国宝の玉虫厨子(たまむしのずし)は飛鳥時代(7世紀)の傑作で、法隆寺の宝物館である大宝蔵院で見ることができます。縦・横の柱部分に、玉虫の羽根を張り付け、透かし模様の金メッキした銅板で羽根を押さえ、透かしの間から玉虫色を放出するというもので、4,800匹分の羽根が使われたと言われます。厨子は高さ233cmで、最下部の台脚部、その上の須弥座部、最上部の宮殿(くうでん:厨子の古称)部からなります。須弥座部には、正面に「舎利供養図」、向かって左側面に「施身聞偈図」(せしんもんげず)、右側面に「捨身飼虎図」(しゃしんしこず)、背面に「須弥山世界図」が描かれています。

中でも、捨身飼虎図は良く知られています。「捨身(しゃしん)」とは命を捨てること。仏教では一般の人々の自殺は厳禁ですが、大乗の修行者が他の人あるいは生き物を救うために自らの生命をなげうつことは評価されてきました。
捨身飼虎図
薩埵(サッタ)太子(釈迦の前世)は飢えた虎の親子と出会い、崖上から捨身して食わせ、虎の母子(生後間もない子七頭)の命を救いました。飢えた母子(虎)は釈迦の捨て身の善意を前にして彼を食べることができませんでした。そこで、彼は自ら首を掻き切って、虎たちが彼を食べるきっかけを与えたと言います。

私たちは日々、多くの生物を食事の用に供しています。日々犠牲となっている生物の捨身飼虎の願心を汲み取りたいものです。生物の捕食(食べる)・被食(食べられる)の関係=食物連鎖は、弱肉強食(弱の肉は、強の食なり)と捨身飼虎の願心が調和した清浄国土ならではの事象と受け取りたいと思いました。


閑話休題(それはさておき)


1990年初期から日本のテレビで霊能者として活躍なさった宜保愛子さん(1932年1月〜2003年5月)という人物がいました。彼女は、テレビの取材で朝鮮半島の地を踏むことを拒否し続けて話題となり、結果、1995年のテレビ主演を最後にメディアから姿を消しました。

飛行機でテレビクルーと供にサウス・コリアに向かい、窓から朝鮮半島が見えた時、彼女は「あんな、おぞましい所には行きたくない」と叫んだと言います。当然、この番組はお蔵入りしました。また、相談者が所有する高麗の青磁の器を見て、不吉と語ったことも伝えられています。彼女は朝鮮半島の「試し腹」など(後述の「ハンを積む行為」参照)の慣習を忌み、半島から距離を置いたのです。少しばかり、敷衍します。宜保愛子さんは、カルマが集積されたダークサイド(闇)のエネルギー領域である半島の死霊のデータが自分にプリンティングされるのを嫌ったわけです。その中には、朝鮮併合(1910年)を機に来日した半島出身者である在日や帰化人の日本列島での死によって形成された闇のデーターも含まれると思います。朝鮮半島の人たちにある特有の集合意識『恨 (ハン)』が大きく関係しているようです。

東京大学名誉教授の伊藤亜人氏(1943年生)は、行き詰まっている韓日関係を解決するには「韓半島の人々の恨(ハン)」を推し量るべきだと言います。しかしながら、「恨(ハン)」という朝鮮半島の人たちの集合意識はとても分かりずらいものだと思います。

イム・グォンテク監督による1993年公開のサウス・コリア映画『風の丘を越えて/西便制』に、「恨(ハン)」というもののエッセンスを見ることができそうです。あらすじは、
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 山奥の酒屋兼旅籠にドンホという男が訪れる。彼は、パンソリ唱者である養父のユボンとその養女ソンファを探しているのだった。ドンホは、女主人から消息を聞かされる。
 ドンホが幼かった頃、ドンホの母である後家のもとに居ついたのが旅芸人のユボンと、その養女のソンファだった。ドンホの母は出産の際に落命し、ひとり残されたドンホは、ユボン・ソンファとともに旅芸人となる。ユボンは、ソンファには歌を、ドンホには太鼓を教え込むが、修行は厳しく、生活も楽ではない。時あたかも西洋音楽が流行するようになり、パンソリは古い芸能として忘れられつつあった。ある日ドンホは、衰退しつつあるパンソリに固執するユボンと言い争い、そのもとを飛び出す。
 しかしドンホは、ユボンとソンファを懐かしく思い出すようになる。薬の仲買人として旅をしながら、彼らの足跡を辿るドンホは、パンソリの奥底にある「恨(ハン)」を極めるために壮絶な親娘の生を見出すのだった
 ドンホは、漁村で暮らしているというソンファに会いに行く。
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赤字の部分が問題。「壮絶な親娘の生」は、娘ソンファの歌には何かが足りないと思ったい込んだ父ユボンが、娘には恨 (ハン)が足りない、と意識し始めたことに端を発しています。朝鮮半島には「ハンを積む」という集合意識があります。いかにして、ソンファに「恨(ハン)」を与えようか考えます。結果、ユボンは娘が親(自分)を一生憎むようにすることだ、と悟るのです。そして、薬を偽って飲ませ失明させます。

