市中肺炎は、医療施設または医療環境と接触する機会が限られているか、まったくない人に発生する肺の感染症です。肺炎は、世界で最も一般的な死因の1つで、肺にある小さな空気の袋(肺胞)やその周辺組織に発生する感染症。新型肺炎が、健康な人に発生したのか、免疫系の機能が低下している人に発生したのかということの見極めは大切です。免疫系の機能が低下している人は、普通の人に比べてはるかに肺炎にかかる可能性が高く、このような方はまれな細菌やウイルスのほか、真菌や寄生虫さえ肺炎の原因となることがあります。また、免疫系の機能が低下していると、治療を行っても、免疫力が正常な人と同じような効果が得られない可能性があります。

肺炎で最もよくみられる症状は以下のものです。ただし、これらの症状は肺炎の広がりや原因微生物の種類によって異なることがあります。乳児や高齢者では、さらに多様な症状が現れます。発熱がみられないことも。また、胸痛がないこともあり、胸痛があっても、それを伝えられない場合が。唯一の症状が、息が速くなるだけであったり、突然食事を拒否するようになるだけのことも。高齢者では、突然の錯乱が、肺炎を示す唯一の徴候である場合もあります。
• たん(粘り気が強いまたは変色した粘液)がからんだせき
• 胸痛
• 悪寒
• 発熱
• 息切れ

細菌とウイルスの違いについて。細菌は細胞を持ち、自己複製能力を持った微生物です。一つの細胞しか無いので単細胞生物です。ウイルスは、蛋白質の外殻、内部に遺伝子(DNA、RNA)を持っただけの単純な構造の微生物です。細菌のように栄養を摂取してエネルギーを生産するような生命活動は行いません。ウイルスは細胞を宿主にしますので、自然、細菌よりもウイルスは小さいです。例えば、ブドウ球菌は直径約0.8〜1.0μm(マイクロメートル:1mmの1/1000の単位)の球状ですが、ノロウイルスは直径約30nm(ナノメートル:μmの1/1000の単位)。細菌は光学顕微鏡で見ることができますが、ウイルスは電子顕微鏡が必要です。増殖に関しては、細菌は糖などの栄養と水があり、適切な環境のもとでは、生きた細胞がなくても自己増殖できます。一方ウイルスは栄養と水があっても、細菌とは違い、単独では生存できません。ウイルスは、自己増殖の能力がなく、生きた細胞の中でのみ増殖できます。他の生物を宿主にして自己を複製することでのみ増殖。なお、ウイルスが感染した細胞は、ウイルスが増殖して多量のウイルスが細胞外に出てくるのですから死滅します。そして、その増殖したウイルスがまた他の細胞に入り込んで増殖を続け、これにより宿主の細胞が次々と死滅してゆくことで生物は耐えることができずに死亡に至ります。すなわちウイルスが生き残るための必要条件は、他の個体へ感染させ続けること。感染力はウイルスにより異なります。
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https://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルスより転載

治療法について。細菌は、一般的にペニシリンなどの抗生物質(細菌の細胞などを攻撃することができる薬)有効。抗生物質は多細胞生物である生物が真核細胞(遺伝子が膜で覆われている)であるのに対し、細菌が原核細胞(遺伝子が膜で覆われていない)であるため、その異なる性質を利用して細菌にだけに効くようにした薬です。一方ウイルスに抗生物質は効力がありません。一部インフルエンザウイルスなどに有効な抗ウイルス剤(ウイルスの増殖を抑制する薬)があります。ワクチンは、無毒化したウイルスを体内に入れて免疫力を高め、実際に感染したときに急激にウイルスが増殖することを抑えます。感染を予防するために病原体を不活化もしくは弱毒化した抗原を注射などで投与し、その病原体の抗体をつくり事前に免疫を獲得させる薬です。すでに発症した病気に対して治療に有効な成分を含んだ治療薬とは別物です。ワクチンは、オーストラリア・メルボルンにあるピーター・ドハーティ感染免疫研究所が先月29日、新型コロナウイルスの人工培養に成功しています。治療薬は、エイズ治療薬の「リトナビル」など既存の薬品の一部で新型肺炎に奏効するものが発見されているようです。 タイ保健省は今月2日、新型肺炎の治療で抗HIV薬の「ロピナビル」と「リトナビル」、インフル薬の「オセルタミビル」(商品名タミフル)を併用して投与し、病状が回復しウイルス検査で陰性になったのを確認しています。 

