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おはようございます。
朝陽がsunsunのやわらかい朝を迎えました。
いかがお過ごしでしょうか。

先ほど、久々に在ニューヨーク日本国総領事館(https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html)のサイトを見ました。最近、顕著になったアジア人に対するヘイトクライム(hate crime:憎悪犯罪)に対して、在留日本人の安全と命を守るべく、危険情報及び対策を提供しています。私がニューヨーク市に滞在したのは1987年から10年ほどでしたが、日本人や日系アメリカ人がヘイトクライムの被害にあったという話は聞いたことがありませんでした。多様性(diversity)を大切にする風土であった合衆国は、多様な人種がつくる一つの社会が国是であったはずだが、現在は「彼ら(アジア人)と我々」のように二項対立(dichotomy;binary opposition)の構造を社会にセット(構築)してしまったようです。これがヘイトクライムの温床だと考えています。

コミュニケショーン・ツールとしての圧倒的な情報量を誇るインターネットは、「diversity」を多くの民衆に認識させることを促すよりも、人種に対するヘイト(憎悪)を同じくする人々を集団化してしまい、「diversity」に逆行する狭視眼的な社会を形成する一因となっているようです。家庭・道徳・学校・社会・職業・宗教による教育により、私たち民衆は「人間はみな平等・対等である」「差別はいけません」と学習します。しかしながら、現実は日常的に目する映像(テレビ・ネット)から多量の差別の言動が伝わってくるのですから、理想を胸に差別解消に向けて何をすべきかという問題意識をもつよりも、諦めの気持ちが優先してしまうかもしれません。

教育と異なった背景を持つ人々との交流体験を通じて、私たち民衆が差別しないライフスタイルをいかにして内発的に己の中に育むのか。それが問題。個々人の中に眠っている、差別を許容してはイケマセンぞ!と「内発的に変わる力」こそが、ヘイトクライムの解消に力を発揮する。その個々の力が感染力を持ち、近隣の人々の「内発的に変わる力」を目覚めさせ、しいては多様な人種を無意識に(ヴアイアスなく)承認できる社会を形成せしめる。その意味で、刑罰は根源的な解決をもたらしません。人間に宿された高いレベルに向かって「内発的に変わる力」を信じています。
ニューヨーク市の治安情勢に関する注意喚起(3 月 18 日)

〇ニューヨーク市において拳銃発砲事件が多発していますのでご注意ください。

1 報道によれば、ニューヨーク市では引き続き拳銃発砲事件が多発しており、先週末は少なくとも 13 件の発砲事件が発生し 20 人が死傷しました。例として 13 日(土)午前 10 時15 分頃、17 歳の男性がブルックリン地区カナーシーの東 82 番ストリートを友人と一緒に歩いていたところ、灰色のセダンから飛び出してきた男がいきなり発砲し、17 歳の男性が死亡、友人も足などを撃たれて負傷しました。また、クイーンズ地区のアストリアでは、12日(金)午後 8 時 30 分頃、37 歳の女性が銃撃の流れ弾に当たって死亡する事件が発生しています。

2 NYPD の統計によれば、殺人や拳銃発砲事件等の暴力犯罪は昨年6月以降に急増し、結果として 2020 年の殺人事件は前年対比+44.8%、拳銃発砲事件は+97%とほぼ倍増しております。この傾向はその後も継続しており、今年 2 月中の拳銃発砲事件は 77 件で昨年 2 月中の44 件よりも+33 件+75%)増加しています。

3 暴力犯罪が増加している原因としては、長期間のロックダウンや失業等による精神的不安や怒りの感情を抱える人々が増えていること等、様々な要因が挙げられております。また、ホームレスによる嫌がらせ事案やアジア系住民に対するヘイトクライム等も依然として報告されており、引き続き注意が必要です。

4 被害に遭わないためには、危険に近づかないことが何よりも重要であり、拳銃発砲事件が多発している地域や危険性の高い地域を通過する必要がある場合には、遠回りでも別のより安全な道を選ぶことも被害防止上有効な対策の一つです。在留邦人の皆様におかれましては、報道等から常に最新の情報を入手し、事件が発生した場合には事件現場付近には近づかないようにする、夜間の外出や人通りの少ない道は避ける、不審な人物には近づかない等、安全を確保するように十分注意してください。

