989722e2.jpg 釜出し一番石鹸は東北の業者がおよそ80年前から作り続けている純石鹸だ。表示は 台所用石けん。でも・・・
 機械練り石けんのような溶け崩れがなく純石けん99%。保存料、色素、香料無添加。珪酸ソーダ、蛍光剤、着色料、酸化防止剤などの添加物をいっさい使わず、牛脂・ヤシ油を原料に作られている。
 品質表示の品名欄に「台所用石けん」とあるのは、法律上の問題で、「化粧品製造業許可」をしておらず、そのため「台所用石けん」 としか表示できないから。しかし、浴用洗顔、洗髪にと積極的に使えるからうれしい。赤ちゃんや、アトピー・吹き出物など肌の弱い方が洗顔、身体洗い、洗髪、もちろん食器洗いにも安心して使てる優モノだ。
 パッケージの坊ちゃんはこの「東北石鹸佐藤工場」の初代社長自らがデザインしたものだ。DSで170円〜180円で売っているらしいが、東急ハンズで399円で購入できる。知る人ぞ知るこの名品は、爆発的なブームで全国的に品不足らしい。いつの世も、本物は人気者だ。
 
 
 ゼロックスやリソグラフ(プリントゴッコのお父さん)の無い時代、手軽な印刷物を作るにはガリ版が便利だった。このガリ版の技術は、エジソンのミネオグラフと呼ばれる謄写版にヒントを得て日本で発明された。滋賀県出身の堀井新治郎父子がガリ版の生みの親だ。このガリ版は鉄筆と鑢版(やすりばん) を使って、蝋引きの和紙を穿孔するというアイデアで、染物の捺染技術からヒントを得て開発された。ガリ版で学校新聞や寄せ書き、文集を作った人も多いだろう。ガリ版刷りの中学校の卒業文集が今も書棚で静かに眠っている。実は、これが日本の DTP(デェスクトップ・パブリッシング) の走りだった。文章、図版の作成から編集、レイアウト、製版、印刷まで自分で自由自在に行うことができたからだ。大正・昭和の時代に青春をおくった人々は、このガリ版に郷愁を抱く人々も多い。一方、美しい活字で印字された印刷物を好む人々も多い。日本語ワープロの人気は、活字印刷された書物への憧れから来たものだろう。
 今日、このようにすぐれたガリ版印刷というシステムは、日本語ワープロという新しいシステムに飲み込まれ、見る影もなくなってしまった。職業も同じことだ。今の環境がいつまでも続くものではない。だから、そのときのための心の準備をしておこう。

 釜出し一番の人気は、本物を求める人々の環境が創り出したものだ。本物の人物になろう。システムや環境を乗り越える人物になろう。

 感謝