該当症状の報告があった時に、PCR検査・抗原検査・抗体検査ができる環境が日本社会には整備されることを願って止みません。簡便に短時間で出すテクノロジーを開発できたら素的です。
「PCR検査」の実情と限界…新型コロナ拡大防止へ
(テレ朝news 2020年2月17日 19時43分)
  新型コロナウイルスに感染しているのかどうか、それを確定させるものとして行われているのがPCR検査ですが、現在、その検査ができるのは全国で100の公的機関で、その検査数も1日に1000件程度にとどまっています。
  国内での感染者が増えるなか、その検査体制を整えてきた厚生労働省。

  加藤厚生労働大臣:「最大1日3000件を上回る検査能力を獲得してきた」

  公的機関の人員を増やすほか、民間検査会社や大学などの協力を得るなどして1日に3000件を超える検査をできるようにしました。そのPCR検査とは、どのように行われているのでしょうか。北里大学病院で見せてもらいました。
  病院内でも厳重な管理区域となっている部屋。さらに奥にある「バイオハザード」と呼ばれるエリアで行われていたのは、検体として提出された綿棒からウイルスの判断の重要な情報となるRNA(リボ核酸)遺伝子を抽出する作業です。

  北里大学病院臨床検査技師・櫻井慶造さん:「手間、労力が一番掛かるのはRNA(遺伝子)の抽出作業」
  
  専門の技師による手作業で行われていたのは、感染の有無を調べる装置に入れる前に行う下準備。1検体で要する時間は約1時間です。続いて、抽出されたRNA遺伝子を陽性、陰性を調べる特殊な装置へ。

  北里大学病院臨床検査技師・櫻井慶造さん:「(Q.この工程はどのくらいかかる?)結果が出るまで約2時間かかります

  この検査ではすべての工程が終わるまでに5、6時間かかるといいます。

  北里大学病院臨床検査技師・櫻井慶造さん:「慣れた熟練の検査技師がやったとしても1日30件が限界と思われる」

  北里大学病院では2人ほどの技師がPCR検査にあたる予定です。それでも1日に対応できるのは60件ほどということになりますが、もっと多くの検査をするにはマンパワーが必要だとしています

経路不明で拡大見通せず 「感染期」に移行? 新型肺炎、福岡で確認
(西日本新聞 2020/2/20 23:34 (2020/2/21 1:45 更新) )
large_IP200220JAA000698000[1]  福岡市で初めて新型コロナウイルス感染者が確認され、九州にも感染が広がった。感染経路は明らかになっておらず、拡大リスクは見通せない。専門家は「今の段階で行政や市民が予防策を徹底することが、ウイルスのまん延を防ぐ」と警戒を呼び掛ける。
  感染が確認された市内の60代の夫婦に最近の渡航歴や国内旅行はなかったという。飯塚病院(福岡県飯塚市)感染症科の的野多加志部長は「全国的に『国内発生早期』から、患者が増えて感染経路をたどれない『感染期』に移行しつつある」とみる。九州大病院(福岡市)グローバル感染症センターの下野信行センター長も「他県でも渡航歴や患者との接触歴がない感染者が報告されており、感染経路の特定は難しくなっている」と指摘する。
  ただ、男性は感染後、不特定多数の人と濃厚接触した可能性は低いとみられる。福岡県医師会で感染症を担当する稲光毅理事(小児科)は「街ですれ違ったり、公共交通機関で乗り合わせたりした程度で感染するとは考えにくく、今回の感染から一気に広がる可能性は低いのではないか」とする。国内の感染報告は屋形船や病院、家庭内など比較的閉じた空間での濃厚接触によるものが多い。下野センター長は「市中感染がまん延しているなら、普段の診療でもっと疑わしい例を診ているはず」と話す。
  いずれの専門家も「現段階の対応が今後のリスクを左右する」と声をそろえる。的野部長は「高齢者や持病がある人は重症化しやすく、周囲が感染させない行動を取ることが求められる。『自分を守る』だけでなく『他人を守る』視点が重要だ」と訴える。下野センター長は「抗エイズウイルス(HIV)薬に効果がある可能性も指摘されている。福岡は行政の下、医療機関が連携し、診療態勢も十分に整っている」と強調する。
  市民一人一人にできることは、従来呼び掛けられている「こまめな手洗いやせきエチケット」などの予防策をあらためて徹底することに尽きる。パニックにならず、冷静な対応が求められている。 (井上真由美、斉藤幸奈)