私たち日本人の「徳を積む」というエトス(道徳観の発露)に近いものが、「恨(ハン)を積む」だと思います。
反日教育等も恨(ハン)を積む集合意識の発露なのかもしれません。
このような慣習(意識)を持った朝鮮半島のエリア・スタディは必要不可欠です。

ところで、日本のサウス・コリアへの輸出規制は、サウス・コリアが主導している半導体やスマホのマーケットを奪還するという戦略を実現するための戦術という訳ではありません。また、その分野でのサウス・コリアのマーチャンダイズ力・製造ノウハウ・人材・資本を代替する能力は今日の日本にはありません。もし、戦略がサウス・コリア企業を「いじめる」ことだとしたら、日本政府の中枢にはサウス・コリアに「恨(ハン)」を与えようとする非日本人の勢力があると思われます。そんなことは、宜保愛子さんは先刻お見通しであったに違いありません。

前出の伊藤亜人名誉教授の「彼らの中にある『恨(ハン)』とか『非業の気持ち』に対して日本側は『惻隠(そくいん)の情』を示すべきだろう。傲慢にならず、相手をおしはかろうとする姿勢だ。」との発言に、先の大戦中に日本の船艦「雷(いかずち)」の艦長が沈没した英国船艦の漂流している422人の兵士を救った話が彷彿として甦りました。惻隠の心は仁の端なり。これは、日本人の大切なエトスです。

しかしながら、日本の理(ことわり)は、白村江の敗戦を忘れてはいないはずです。そして、私たち日本の民衆は一人ひとりが、神の代理である「大御心(おおみこころ)」としての上皇陛下と天皇陛下の「大御宝(おおみたから)」です。人間由来の権力を持ったに過ぎない半島を含む国内外の勢力が、大御心と大御宝そして大御體(おおみからだ:日本)を自由に支配することは神(公)に認められるはずがありません。日本が調和した清浄国土でいる必要条件は金輪際、半島を生命線としない「理」です。
「ホワイト国」韓国を除外へ 輸出規制、1000品目に拡大か
(東京新聞 2019年7月27日 朝刊)
 政府が半導体材料の韓国向け輸出規制強化を巡り、安全保障上の輸出管理で優遇措置を取っている「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を、八月二日にも閣議決定する方向で調整していることが二十六日、分かった。政令公布の二十一日後に施行されるため、八月下旬にも除外される見通し。ホワイト国の指定取り消しは韓国が初となる。除外が正式に決まれば韓国のさらなる反発は必至だ。
 韓国政府はホワイト国から外れれば、優遇措置の除外対象は現在の半導体材料三品目から、電子部品や工作機械など「千品目以上」に急拡大すると分析。半導体に次ぐ主要産業の石油化学製品や自動車も打撃を受けると危機感を募らせている。
 韓国側は今後、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉会合といったあらゆる国際会議の場を利用し、日本の措置撤回を求め、国際世論の支持を取り付けたい考えだ。文在寅(ムンジェイン)政権の与党関係者は東京五輪にも影響が及ぶと警告している。ただ具体的な対応には言及しなかった。
 日本政府は韓国除外について、貿易管理の国内運用の見直しと説明。菅義偉官房長官は二十六日の記者会見で「実効的な輸出管理を行う観点から、適切な措置だ」と述べた。
 韓国のホワイト国指定は二〇〇四年。輸出先がホワイト国であれば、輸出企業は手続きの簡略化などの措置を受けられる。除外されると、食料品や木材などを除いた多くの品目で軍事転用の恐れがあるとされた場合、輸出企業は経済産業省に許可を得る必要がある。
 政府は、除外の方針について一日からパブリックコメント(意見公募)を実施した。一万件超の異例の数が集まり、大半が方針を支持したという。韓国政府からも、日本側に措置の撤回を求める意見があった。


