわいげ」についてさえも言及している。
 たとえばこんな記述がある。著者はアップルの故スティーブ・ジョブズをイノベーションエコノミーのキリストのような存在だと述べ、アメリカ政府と国民がアップルを甘やかしていると見る。そして、「テクノロジー企業から高級ブランドへ転換する」というジョブズの決定を、「ビジネス史上、とりわけ重要な――そして価値を創造した――見識だった」と看破する。
 なぜならその決定により、アップルというブランドの製品を持った人間は、世界で最も評価される、「イノベーティブな人間である」という評価を得られるようになったからだ。
著者は、アップル製品を「モテるためのツール」と見立てるのだ。そして、格安で作れる製品に高い付加価値をつけることに成功したとして、アップルを讃える。
 一方、著者は格安パソコンのデルを使っているようでは、異性へのアピール度が下がるだろうという、デルユーザー、関係者に同情したくなるような見解も述べている。
 また、規模的にはGAFAを目指せる位置にいる中国企業アリババについても、「不可解なガバナンスと『親会社』である中国の悪印象のために共感を生みにくい」とブランド価値の劣後を指摘する。
 GAFAは私たちの生活のインフラのようなものとなり、私たちのGAFAへの依存度は高まる一方だ。彼らは私たちにメリットだけをもたらしてくれるわけではない。
 私たちは、GAFAに対して、「善良でないと知りつつ、最もプライベートな領域への侵入を無防備に許している」のだ。それも、GAFAが持つ圧倒的なパワーゆえだろう。
 著者はアマゾンをロボティクスで武装した倉庫付きの検索エンジン、そして地球上最大の店舗ととらえる。買い物をするとき、人はグーグルでなく、アマゾンで検索をするようになっている。そしてアマゾンは、そのストーリーテリングの上手さから、安い資本を長期的に手に入れていると指摘する。
 アップルのビジネスモデルの肝は、前述したとおり、ビジネス界の常識を打ち破って、低コストの製品をプレミアム価格で売るのに成功したことだろう。
 フェイスブックはどうだろうか。著者によると、世界人口75億人のうち、12億人が毎日35分はフェイスブックを見ている。普及率と使用率を基準にすれば、同社は人類史上、最も成功している企業だと著者は言う。
 グーグルに至っては、「現代人の神であり、我々の知識の源である」として、歴史上、ここまで世界中のあらゆる問いかけがなされた権威は存在しなかったと言う。検索エンジンに入力される質問は1日に約35億。その6つに1つは、それまで誰も問いかけることのなかった問いだそうだ。グーグルは、それほどの「信頼」を一身に受けているということだ。

GAFAの敵はGAFA
 圧倒的な力を持つGAFAであるが、GAFAの敵はまさにGAFAだ。私も含め、そこに異論を持つ方は少ないだろう。グーグルは製品の検索でアマゾンと争い、フェイスブックは広告の精度でグーグルと争っている。GAFAは私たちの生活のオペレーティング・システムになるべく、互いに壮絶な戦いを展開していると著者は指摘する。
 生活のオペレーティング・システムに入り込む例として、アマゾンのアレクサを挙げ、広告会社、消費者企業のブランドマネージャーの消滅を著者は予測する。アレクサはある時から「他に商品が見つかりません」と答えるようになる。そして私たちは、アマゾンのプライベートブランドを買うようになるのだ。
 またフェイスブックは、あなたの「いいね」が150件わかれば、あなたの配偶者よりもあなたのことを理解し、300件になれば、あなた以上にあなたを理解できるのだという。これだけの影響力を持つメディアであるフェイスブック、そしてグーグルは、メディアであることを拒否し、「プラットフォーム」と呼ばれようとしている。
 グーグルはより一層、神へと近づき、人々の検索履歴から犯罪予測さえも行えるようになるだろう。それは映画『マイノリティ・リポート』で犯罪を予測する者たち、プリコグが存在する世界である。グーグルのいる世界では、人々は天を仰ぐかわりに、うつむき、スマホを見て、神に祈りを捧げるかのようである。
 著者は絶大な力を持った四騎士(GAFA)に挑む第五の騎士としてテスラやウーバーなどの可能性も分析しており、興味深い。

GAFAを知ることは「現代」を知ることにつながる
 著者は現代をこう考える。「超優秀な人間にとっては最高の時代だ。しかし平凡な人間にとっては最悪である」と。本書の後半ではそんな時代に「個人が成功するために必要な内面的要素」について詳述している。そんななか、もしあなたに「大企業で働くスキル」が欠けているのなら、この不透明な世界で起業することも選択肢として挙げる。
 巨大テクノロジー企業が毎日の生活に入り込み、あなたの心の中まで探ろうとする時代だ。本書を読んで、四騎士のいる世界について概観するのも悪くない。むろん、インターネットビジネスに関わる人間にとって本書は必読書である。そして本書に日本の大手インターネット企業が一度も登場しないことが気がかりだ。
 だがそれだけにとどまらない。なぜなら、四騎士のいる世界を描いた本書は、ビジネスパーソンだけでなく、あらゆる人々に関係する隠された真実を描いた「黙示録」なのだから。


大きな笑顔の佳き週末を。