新型肺炎、道内5人目 札幌40代男性、雪まつりで事務 4例目は七飯町議
(道新 02/21 01:46 更新)
  札幌市は20日、札幌市在住の40代の会社員男性が新型コロナウイルスに感染したと発表した。感染確認は道内で5人目。19日に3人目の感染者として発表した札幌市在住の40代の会社員男性と今月1〜12日、「さっぽろ雪まつり」大通西2丁目会場の運営事務所内で一緒に仕事をしていた。接客はしていなかったという。ほかにも1人が同じ事務所内で仕事をしていたといい、市は濃厚接触者とみて健康状態を観察している
  一方、道は20日、4人目の感染者として19日に発表した渡島管内の60代男性は同管内七飯町議で、家族や中宮安一町長、町職員、町議会関係者ら48人を濃厚接触者とみて健康状態を調べていると発表した。現時点で発熱などの症状がある接触者はいないという。道は男性の職業を伏せていたが、町議の職務で町長ら多数と接触していたことが判明したとして公表に転じた
  札幌市によると、5人目の男性は15日に悪寒や関節痛、18日に発熱やせきを発症。19日に受診した医療機関からの連絡で市衛生研究所が男性の検体を検査し、感染を確認した。男性は20日、感染症指定医療機関の市立札幌病院に入院し、症状は重くない。日本人で直近の海外渡航歴はないという。
  3人目と5人目の男性は雪まつり会場の運営を委託された別々の会社の社員で、2階建て延べ約50平方メートルのプレハブ事務所でほかの1人と計3人で勤務していた。市は8日に発症した3人目の男性から15日発症の5人目の男性に感染した可能性もあるとみている
  秋元克広市長は20日の記者会見で、男性2人について「来場客と接する仕事ではなく、一般の方に広く感染する状況ではなかったと思う」と述べた。ただ、スタッフの出入りもあったため、市はほかに濃厚接触者がいないか調べている。
  一方、七飯町議会は20日、正副議長らによる4役会議を開き、町議の感染を受け、3月2日に予定していた定例町議会の開会を同9日に延期することを決めた。ほかの町議や傍聴する町民に感染を広げないため、定例会延期はやむなしと判断した。(樋口雄大、池野上遥)

(追記)
中国側から日本側に新型コロナウイルス検査キットの支援について中国駐日本大使館報道官が記者の質問に答える
(中華人民共和国駐日本国大使館 2020/02/20)
問:最近、中国側は新型コロナウイルス検査キットを日本側に無償提供したと聞いております。詳細をお聞かせください。

答:最近、日本国内で新型コロナウイルス感染症をめぐる事態が持続的に変化しております。これに対し、中国側は高い関心を持って注目しており、身につまされる思いであります。日本国内では新型コロナウイルスの検査キットが不足していると伺い、中国側は直ちに協力の意向を日本側に伝達し、行動を取りました。関係方面と再三調整した結果、この前、中国のBGIグループと深セン市マンモス公益基金会を通じて、新型コロナウイルス検査キットを日本国立感染病研究所に無償提供しました。

