朝陽_20190504_045309
Asahigaoka@AM045309, 4th May 2019.

『夜と霧』で知られるヴィクトール・フランクル医師(Viktor Emil Frankl:1905年3月〜1997年9月)は、死後も人格が存続するという素朴な考えの持主でした。人聞は精神(Geist)・心魂(Seele)・身体(Leib)の三つの構成要素からなると捉えます。そして、身体は死によって崩壊しますが、心魂・精神は崩壊せずに存続すると考え、精神は死を超えて存続すると見極めたのです。彼は人間は遺伝や環境の産物ではないと喝破した上で、私たちに己が精神の主体性と自立性を自覚するよう訴えています。
それは、素朴な心を失っていない人、あるいは中途半端な教養であっても良識を保っている人、そういう人ならだれしも、人間の死によってすべてが終わってしまうなどとは決して認めないであろう、ということであります。

いつも繰り返し示されることは、人聞が ―例えば墓に語りかけながら― 死者に向って「汝」と、ごく自然に呼びかけることができるという事実であります。

彼は、死せる者の肉体に、この「心魂の抜けた」肉体に、死体に呼びかけているのではありません。そうではなく、彼はそのつど、まさにただ精神から精神に向って呼びかけているのです。ただ精神的人格に対してのみ、私は「汝」と言うことができるのです。


『制約されざる人間 (Derunbedingte Mensch) 』(春秋社・2000年7月刊行)178〜179頁より引用。


大きな笑顔の佳き週末を

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