大きな笑顔で邪氣を払って参りましょう。
佳き日曜日を。

(追記)2019.08.08
サウス・コリアのアカデミシャンには、with cool heads but warm hearts(冷静な頭脳をもって、しかし暖かい心情をもち)、進んで力を差し出す人物がいることも知っておきましょう。
【韓国情勢】保守勢力、ソウルで慰安婦像反対集会 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
(国家基本問題研究所 2019.06.07 (金) )
6月5日、ソウル中心部で差別主義的反日に反対する韓国の良識派保守勢力による街頭集会が開催された。主催者の一人である李宇衍(イ・ウヨン)落星台研究所研究員は、「今日の集会は反日民族主義に公然と反対する史上初めての集会である」とあいさつした。
 ここに当日、朗読された声明文の日本語訳全文を掲載する。声明文で注目すべきところは、法を無視する暴力を行使している親北過激派労組の民労総(全国民主労働組合総連盟)を正面切って批判していることだ。親日と呼ばれるタブーに挑戦するだけでも社会的生命が抹殺される危険がある韓国で、この声明文はもう一歩踏み込んで、物理的生命をもかけた大韓民国を立て直すための必死の訴えだということがわかる。

慰安婦像と労働者像設置に反対する6月5日ソウル集会
歴史歪曲、外交惨事の労働者像設置に反対する

 歴史の流れを逆に戻そうとする無知と狂気がこの国をおおっている。いわゆる慰安婦少女像と労務動員労働者像を日本大使館や領事館近くなど全国各地に立てようとする試みは、決して進歩と民主、労働者の名によって正当化されない。
 慰安婦少女像と労働者像は歴史認識を歪曲し、もっとも近い友邦国との大切な親善関係を根底から壊そうという悪魔的企てだ。我々は理性と知性の力を信じる民主進歩的市民たちの意志を集め、労働者像設置に反対する。

1 労働者像設置は歴史歪曲だ
 日帝時代に日本に働きに行った我々の祖先たちは奴隷のような強制労働に苦しんだということは徹底した歪曲だ。進歩を売り物にする輩らは別の事故で撮られた日本人たちの写真を朝鮮人たちの写真(訳注1)として偽造し、映画の一場面(同2)を実際の写真だと主張するなどでたらめを通じて反日感情をあおってきた。
 しかし、これは全く事実と異なる。当時朝鮮人たちは自発的意志によりお金を稼ぐため玄界灘を渡ったのであり、就職競争はとても熾烈だった。誰でも玄界灘を渡れることができたのでもなく、就職した後には正常に賃金が支給された。
 当時、朝鮮人たちが日本から送金した給与が朝鮮のインフレ発生の一助になったという理論もある。労働条件なども当時の日本人労働者たちと根本的な差はなく、今の基準から見ても非人間的な待遇だと言えるようなものではなかったと確認されている。
 この間、この国の進歩を売り物にする輩らが映画や大衆媒体に広めてきた「強制徴用労働者」という認識は、徹底した歪曲と虚偽だという事実が真摯な学問的研究によって暴露されている。国立日帝強制動員歴史館の追悼塔に書かれている強制徴用労働者の写真が最近、替えられたことが端的な証拠だ。年若い生徒らに歪曲された反日種族主義を注入する教科書のまちがった内容に対する修正作業も推進されている。