ウイルスには国境の区別がないゆえ、国際社会が共同で対応することが求められております。中国側は引き続き日本側にできる限りの支援を提供し、緊密に意思疎通と協力を展開し、手を携えて新型コロナウイルス感染症との戦いを一日も早く勝ち抜き、両国国民の健康と安全および地域と世界の公衆衛生の安全を共に守っていきたいと思います。

(追記)
クルーズ船米人乗客 当初は米側が「船内に」とどめるよう要請
(NHK 2020年2月23日 6時15分)
  新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」への対応で、日米両政府の詳細なやり取りが分かりました。日本側が当初、アメリカ人乗客の早期帰国を提案したのに対し、アメリカ側は「乗客の移動は感染リスクが高まる」として船内にとどめるよう要請していたということです。
  クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客のうち、アメリカ人は日本人に次いで2番目に多く、帰国を希望したおよそ330人が2週間の健康観察期間が過ぎるのを待たずに、17日、チャーター機2機で日本を出国しました。
  こうした一連の対応で日米両政府が交わしたやり取りの詳細がわかりました。
  それによりますと、日本政府が、当初、アメリカ人乗客の早期下船と帰国を提案したのに対し、アメリカ政府は日本側の対応に謝意を示したうえで、CDC=疾病対策センターなどと議論した結果、「乗客を下船させ、横田基地などに移動させれば、感染リスクが高まることが予想される。船は衛生管理がきちんと行われており、船内にとどめてほしい」と要請していたということです。
  また、15日に行われた事務レベルのやり取りで、日本側が2週間の健康観察期間が過ぎる19日から下船が順次可能となると説明したのに対し、アメリカ側は日本政府の負担を軽減すべきと判断したとして、19日を待たずにチャーター機を派遣し、アメリカ人の乗客らを帰国させる方針を伝えたということです。

(追記)イタリア政府は先月31日、非常事態を宣言。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する取り組みを迅速に進めるためでした。これを受け22日、ジュセッペ・コンテ首相は北部にある11の町を隔離下に置くと決定しました。
新型ウイルス、イタリアでの感染者数が100人超に
(afp 2020年2月23日 20:32 発信地:ローマ/イタリア)
【2月23日 AFP】(更新)イタリア北部ロンバルディア(Lombardy)州の知事は23日、同国における新型コロナウイルスの感染者数が急増し、100人を超えたことを明らかにした。
  アッティリオ・フォンタナ(Attilio Fontana)知事はテレビ局「SkyTG24」に対し、同国全体で感染例が「100件超」報告されており、同州だけで89件に上ると述べた。
  当局は同日、イタリアでの感染例は79件と発表していたが、その数は増加し続けているとしていた。
  同国北部の自治体が感染者数の増加を抑えようと、必死の努力を続ける中、同国のジュセッペ・コンテ(Giuseppe Conte)首相は22日、北部にある11の町を隔離下に置くと発表。約5万人が影響を受ける事態となっている。
  イタリアでは新型コロナウイルス感染により、すでに2人が亡くなっている。(c)AFP

イタリア、非常事態を宣言 新型ウイルス対策
(afp 2020年1月31日 20:39 発信地:ローマ/イタリア)
【1月31日 AFP】(更新)イタリア政府は31日、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する取り組みを迅速に進めるため、非常事態を宣言した。同国では、首都ローマで2人の感染が確認されている。
  伊政府は、同国を観光で訪れた中国人2人から同ウイルスの陽性反応が出たことを受け、前日30日には、中国を発着する全航空便の運航休止を発表していた。
  非常事態を宣言することで、地方自治体に特別な権限が与えられ、事務手続きが簡略化される。現地メディアによると、適用期間は6か月だという。
  警察は、感染が確認された2人が滞在していたローマ中心部にあるホテルの部屋を封鎖した。また、2人と同じ観光ツアーに参加していた他の中国人観光客らに対しても、ウイルス検査が行われている。
  報道によると、同ホテルの従業員の42歳のルーマニア人も検査を受けているという。(c)AFP 


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