5 安全対策の参考として当館ホームページには「ニューヨーク安全マニュアル」
https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/j5/index.html)を掲載しています。同マニュアル の 「 事 件 や 事 故 に 巻 き 込 ま れ た ら 」( https://www.ny.us.embjapan.go.jp/jp/j5/nyanzen-manual_2019.pdf)には、以下のとおり緊急時の連絡先等を記載しておりますのでご活用ください。万が一、犯罪被害に遭われた場合には、警察に被害を届け出るとともに、当館にも通報いただくようお願い致します。
・警察・消防・救急は全て「911」です。
  緊急時には「911」をダイヤルし(公衆電話ではコイン不要)、オペレーターに緊急事態の場所と内容(警察・消防・病院の別)を告げます。英語で説明できない時には「ジャパニーズ・プリーズ」と告げれば、日本語通訳サービスを介しての通話が可能です。緊急時以外には、「911」ではなく管轄の警察署へ直接連絡してください。
・総領事館への通報
  思わぬ事態に遭遇しお困りの方は、総領事館の「邦人援護担当官」へご連絡ください。週末・休日は緊急時のための 24 時間対応可能な電話システム(日本語オペレーター対応)も導入しています。
在ニューヨーク総領事館
電話:1-212-371-8222
  弁護士、通訳に関する情報は、当館ホームページの下記 URL からご覧になれます。
○弁護士情報: http://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/l/bengoshi_list.html
○通訳者情報: http://www.ny.us.emb-japan.go.jp/en/o/q2_list.html

  昨年9月15日付の領事メールで、「外出時等の安全対策に関する注意点について」
(https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/files/100094083.pdf)をお知らせいたしておりますので併せてご活用ください。

  このメールは、在留届にて届けられたメールアドレスまたは「たびレジ」に登録されたメールアドレスに自動的に配信されております。

【問い合わせ先】
在ニューヨーク日本国総領事館
299 Park Avenue、 18th Floor、 New York、 NY 10171
TEL:(212)-371-8222
HP: http://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/html/

※「たびレジ」に簡易登録した方でメールの受け取りを希望しない方は、以下のURLから変更・停止の手続きを行ってください。
(変更)https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/simple/auth
(停止)https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/simple/delete
※「在留届」を提出した方で帰国,他国(州)へ転居された方は、以下のURLで帰国又は転出届を提出願います。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/residencereport/login


閑話休題(それはさておき)


2016年7月26日未明、相模原市緑区の知的障害者施設・津久井やまゆり園に侵入した元職員(当時26歳)は、用意してきた刃物を施設内で次々と障害者に対してふりかざしました。悲しいことです。入所者19名を刺殺し入所者・職員26名に重軽傷を負わす犯行がなされました。これは特定の集団や個人を標的としたヘイトクライム(憎悪犯罪)であり、テロです。日本は国連障害者権利条約を批准しており、この条約の締結を受けた国内法・障害者差別解消法が同年4月1日に施行されてすぐの事件でした。

死刑判決を受けた元職員(2001年〜2005年に勤務)は、2016年2月15日、東京都千代田区の衆院議長公邸を訪ね、土下座で頼み込んだうえで大島理森議長にあてた手紙を渡していました。この「手紙」には、「障害者総勢470名抹殺」「日本国と世界の為」「世界経済の活性化と本格的な第3次世界大戦を未然に防ぐ」「(障害者の)保護者の同意を得て安楽死」「障害者は不幸をつくることしかできません」「今こそ革命を行ない、全人類の為に必要不可欠である辛い決断」といった文言を用いて、「作戦内容」として本件を予告する内容が記されていました。思想的背景は不明ですが、彼は優生思想もヘイトクライムという言葉も、ナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)が障害者らを大量殺害したT4作戦も知らなかったことが明らかになっています。逮捕・起訴後に、「事件を起こした自分に社会が賛同するはずだった」「事件を起こしたのは不幸を減らすため」「(障害者を)殺害した自分は救世主だ」「(犯行は)日本のため」などと供述していますが、事件後の報道や差し入れられた本などで知識をつけ、結果的にそれを自らが犯した殺人を正当化するのに利用しているとの報告が専修大学講師(社会思想史)・西角純志氏によりなされています。問題は、テレビの情報番組で「手紙」の内容を犯罪心理学者のコメントを交えて十分に伝えていたにもかかわらず、「手紙」に記るされた障害者抹殺論がなぜ許されないのかを十二分に伝えきれなかったことです。社会のために障害者を抹殺したいという思想・価値観の報道が二次拡散となり、社会的連鎖を呼ぶ温床になるのだという危険性を知る必要があります。時間はかかりますでしょうが、教育により社会の構成員である私たち皆が障害者差別解消法や障害者権利条約を知り、その理念を共有する社会を粘り強く、諦めることなく、努力して築いていこうではありませんか。




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