2 労働者像設置は最悪の外交破綻を呼び起こす
 我が国も加盟している外交関係に関するウィーン協約は、外国公館の前に物議を醸すような造形物を設置することを禁じている。もし、ベトナムの韓国大使館の前にベトナム戦争当時の韓国軍による虐殺の場面を描く彫刻像を設置するなら、それは韓国・ベトナム関係を終わらせようという宣言と変わりがない。韓日関係は韓国・ベトナム関係よりも東北アジアの国際秩序においてより一層比重が大きい。
 慰安婦像および労務動員労働者像とともに最近韓国の裁判所による強制徴用賠償判決と韓国国内に進出している日本企業に対する差し押さえ推進などは、大韓民国の近代化と経済発展に決定的に寄与した韓日親善を根底から脅かしている。これは1965年の韓日国交正常化で合意された韓日基本条約の精神に正面から違反する文在寅政権の愚かで無責任な外交的な自害行為だ。
 このような愚かな外交的な自害と韓日親善関係の破壊策動は、大韓民国の生存と繁栄の前提条件である韓日親善交流協力を根底から崩壊させようとする勢力の組織的な陰謀ではないかと疑わせる。
 いま急がれるのは、強制徴用労働者像や慰安婦少女像を設置することではなく、韓日親善交流協力を毀損しようというこの執拗で計画的な試みの本当の意図が何なのか、その背後にどのような勢力がいるのかを徹底的に究明し、その責任を問うことだ。韓日関係が動揺すれば、韓米関係が危うくなる。韓日、韓米関係が危うくなることをのどを飯が通らないほどに切実に願っている者らが誰なのか、すべての国民がしっかりと直視しなければならない時だ。

3 労働者像設置は無法地帯の世の中を予告している
 労働者像設置を主導している民労総と左派陣営は、不法暴力行為を主導するヤクザ集団のようなやりかたをどんどん露骨化している。労使協議の相手である企業体の役員を生命が脅かされる程に暴行し、警察の捜査もやりたい放題に無視する。裁判所や行政官庁に侵入し公権力を踏みにじり、警察のほほをぶんなぐる。労働者像を撤去した釜山市長を脅迫した末、降伏宣言を引き出した。
 この者らは大韓民国の法律と国民の上に君臨する占領軍なのか。大韓民国の国民の血と汗である税金を自分らのポケットのカネのように自由に出して使える新しい両班、貴族階級なのか。誰が彼らに大韓民国の法律を無視し、ごく少数の貴族労働者らのために国家と国民、法律を踏みつける権利を与えたのか。
 この者たちによる、国民の歪曲された反日感情と被害意識を扇動して自分たちの不法暴力行為を正当化し美化しようとする試みが、強制徴用労働者像に集約されている。親日清算だけをかかげれば、あらゆるヤクザのような行いが全部正当化され、進歩という名分を得ることができるという計算が適用されている。
 この者らが強調する「労働者が主人になる世の中」とは、まさに労働者の自発性や福祉を徹底的に無視し世襲貴族らによって強制徴用が日常化される世の中だという事実が、北の金氏朝鮮の実情を通じて明らかになっている。

我々は次のように要求する。

1. 民主と進歩、市民の名をかかげて歴史を歪曲する民労総と市民団体などは強制徴用労働者像の設置をすぐに取り消せ。
2. 文在寅政権と執権与党は、韓日関係を壊して金氏朝鮮の利益のために服務する愚かな行動をすぐに中断し、厳重な公権力行使を通じて労働者像設置を根本から遮断せよ。
3. 理性と良識を持つこの地のすべての知識人と市民活動家たちは、この問題が韓半島の平和と国益の擁護のために絶対的に重要な命題だという事実を認識し、積極的に反対活動に参加せよ。
4. 文在寅政権は、韓日基本条約の効力を源泉的に否定する外交破綻と韓日親善、韓米日友好関係の破壊を通じて金氏朝鮮の赤化策動に服務する策動をすぐに中断し、伝統的な友好関係を回復せよ。
このような我々の要求が実現されるときまで、我々は放棄せずにたたかう。

2019年6月5日
●慰安婦と労務動員労働者銅像設置に反対する会
●反日民族主義に反対する会
●韓国近現代史研究会
●国史教科書研究所

<訳注>
1)韓国国定小学校教科書などに掲載されていたガリガリに痩せた労働者の写真は、1926年に旭川新聞が道路建設現場での虐待致死事件を報じた際に掲載された日本人のものだった(産経新聞2019年3月20日)。
2)1965年に朝鮮総連傘下の「在日本朝鮮文学芸術家同盟」が作成した映画で、スタッフが「お母さんに会いたい、腹が減ったよ、故郷に帰りたい」とするハングルを演出のため筑豊炭鉱の壁に書き込んだ。それを韓国の国立博物館などが実物として展示している(西日本新聞2001年1月3日)。

流れのままに