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 1841年、イギリス・ ダービーシャー州メルボルン出身の実業家トマス・クック(Thomas Cook:1808年11月〜1892年7月)は、自らの名前を冠した旅行代理店であるトマス・クックで初めて団体の周遊旅行を企画し実行しました。
 1854(寛永7)年、わが日本は合衆国と日米和親条約を結び、さらに1858(安政5)年に日米修好通商条約を結び、約200年に渡る鎖国を解いたのです。 箱館・長崎・神奈川(横浜)が1859(安政6)年、兵庫(神戸)が1868(慶応3)年、新潟が1869(明治元)年に開港されると、多種多様の異人(偉人)たちが各々思いを抱き集まってきました。
 1872(明治5)年にトマス・クックは、初めての世界一周の団体旅行を実施。彼はこの世界一周旅行で日本を訪れ、孫への土産として人力車を購入するのでした。日本では明治になって5年が経過しており、幕末の危険性は消え去り、この年(1872年10月)には新橋横浜間で日本最初の鉄道が開通していました。トマス・クックは風光明媚な瀬戸内海の風景を「イングランド・スコットランド・アイルランド・スイス・イタリアの湖の最も良いところだけを取って一つにしたほど美しい」と絶賛するのでした。
 また、この翌年の1873(明治6)年には「SFの父」と呼ばれるジュール・ベルヌ(Jules Gabriel Verne:1828年2月〜1905年3月)の『八十日間世界一周(Around the World in eighty Days)』がフランスで出版。この小説の爆発的な人気も手伝い、人々は世界旅行に駆り立てられたのでした。この年には、日本最初の近代的啓蒙学術団体「明六社」が、森有礼・福澤諭吉・加藤弘之・中村正直・西周・西村茂樹・津田真道・箕作秋坪・杉亨二・箕作麟祥らにより結成されています。
英旅行大手トーマス・クック、破産申請 旅行者15万人の帰国作戦が開始
(BBC 2019年09月23日)
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 創業178年の英旅行代理店トーマス・クック・グループは23日、ロンドンの裁判所に破産を申請した。追加の資金調達交渉が合意に達しなかったため。英民間航空局(CAA)は、同社が「直ちに営業を停止した」と発表した。トーマス・クック・グループは、「近代ツーリズムの祖」とも言われる実業家トーマス・クックが19世紀に創業した老舗旅行代理店が母体だった。
 これによって、同社のツアーでイギリスから国外を旅行している15万人以上を無事に帰国させるため、平時で最大規模の帰還作戦「マッターホルン作戦」が開始された。イギリス人観光客を帰国させるため、22日からすでに乗客のいない旅客機がイギリスから海外へ向けて相次ぎ出発していた。
 英政府は、政府とCAAが数十のチャーター機を調達したため、トーマス・クックに手配して海外に出国している旅行者は全員、無料で帰国させると発表した。
 「マッターホルン作戦」では、政府が確保したチャーター機45機が23日だけで64航路を移動する。その本数から、現時点で一時的にイギリス最大の航空集団ということになる。イージージェットやヴァージン航空などが、旅客機を提供したという。
 BBCのトム・バリッジ交通担当編集委員は、23日にも1万6000人の旅行客が海外から帰国する予定だったと伝えている。政府はそのうち少なくとも1万4000人をチャーター機で23日中に帰国させたい考え。
 CAAは、「トーマス・クックを通じた全ての予約は、フライトも海外旅行も含めて全て、キャンセルされた」と発表。「これほど長い歴史を持つ会社が営業を停止するのは、利用客や従業員にとって大変気がかりなことに違いなく、影響を受ける全ての人のことを思っている」と述べた。
 トーマス・クックを通じて海外旅行を手配し、今から2週間の間に帰国する予定の旅行者は全員、帰国日に「できるだけ近い」日程で帰国できるよう手配するという。
そのための帰国便は23日から運航開始の予定で、専用のウエブサイトが整い次第、詳細はそこに掲載される見通し。
 CAAはさらに、トーマス・クックのパックツアーが宿泊するホテルに対して、宿泊費用は政府が航空旅行信託基金(ATOL)の保証を使って負担すると連絡していると説明した。イギリスでは欧州連合(EU)のパッケージ旅行者保護方針にもとづき、パック旅行利用者の宿泊費と帰国費用は業界の弁済保証金からなるATOLの保証対象となる。
 グラント・シャップス英運輸相は、「スタッフと旅行者にとってとても残念な知らせだ」と述べ、大勢を帰国させるため「大掛かりな」作業に取り組むなか、旅行者には「スタッフに思いやりをもって」接してもらいたいと促した。

2万2000人の雇用に影響
 トーマス・クックの破綻によって、イギリス国内9000人を含む世界2万2000人の雇用に影響が出る。
 ピーター・フランクハウザー最高経営責任者(CEO)は、経営破綻について「とてつもなく残念だ」とコメントし、「数百万人もの利用客、数万人の従業員」に謝罪した。
 同社は今年8月、最大株主の中国投資会社、復星国際(フォースン・グループ)から救済資金9億ポンドを獲得していたものの、先週になって大手株主や主要取引先銀行が信用条件として追加で2億ポンドの資金調達を要求していると明らかにしていた。22日まで救済交渉を重ねていたが、成立せず、破産申請に至った。
 同社は政府にも資金援助を求めており、最大野党・労働党や労働組合はこれに応じるよう政府に働きかけている。
 しかし、ドミニク・ラーブ英外相は22日、BBCに対して、「よほどの国家利益」が伴わない限り、企業が破綻したからといって政府が「当然のように支援する」というものではないと話していた。
 BBCの取材では、トーマス・クックは政府に2億5000万ドルの資金援助を要請していたが、政府はそれだけの公的資金を注入しても同社は数週間しかもたないと判断したという。
 ボリス・ジョンソン英首相は、旅行先で立ち往生するイギリス市民を支援する方針を打ち出したが、同時に「こういう問題をなんとかする意志」が同社重役陣にはなかったのか疑問視した。
 トーマス・クック社は業績悪化について、トルコなどイギリス人に人気の海外旅行先で政情不安が続いたり、今年の夏に熱波が続いたりしたこと、あるいはブレグジット(イギリスのEU離脱)に伴う不透明感から海外旅行を控える傾向が続いたことなどを理由に挙げている。
 その一方で、同社はオンラインの旅行代理店や格安航空会社などから激しい競争にさらされていた。
 さらに最近では、多くの旅行者が代理店に頼らず、自前で旅行を計画するようになったことも影響しているとみられる。
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「誰でも旅行が手配できる時代」
 英紙インディペンデントの旅行業界担当、サイモン・コルダー氏は、英マンチェスター空港からBBCニュースの取材に応じ、トーマス・クック社には「21世紀に対応する用意ができていなかった」と話した。
 「今では誰でも旅行代理店のふりができる。すべての航空券、世界中のホテルのベッドやレンタカーを自分で探して、自分で手配できる」ことが、同社の業績悪化につながったとの見方を示した。
 コルダー氏によると、マンチェスター空港では日付が23日に変わると共に、トーマス・クック航空の旅客機の押収が始まったという。
(英語記事  Thomas Cook collapses as last-ditch rescue talks fail


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